中国の人々にとってトイレやお風呂の事情
【質問】
現在の中国の人々にとってトイレやお風呂の事情はどのようになっているのでしょうか?
【回答】
結論から言うと、中国のトイレ問題はもはや問題ではなくなりました。 2012年の国連ミレニアム開発目標報告書によると、世界の発展途上地域の人口の約半数が未だに改善された衛生設備を利用できていないとされている。排泄物は食品や水を汚染したり、腸の病気を引き起こしたりするので、世界の優れた科学者や発明家の多くが、この重要な問題を解決するためにあらゆる手段を講じてきました。中国では、古代に男女別の公衆トイレのプロトタイプが見られるのが、社会の発展に伴い、トイレの問題を解決する方法は継続的に改善されてきました。
1949年、新中国が建国された当初、農村部ではトイレが粗末で糞尿が放置されていたため、トイレの建設、糞尿の管理、四大害虫(ハエ、蚊、ネズミ、ゴキブリ)の駆除に力を入れ、1960年代に行われた全国愛国衛生運動ではトイレの建設が中心となりました。
しかし、改革開放の初期には、田舎のトイレはまだ比較的初歩的なものだった。当時、外国人が中国に来たときに一番苦痛だったのはトイレで、彼らは鼻で嗅ぐだけで道にあるトイレを見つけられると冗談を言っていたから、当時の公衆トイレはまだ汚れていて、匂いもひどかったことがうかがえます。 1980年代、中国はアジア大会の準備を機に、主に衛生や疾病予防の観点から、トイレの少なさや環境の悪さといった現状を変えるべく、全国で「トイレ革命」を起こしました。
21世紀以降、中国の都市部や農村部における「トイレを見つかるのは難しい」という状況は基本的に解決されたが、トイレは依然としてインフラの欠点でした。 多くの都市では、トイレの建設が都市計画の全体的な要件に組み込まれており、人々の文明的なトイレに対する意識が高まっている。農村部では、水道とトイレの改造に焦点が当てられ、環境衛生の改善を推進し、文明的な村や町の建設を促進しており、2020年までに中国の農村部における衛生的なトイレの普及率は、計画目標の85%に達しています。
数年前に我が家を建てたとき、政府は一体型の浄化槽を配り、さらに下水道の整備に1400元の補助金を出したが、その条件は「直接排水しないこと」でした。 経済の発展と都市建設の向上に伴い、都市には、排泄物を直接排出せず、定期的に回収する設備の整った「一体化」公衆トイレが多く見られるようになった。ゴミは分別され、古い町並みは改築され、清潔な環境が人々の衛生習慣を浸透的に変えていき、公共の場で唾を吐くことも珍しくなってきました。
数年前、中国人は日本、韓国へ旅行した時、よく温水洗浄便座を爆買いしていた。温度を調整できる便座が本当に快適だ。現在、国内ブランドのスマートトイレも、多くの家庭で普及しています。 外国人に批判されていた中国の公衆トイレ、衛生状態が良くなってきた。技術の進歩や文明・衛生に対する国民の意識の向上により、中国のトイレ問題はもはや問題ではなくなってきているようです。
続いてお風呂の事情を話そう。 三年前、当方が中国に戻った際、一人の幼馴染の別荘を見学した。その幼馴染が広州市靴の工場を経営しており、お金持ちとなっていた。彼女の別荘はたいへん立派だったが、当方は一つの「欠点」を見つけた。それは「お風呂がないこと」。正直にそれを彼女に言ったら、相手は「お風呂が必要ない。シャワーは便利だ。お風呂の掃除がたいへんだからね」と語ってくれました。
新築マンションでも、お風呂がある物件が極めて少ないようです。ほかの知人に聞いてみたら、皆がお風呂について、こだわらないというわけです。なぜお風呂は必要なのか、と聞いたら、「水や洗浄にコストがかかり、場所をとる」ということは主な原因です。
具体的原因には以下の四つです。
1、ますます高価になる住宅のバスルームには、バスタブを置く場所がないからです。 住宅価格が高騰している現在、大きなバスタブが浴室の大半を占めてしまうような余裕が、一般市民にはなさそうです。現代人にとって大きなバスタブはコストがかかりすぎるので、家を買うときには、スペースの使い方に気を配り、費用対効果を追求します。中国人が購入する家は、ほとんどが何もない状態なので、インテリアは基本的に自分たちで考えます。
2、シャワーの人気には設備の低価格化が関係しています。 お風呂とシャワーのどちらを選ぶかというと、シャワーを好む傾向があります。シャワーの人気や設備の低価格化もさることながら、もっと大きな理由は、シャワーそのものにあります。操作が簡単なこと、汚れがよく落ちること、そしてもちろん、最も重要なことは、つまり時間の節約です。
シャワーは、何事も効率的に行いたい、入浴に時間をかけたくないという中国人の心理に合わせたものです。お風呂に浸かるより、多くの人はチップスを食べながらソファに寝転がり、時間を忘れてテレビを観ることに熱中しています。
3、ホテルのバスタブは安心できないです。 中国のホテルのバスタブには、人々にはあまり馴染みがないと思います。それは、中国の人々が口にしない、感染性のある細菌など、浴槽の中に何か変なものがあるのではないかという恐れから、浴槽に立ってシャワーを浴びることになったのだ。
4、忙しくてストレスの多い現代人には、お風呂に浸かることは、そんな余裕や楽しみがなくなっています。 因みに、筆者の故郷福州には温泉があります。ただ、夏に人々はあまり温泉へ行かないで、冬の際に温泉を利用する人が増えます。夏にはシャワーもう十分で、寒い日はたまに温泉に行くという感じです。 多くの人は、一日中、非常に忙しい状態にあります。時には食事や休憩を忘れてしまうこともあります。心も体も仕事に没頭してしまい、忙しいスケジュールから解放されず、他のことに気を配る時間もなく、ましてやお風呂に入ってリラックスしたり、人生を楽しんだりすることもできないようです。
つまり、中国人が時間をお風呂に割きたくないです。 日本のお風呂事情について、中国人が不思議に思うこともあります。 例えば、日本の家庭では、家族で同じタンクの水を共有すること。一人目が浸け終わった後、二人目が浸ける。節水に関しては、日本人には感心させられます。 風呂上がりに水をそのまま流さないで、洗濯機と浴槽をつなぐパイプを使って、風呂の水を洗濯に使うという手もある。また、親子で一緒にお風呂に入れるなんて、中国人にはめったにないようです。
(メルマガ黄文葦の日中楽話第38話 中国に関する質問回答より)