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待望の「萌芽(ほうが)」

2018.09.29 01:30

https://www.tamarokuto.or.jp/blog/rokuto-report/2015/10/29/post-5695/ 【待望の「萌芽(ほうが)」】より

「萌芽(ほうが)」や「ひこばえ」という言葉を聞いたことはありますか?これは、切り株の脇から出てきた新しい芽のことを指します。よく絵本の挿絵などで描かれている、これです。植物には、てっぺんの芽を切り取ると脇の芽が成長してくる、という性質があります。

木を切り倒すと、それまで上に伸びることに使われていたエネルギーが脇芽の成長に回ってくるので切り株から3本、4本、、、と「萌芽」と呼ばれる新しい芽が伸びてきます。

雑木林を育てるとき、この性質を利用した「萌芽更新」ということが行われます。

萌芽は、切り株が既に地面にどっしりと張っている根から水を吸い上げられますし、

風や大雨にも耐えられる土台があるため、成長が安定していきます。

つまり、ゼロ(種)から木を育てたり苗木を移植するよりも、早く林を育てられるのです。

そして萌芽がある程度育つと、そこから状態のいいものだけ残し、大きな木へと育てていきます。

よく根元で二又・三又に分かれた木が生えていることがありますが、

これは萌芽から育てた木=人が手入れして育てた木、と考えられます。

二又に分かれたコナラの木

ただ、この萌芽は、伐採した木にある程度勢いが残っていないと生えてきません。

科学館の雑木林に生えていた木は樹齢が50年以上のものも多く、

萌芽更新を期待したくても、おそらく芽が出てこなくて無理だろうと、あきらめていました。

ところが。

なんと現在4本の木から萌芽が出て、育っています。

これはその中の1本。雑木林だったエリアの入り口すぐにあるコナラの切り株です。

5月のはじめくらいに、こんなに小さな芽が生えてきました。

ただ、春に植樹した苗木の中には枯れてしまったものも出てきた頃で木が大きく育つことの難しさ、林をそだてていくことの大変さを感じていました。

これもどのくらい育ってくれるかと、半信半疑で見守っていたところ。。。

コナラ萌芽

現在はこんな姿になりました。

日当たりがとてもいい場所のせいかあっという間に大きく育ち、

植樹した苗木に比べると、幹が太くなるのも早くスクスクと大きく育っています。

クヌギ萌芽

こちらはクヌギの萌芽です。

科学館のカフェの前にあるカエデやエノキのかげにけっこう立派な芽を生やしていました。

こちらも順調に大きくなっています。

この他にコナラとケヤキ1本ずつ、切り株から萌芽が出てきています。

これから寒いシーズンに入りますが、期待を裏切って生えてきてくれたこの萌芽たちを

大切に見守っていきたいと思います。


https://bunkazai.city.fukuoka.lg.jp/sp/cultural_properties/detail/459 【櫛田の銀杏】より

 銀杏は中国語読みの影響があってギンナンと発音される。福岡ではギナンといわれたりもする。標準的な和名はイチョウである。葉の形が家鴨の水かきに似るところから、中国で鴨脚といわれ、その発音がヤーチャオであるところからイチョウの名がおこっている。 イチョウは中国原産であるが、その渡来は非常に古く平安時代には知られていたようである。樹勢が強く、剛壮な樹形になって、葉が独特な扇形をするので当時から珍しいこともあって神格木として扱われ、神社、仏閣に多く植栽されてきた。従って各地に老大木が多い。

 櫛田神社境内のイチョウは、大正7年の本樹保存記念碑に樹齢1000年以上と記載されているが、正確なところは不明である。現在の直径が190cmほどであるから、1年間の直径生長が平均して2mmとすると950年となるが、普通はこれより生長はいいので1000年以下であろう。しかし600年は超しており、樹齢の古さからいっても、また樹木規模の大きさからいっても極めて群を抜く、風格のある名木である。

 根張りはなく、太幹が5mほど立ち、ここから幹は数本に分岐して樹冠を広げている。平成元年1月の調査で樹高20.8m、胸高周囲598cm、根元周囲652cm、樹冠の幅は、東側10m、西側7m、北側6m、南側9mの規模である。樹齢が古いため、幹下部にはかなり腐朽が入り、空桐化している。また太枝は多く先端で伐られて短くなっている。

 孤立する大木は極めて風害を受けやすいが、このイチョウもこれまでにかなり台風の害を受けて太枝が折損しており、また落枝を恐れて事前に枝を詰めることもしばしばであるから、本来の姿からはかなり変貌している。最近では昭和62年8月の台風12号で、北東側の太枝3本が折損し、樹形がかなり不整となった。

 樹皮は厚く太枝の分岐部では樹皮にマサキ、ネズミモチ、キズタなどの低木と蔓が鳥の運搬によって種子が落ち、着生生長している。これも老木の風格を強めている。イチョウは適潤肥沃な土地を好み、萌芽性が強く先端の折損がおこっても下方から萌芽によって次第に置かわっていくが、この櫛田のイチョウも冲積の土譲に生え、樹勢はそれほど衰えているとは見えない。参拝客や駐車によっての踏圧が著しいことが重大な影響を与えているが、なお、今後も枝葉を繁茂させていくことと思われる。

 櫛田の銀杏は櫛田神社の神木として古くから広く崇敬されており、博多祝い歌にも「さても見事な櫛田の銀杏、枝も栄ゆりゃ葉も繁る」と謡い囃されている。今後も保存には十分留意していく必要がある。

イチョウは化石時代に栄えた原始的な樹種で、1料1属1種の裸子植物であり、雌雄異株であるが、このイチョウは雌性で、付近の雄木から花粉を受けて秋に沢山の果実を産する。