一杯のココアから生まれた5つ星のサービス
ここは日本。
お昼の12時30分。
都会のこの時間は、会社のランチタイムで、
どのレストランやカフェも混雑する。
まるで逃げる様にオフィスを出て外に出ると、外は暖かい事に気づく。
そして、春を感じる。
いつものファーストフードのお店に行った。
日本中どこにでもあるファーストフード店。
店内が明るくて雰囲気が良いのと、
ゆっくりと落ち着ける席という所が好き。
ファーストフードにしては価格設定が高めだから、客層も良い。
お店に入ると、注文カウンターに行き、
私はメニューも見ずに、店員さんに一言伝えた。
「ホットココアを1つ下さい」
そう。。。
ここ2週間位、ほぼ毎日ランチタイムにはここで、
ココアだけを飲んでいる。
ココア以外のものは食べてもいない。飲んでもいない。
ココアだけなのだ。
いつも通り注文が終わると、
セルフサービスのお水をグラスに入れ席に着く。
席に着くと、ホッとする私。
お水を一口飲み、もの思いに更けている。
「お待たせしました。
ホットココアです。」
何度か見かけた事のある店員さんだった。
彼女が持ってきてくれたココアのカップの横には水が入ったグラスもあった。
一瞬 あれっ・・・と思った。
そして、彼女は言った。
「もしよろしければ、そちらのグラスをお下げしましょうか?」
そう、私の手元にある少し水が残ったグラスの事を言っていた。
私は、「うん、お願いします。ありがとう。」と伝えた。
彼女は少し顔を赤らめ恥ずかしそうにして、グラスを持って去っていった。
彼女は、彼女の配慮でココアとお水を一緒に持ってきてくれたのだ。
ありがたい事だな・・・と思った。
それから1週間・・・・
ココアを頼む時に、
自分でお水をグラスに入れて、席に着く事を止めた。
お水を持たないまま席でココアを待つことにした。
毎日色んな店員さんが私のココアを持ってきてくれた。
ありがたい事に私の席までココアを持ってきてくれる。
毎日、変わらずココアは美味しい。
そして、休日前の金曜日。
少し遅めのランチタイム。
いつもの店に行き、あのココアを頼んだ。
席で座って、リラックスしていると、
あの時の店員さんがココアを持ってきてくれた。
彼女は私の席に来たと同時に、
「あっ・・・」という顔をした。
そして、
彼女は私が注文したココアをそっとテーブルに置き、
少し間をあけて言った。
「お水をお持ちしましょうか?」
私は、思わず嬉しくなって答えた。
「じゃあ、お水をお願いします。
どうもありがとうございます。」
彼女は満面の笑みで席を去り、
お水を入れたグラスを持ってきてくれた。
「いつもどうもありがとうございます」と彼女に伝えると、
再びフレンドリーな笑顔を見せ、凛とした姿で去って行った。
ここはファーストフード店。
だけど、
まるで5つ星ホテルにいるかの様なサービスに変わった瞬間だった。
仕事に戻ろうと思った時に、私は気づいた。
彼女の気持ちを受け取る「心の余裕」を持った自分に。
そして、やっぱり嬉しくなった。
私の心にも春はやって来たみたい。
To everyone...
Have a nice weekend and a nice spring vacation!