日本インターネット報道協会・元木昌彦 代表理事「メディアが考えてない。」
【社会報道】 平成二十九年三月二十五日に東京・渋谷にて、全記者に公平に開かれた記者会見を開催する自由報道協会(理事長:苫米地英人)は第六回『自由報道協会賞授賞式及び記念トークイベント』を開催した。本賞はラジオで福島県民の声を五年間、届けているヴォイス・オブ・フクシマ(VoF、代表理事:佐藤正彦)が受賞した。
本賞は取材や報道、評論活動等を通じジャーナリストとして顕著な業績を上げ、ジャーナリズムの信用と権威を高めた個人、団体と作品を顕彰するもの。本年は他に菅野完(甲寅)の「日本会議の研究/扶桑社新書」と清水潔(戊戌)の『「南京事件」を調査せよ/文藝春秋』がノミネートされていた。ネット投票でVoFが一位となった。また昨年活躍した媒体として「週刊文春/文藝春秋」も候補に挙がっていたが新谷学(甲辰)編集長は事前辞退した。
<継続性を評価>
東日本大震災・原発事故の被災地である福島の現状を伝えるVoFが受賞した理由を、元NHKヨーロッパ総局長で同協会の大貫康雄(戊子)代表理事は、「マスコミが忘れさせようとしているものを、忘れさせない。」と継続性を高く評価。VoFは今迄で百九十人を取材してきた。授賞式には三十代の久保田彩乃(乙丑)理事が出席し、「年数を重ねないとVoFの活動意義が出てこない。」と五年で自覚した。インタビュ時の大切なポイントとして「現状と未来への想い。」と過去には固執しない。今後は一千人の取材を目指し影響力をつくっていく。
「週刊現代/講談社」等の編集長を務めた日本インターネット報道協会の元木昌彦(乙酉)代表理事は、本賞の選考委員を務め報告した。一番のスクープを文春の「美智子妃が雅子妃を叱った記事。一言一句、語尾に至るまで出た。」と自身の報道経験上、類を見ない記事であった点を称えた。福島については、「メディアが考えていない。メディアが次々に出てきて、我々を喚起して頂く。」と新メディアの勃興に期待を込めた。
同日のトークイベントでは、「報道の自己規制/リベルタ出版」を上梓した元新聞記者の上出義樹(乙酉)が大メディアの記者達の現状を説明。官邸記者の過剰な自己規制や質問しない社員記者達、行政と報道の境目にいるフリー記者達の話をした。尚、当日に配布されたトークイベントの資料には「福島原発事故の取材記者への聞き取調査(二十三年)」が載っており、大メディアの内でおよそ一割が自己規制を認める回答を行ったと記した。
第六回自由報道協会賞授賞式及び記念トークイベント/㈳自由報道協会
撮影記事:金剛正臣