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#016 放っておけない仕事について―ブラックウッド

2021.10.03 03:01

by Motandhel

 ブラックウッドで祭典が開かれている。いつものとおりあまり祭りには興味がなかったが、ここでの仕事の報酬で家具が貰えると聞き、食指が動いた。いつものようにクラフトの仕事を終えると、アズルと二人でレヤウィンに行く日々がこのところ続いている。

 ブラックウッドは(他の多くの地域と同じように)僕にとって全く馴染みのない場所だった。特にこのあたりの地域――いわゆるアルゴニアと呼ばれる地域はその気候と地形が苦手なために、進んで足を運ぼうと思いにくい地域だった。しかし美しい花々が咲く高地の景色やどこか物悲しい水辺の風景は他の地域にはない独特の美しさがあり、毎日違う時間帯に訪ねるのが楽しみになりつつある。

 自然だけではなく、ブラックウッドは街の様子もとても魅力的だ。中でもレヤウィンは際立って美しく、木と石でできた建築物は他のどの地域の物とも違う独特の温かみがあり、家具や調度品もシンプルでありながら精巧で非常に美しい。コツコツと勤勉に仕事をこなす帝国の文化の特徴がよく現れている。それゆえにこの街での仕事は非常に魅力的だ。こうした洗練された家具を報酬にされると、僕やアズルのように家にいる時間を大切にするタイプの人間は放っておくことなどできない。

 祭りの最中ということもあってレヤウィンはとても忙しない。もう少し落ち着いたらゆっくり街を散策してみようと思う。その時はもちろんアズルを誘うつもりだ。

 それからもちろん、そこに暮らす人々との出会いはなにより楽しい! 動物だらけの宿屋を営む女性や、道を歩く占い師に幻術師など、歩いているだけでも多くのワクワクするような出会いがある。研究に関連して言えばそこまで魅力的とは言えないが、たまには悪くないだろう。もう少しこの祭りを楽しむ予定だ。