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地域づくりファシリテーション研究所

第17話 自分だけの星座をつくろう その1

2021.09.28 23:00

コーチングの話の続き…になるかわかりませんが、最近考えていることを共有します。


僕のような者にも授業や講演の依頼がたまに来ます。

内容や聴衆はそのときどきで違いますが、必ず悩むのが自己紹介のしかた。

冒頭、時間に余裕があるときは自己紹介を少し丁寧にします。

すると、流れ者の経歴に興味を持つ人が意外に多くいます。


清く正しいみなさんのお手本にはなれないけど…。

というか、間違ってもお手本にしないほうがよいと思うけど…。

キワモノとして面白おかしく聞いてもらうくらいが丁度よいかと。


少し前のこと。 ある大学のゼミでのゲスト講師の依頼を受けたとき。

事前に講義内容を検討するなかで、どの程度の自己紹介をするか迷いました。

ちなみに、そのゼミの教員は旧知の友人です。

オンラインで一度打ち合わせをおこない、メールのやり取りも重ねました。


その結果、今回は自己紹介部分に時間を多く使うことにしました。

ちょうど、自分たちの進路を真剣に考える年代の学生たち。

何かしらの応援の気持ちを込めて話したいと考えました。


単なる僕の自己紹介だけでなく、「アイデンティティ」と「キャリアづくり」のようなことを話せないものか?

履歴書のように文字で僕の主な来歴を示す方法が一つ。

でも、今回の場合、それは付け足しにすぎません。


メインは「図」です。

自分の辿ってきた道。

ものすごく曲がりくねった道。

それを図で表現してみました。


また、講義の準備をするなかで、思い付いたことがあります。

それは、人生とは星座をつくる作業のようだ、ということ。


曲がりくねった経路のあちこちで経験したこと。

それは、一見するとバラバラに散らばった点たち。

でも、それらの点を結び付ければ線になります。

線が多くつながると面的な図形になります。

どのように結び付けて図形を生み出すのか?


そして、これは星座に似ている!と気付いたのです。


そもそも星座って何でしょう?

夜空を見て目に入るのは、無数の点としての星です。


(イラスト出所:いらすとや)


子どもの頃、僕は星座の図鑑の頁を一生懸命繰りました。

でも、都会の夜空を実際に見ても、図解にあった星座の多くは見つけられませんでした。

がっかり。


そんなあきらめの気持ちのなか、冬の南東の空に見つけた星座。

それがオリオン座でした。

想像してたよりずっと大きい!

そのときの興奮は今でも覚えています。


(イラスト出所:イラストエイト)


星座が星座として認識される条件とは何でしょう?

空のなかの一定の範囲に明るい星がいくつかあること。

それらの星たちがひとまとまりに見えること。

上の絵のようなひとつの形が確かに見えてきます。


でも、次の絵はどうでしょう?

ギリシャ神話の巨大な狩人。

その姿が夜空に見えるでしょうか? 

(残念ながら僕には見えません…)


(イラスト出所:素材屋小秋)


こうして、この星の集まりはオリオンというアイデンティティを持ちました。

ギリシャ神話にもとづく物語も織り込まれています。


さらに、大小の犬たちとともに「冬の大三角」結成!


(イラスト出所:いらすとや)


ここまで来ると、すごい!の一言です。

人間のもつ想像力。あるいは創造力?

妄想力には程々の自信を持つ僕ですが、足元にも及びません。


ここでキャリアづくりの話に戻ります。


自分の人生のこれまでとこれから。

目指す方向があったとしても、そう簡単に一直線には進みません。

それが人生。


なので、あちこち逸れながら沢山の経験を積んでいくことになります。

これらの「経験」は、夜空に散らばる無数の星たちのようなものです。




星(経験)たちがどうつながって、どのような形になるのか?

無限の可能性があるはずです。


散らばりが少なければ、一直線に近い図形になるでしょう。

散らばりが多ければ、つながったときに広い面ができます。

色々な形があっていい。


遠くに孤立していると思っていた星(経験)。

それさえも、うまくつなげれば星座の一部になるかもしれません。


星座のような形ができたなら、それが自分のアイデンティティ。

星座のように、自分だけの物語もそこにあるはず。


これまでがあって、これからに向かっていく。

なので、星座は時とともに変わることもある。

変わり続ける星座でもいい。


いずれにしても、自分だけの星座をつくる道のり。

それが人生なのだと僕は思うのです。


たとえいま、望みと違う方向に進まざるをえなかったとしても、それは決して無駄ではないはず。

というか、無駄にならないようにできるはず。

自分がどのような星座をつくるか次第です。


回り道ばかりの人生を送ってきた僕などは、そのように前向きに解釈しないとやってられません(苦笑)。