令和3年9月 月例インターネット句会 Vol.115
木暮陶句郎 選
◎特選 10句
頭上注意の貼り紙残し燕去る(森田 遊馬)
あてもなきポストを覗く秋思かな(岩佐 晴子)
弓張や好きと嫌ひが半ぶんこ(佐々木一栗)
銀色のビルの連なり秋の風(鈴木由里子)
窓拭きと言ふ台風の後始末(稲葉 京閑)
秋天を指差し放つフリスビー(木村 佑)
ビル街の小さき保育所小鳥来る(鈴木由里子)
銀行へ飛び込む淑女秋の雨(大渕 洋)
秋桜や母待つ瞳寂しがる(鈴木由里子)
スケッチの手首柔らか水澄めり(杉山 加織)
〇入選 28句
野球帽の少年の眼に広島忌(竹俣 修)
宵闇や野良猫一瞥してとほる(大渕 洋)
草原の風銀色に群れ秋津(稲葉 京閑)
子の居ない部屋に九月の雨降れり(星野 裕子)
金風や乳房ゆたかなブロンズ像(木村 佑)
二度揚げのポテト待つ子ら虫時雨(中村 東子)
洗濯バサミ弾けて飛んで九月かな(ななさと紅緒)
湧く霧に見え隠れする車列かな(森田 遊馬)
曼珠沙華耳の痛みの深きこと(松本由美子)
秋の夜や耳朶に残りしフアルセツト(中島 圭子)
黍嵐京の下宿の四畳半(安部じゅん)
金木犀窓辺の祖母の声弾む(中村 東子)
奥多摩の山道険し霧深し(森田 遊馬)
手捻りの技法爽やか楽茶碗(稲葉 京閑)
銀漢や合はせてみたり欠け茶碗(中島 圭子)
寺の猫見上げし空の秋燕(安部じゅん)
綾なして光を運ぶ秋の湖(木村 佑)
ほつぺたを上げて笑ふ子秋の虹(鈴木由里子)
豊の秋あんぱんまんの雲がゆく(ななさと紅緒)
かさかさとさらさらと落つ桐一葉(小暮 肇)
真葛原真田幸村陣屋跡(星野 裕子)
秋涼し庭の植木のこざつぱり(松本由美子)
秋霖や無声映画の中の街(木村 佑)
ちさき帆を風に立てたる萩の花(里村 閑)
パソコンの冷却音の残暑かな(大渕 洋)
夢二忌の霧に濡れたる楢林(稲葉 京閑)
叱られてをり鬼灯を鳴らしをり(里村 閑)
今年米瀬戸の藻塩の添へられて(ななさと紅緒)
互選
6点句
あてもなきポストを覗く秋思かな(岩佐 晴子)
頁繰る指に張り付く秋の声(木暮陶句郎)
5点句
スケッチの手首柔らか水澄めり(杉山 加織)
4点句
頭上注意の貼り紙残し燕去る(森田 遊馬)
銀漢や合はせてみたり欠け茶碗(中島 圭子)
秋灯や文字にも翳りありにけり(堤 かがり)
3点句
草原の風銀色に群れ秋津(稲葉 京閑)
子の居ない部屋に九月の雨降れり(星野 裕子)
セザンヌの自画の眼に秋が棲む(星野 裕子)
馬肥ゆる息止めて乗る体重計(岩佐 晴子)
秋霖や無声映画の中の街(木村 佑)
銀漢の片隅に鳴くピアノかな(木村 佑)
百層のバウムクーヘン秋の雲(中村 東子)
ビル街の小さき保育所小鳥来る(鈴木由里子)
豊の秋あんぱんまんの雲がゆく(ななさと紅緒)
嫁となり姑となり秋茄子(井野 紫)
恋の香の滲む街路や月今宵(杉山 加織)
此処よりは千曲川なり蕎麦の花(木暮陶句郎)
2点句
秋始動湖面を磨き上げながら(稲葉 京閑)
輝きて風となりたる芒原(小暮 肇)
真葛原真田幸村陣屋跡(星野 裕子)
野の花を活けて秋呼ぶ仏間かな(清水 檀)
丹精の光となりてマスカット(岩佐 晴子)
虫の夜や指揮者のゐない演奏会(佐々木一栗)
黍嵐京の下宿の四畳半(安部じゅん)
金木犀窓辺の祖母の声弾む(中村 東子)
銀色のビルの連なり秋の風(鈴木由里子)
よく零れよく弾みたり今年米(里村 閑)
洗濯バサミ弾けて飛んで九月かな(ななさと紅緒)
自らを鼓舞するやうに秋の蝉(井野 紫)
瞬きの度に青みぬほたる草(杉山 加織)
1点句
海に入り花灯篭のをんなかな(竹俣 修)
爽籟や白菜の苗買ひに行く(大渕 洋)
パソコンの冷却音の残暑かな(大渕 洋)
手捻りの技法爽やか楽茶碗(稲葉 京閑)
秋あざみ夫と散歩の道すがら(高橋ちとせ)
団栗を拾ひて数を競ひたり(高橋ちとせ)
薄情なをんなの後ろ曼珠沙華(星野 裕子)
聞くべきを聞洩らしたる吾亦紅(中島 圭子)
金風や乳房ゆたかなブロンズ像(木村 佑)
綾なして光を運ぶ秋の湖(木村 佑)
二度揚げのポテト待つ子ら虫時雨(中村 東子)
雨粒を受けて逃さず野鶏頭(中村 東子)
ちさき帆を風に立てたる萩の花(里村 閑)
増水の土手に吹かるる葛の花(堤 かがり)
芋の露光の粒となる朝日(堤 かがり)
源流は鈴鳴る小石草紅葉(ななさと紅緒)
今年米瀬戸の藻塩の添へられて(ななさと紅緒)
秋灯下編み物の手の進みたる(井野 紫)
互選結果
◎星野裕子 選
(4) 草原の風銀色に群れ秋津
(40) ビル街の小さき保育所小鳥来る
(46) 頁繰る指に張り付く秋の声
(84) 秋霖や無声映画の中の街
(107) 銀漢の片隅に鳴くピアノかな
◎中島圭子 選
(3) 頭上注意の貼り紙残し燕去る
(37) 黍嵐京の下宿の四畳半
(68) 恋の香の滲む街路や月今宵
(73) 秋始動湖面を磨き上げながら
(91) スケッチの手首柔らか水澄めり
◎小須賀正幸 選
(10) あてもなきポストを覗く秋思かな
(19) 増水の土手に吹かるる葛の花
(53) セザンヌの自画の眼に秋が棲む
(57) 銀漢や合はせてみたり欠け茶碗
(114) 瞬きの度に青みぬほたる草
◎竹俣修 選
(5) 秋あざみ夫と散歩の道すがら
(7) 子の居ない部屋に九月の雨降れり
(15) 金風や乳房ゆたかなブロンズ像
(44) 嫁となり姑となり秋茄子
(57) 銀漢や合はせてみたり欠け茶碗
◎稲葉京閑 選
(3) 頭上注意の貼り紙残し燕去る
(37) 黍嵐京の下宿の四畳半
(76) 真葛原真田幸村陣屋跡
(89) 源流は鈴鳴る小石草紅葉
(94) パソコンの冷却音の残暑かな
◎小暮肇 選
(10) あてもなきポストを覗く秋思かな
(39) 金木犀窓辺の祖母の声弾む
(46) 頁繰る指に張り付く秋の声
(53) セザンヌの自画の眼に秋が棲む
(66) 豊の秋あんぱんまんの雲がゆく
◎大渕洋 選
(10) あてもなきポストを覗く秋思かな
(20) 洗濯バサミ弾けて飛んで九月かな
(23) 此処よりは千曲川なり蕎麦の花
(87) ちさき帆を風に立てたる萩の花
(108) 百層のバウムクーヘン秋の雲
◎松本由美子 選
(17) 銀色のビルの連なり秋の風
(24) 海に入り花灯篭のをんなかな
(44) 嫁となり姑となり秋茄子
(102) 丹精の光となりてマスカット
(108) 百層のバウムクーヘン秋の雲
◎鈴木由里子 選
(16) 二度揚げのポテト待つ子ら虫時雨
(68) 恋の香の滲む街路や月今宵
(84) 秋霖や無声映画の中の街
(91) スケッチの手首柔らか水澄めり
(108) 百層のバウムクーヘン秋の雲
◎岩佐晴子 選
(40) ビル街の小さき保育所小鳥来る
(44) 嫁となり姑となり秋茄子
(58) 虫の夜や指揮者のゐない演奏会
(65) 芋の露光の粒となる朝日
(73) 秋始動湖面を磨き上げながら
◎堤かがり 選
(4) 草原の風銀色に群れ秋津
(10) あてもなきポストを覗く秋思かな
(18) よく零れよく弾みたり今年米
(33) 馬肥ゆる息止めて乗る体重計
(74) 団栗を拾ひて数を競ひたり
◎木村佑 選
(4) 草原の風銀色に群れ秋津
(7) 子の居ない部屋に九月の雨降れり
(18) よく零れよく弾みたり今年米
(46) 頁繰る指に張り付く秋の声
(68) 恋の香の滲む街路や月今宵
◎清水 檀 選
(3) 頭上注意の貼り紙残し燕去る
(23) 此処よりは千曲川なり蕎麦の花
(85) 雨粒を受けて逃さず野鶏頭
(96) 夢二忌の霧に濡れたる楢林
(111) 秋灯や文字にも翳りありにけり
◎森田遊馬 選
(7) 子の居ない部屋に九月の雨降れり
(10) あてもなきポストを覗く秋思かな
(20) 洗濯バサミ弾けて飛んで九月かな
(46) 頁繰る指に張り付く秋の声
(52) 輝きて風となりたる芒原
◎里村 閑 選
(33) 馬肥ゆる息止めて乗る体重計
(57) 銀漢や合はせてみたり欠け茶碗
(66) 豊の秋あんぱんまんの雲がゆく
(91) スケッチの手首柔らか水澄めり
(111) 秋灯や文字にも翳りありにけり
◎中村 東子 選
(46) 頁繰る指に張り付く秋の声
(53) セザンヌの自画の眼に秋が棲む
(71) 爽籟や白菜の苗買ひに行く
(76) 真葛原真田幸村陣屋跡
(91) スケッチの手首柔らか水澄めり
◎高橋ちとせ 選
(21) 秋灯下編み物の手の進みたる
(39) 金木犀窓辺の祖母の声弾む
(58) 虫の夜や指揮者のゐない演奏会
(77) 野の花を活けて秋呼ぶ仏間かな
(113) 自らを鼓舞するやうに秋の蝉
◎ななさと紅緒 選
(40) ビル街の小さき保育所小鳥来る
(46) 頁繰る指に張り付く秋の声
(91) スケッチの手首柔らか水澄めり
(102) 丹精の光となりてマスカット
(114) 瞬きの度に青みぬほたる草
◎佐々木 一栗 選
(10) あてもなきポストを覗く秋思かな
(23) 此処よりは千曲川なり蕎麦の花
(52) 輝きて風となりたる芒原
(61) 綾なして光を運ぶ秋の湖
(113) 自らを鼓舞するやうに秋の蝉
◎安部じゅん 選
(3) 頭上注意の貼り紙残し燕去る
(30) 薄情なをんなの後ろ曼珠沙華
(33) 馬肥ゆる息止めて乗る体重計
(66) 豊の秋あんぱんまんの雲がゆく
(112) 今年米瀬戸の藻塩の添へられて
◎井野 紫 選
(77) 野の花を活けて秋呼ぶ仏間かな
(80) 聞くべきを聞洩らしたる吾亦紅
(84) 秋霖や無声映画の中の街
(107) 銀漢の片隅に鳴くピアノかな
(111) 秋灯や文字にも翳りありにけり
◎杉山 加織 選
(17) 銀色のビルの連なり秋の風
(50) 手捻りの技法爽やか楽茶碗
(57) 銀漢や合はせてみたり欠け茶碗
(107) 銀漢の片隅に鳴くピアノかな
(111) 秋灯や文字にも翳りありにけり