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レディガガの衣裳を手掛けたレオナード・ウォン、斬れる

2017.03.31 03:05

【高級ファッション報道】 平成二十九年三月二十九日に東京・渋谷にて、中国人デザイナ・レオナード・ウォン(丙寅)が来季の秋冬コレクションを発表した。テーマは「アルテミス×アポロ」。二神のバランスがなければ、人間である可能性を最大限に引き出す事は決してできないの意。ゲストモデルとして振付師・ダンサの「アヤバンビ」のAYA SATO(写真上)が歩いた。椎名林檎(戊午)やマドンナ(戊戌)等のバックダンサを務めた事もある。


本ブランドの創設は二十五年。東京が拠点だ。ほぼ白と黒でコレクションが構成される。レザーやウールを用い、ボディ コンシャスなラインが特徴的。ランウェイショーの始まりには大音量のムービーが流れた。まるで一つの短篇映画作品の様な仕上がりで、レオナード・ウォンの世界観を顕した。退廃的な広く大きな空間の中に変質を遂げる者の存在。希望か絶望か。何かからの解脱を感じた。




<異質の中の真実>

 ショーは、まるで先のムービーから出てきた様なゲストモデルの演出から始まった。暗闇の中にルックを照らす光は少なく、ウォンがデザインに込めた魂と余韻をギャラリは見つめていく。レザー等の黒が圧倒的に多いものの、少しのテカリ等の反射感でコレクションを形作る。ショーの終わりには男女のモデルの愛を差し込んだ。最後に出てきたウォンは大きなフードを被り、鼻一つ見えない。合掌しながらギャラリに腰を曲げた。メンズは今回が初。


今回はランウェイショーの部屋と服を触れる部屋、酒を提供するDJルームに分かれていた。コレクションに登場した服と本ブランドのリアルクローズ「イクスパーリメンタル(実験)ライン」、そしてムービーで使用された服が部屋半分にラックされ吊るされていた。この部屋もウォンがもつ世界観を具現化していた。



斬れ度合いでいうなれば、東京のブランドで現状一番ではないだろうか。彼のもつセンスは内省的に深く斬り込み、纏う者、観る者の中に覚えさせる。今後も大いに期待できるブランドだ。公式HPにはECも組み込む。


尚、二月に本ブランドは真珠のアンディミュラーとコラボしたジュエリを日本橋三越本店で発表していた。領域を増やす。そして独自に行うファッション フィルムは「THE NAIL(二〇一四)」が西「世界のファッションフィルムTOP10/ビルバオ・グッゲンハイム美術館」にランクインする程の実力を有す。


LEONARD WONG RUNWAY SHOW 2017A/W

撮影記事:金剛正臣