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写場動美堂

モーショントレーサーを精神的に殺す振り付けの作り方

2014.01.07 13:55

こんばんは、MMDモーショントレーサーのRickです。

MMDでのモーショントレースというと、踊ってみた動画などの振り付けをMMDerがトレースする物が主流でした。
ところが最近のMMDライブや商業PVなどではトレースするための振り付けが作られることも珍しくありません。

しかしながら『人間にとっては簡単でも、MMDモデルにやらせるにはエグい動き』というのが多々あります。
この辺りを振り付け師の方が意識していないと、非常にトレーサー泣かせな振り付けが出来上がることになります(私も何回か経験しました)

そこで、今回はトレース用振り付けを作る人に知っておいてもらいたいことをまとめました。

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香港映画Pモデル(左)が人間のプロポーションそのままなので、ミクさんと比較して説明します。


まず、MMDモデルは人間に比べて肩幅が狭く(特に女性モデル)、頭が大きく作られていることが多いです。

これが振り付けにどういう影響を与えるかというと…。


『腕を真上に上げる』という動作が非常に難しくなります。
肩幅が狭いので腕が頭に当たってしまうのですね。
こういった動きはトレースするのはかなり難しく、トレーサー側で何とかアレンジする必要が出てきます。


例えば『頭の上で手を叩く』という振り付けがあっても、MMDモデルは真上に腕が上げられないので頭の斜め上で叩くようにしなければなりません。
こうなってしまうと、前後の振り付けの辻褄を合わせなければならなくなったり、腕でモデルの顔が隠れたりというデメリットが出てきます。

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次に、主に初音ミクモデルでよくありがちな現象。


初音ミクはスカートを穿いているので気をつけ』の姿勢を取ると腕がスカートにめり込んでしまいます。
こうなると、どうしても脇を開きがちにしてモーションを付けなければならなくなり、振り付けによっては違和感が出ることもあると思います。
これが意外と曲者で、振り付け師の方はモデルまで意識していないので未然に防ぎようがないのです。
過去の仕事で『振り付け師の方にはパニエを付けてもらってくれ』と言いたくなった事がありました(泣

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次に、MMDの仕様上、やりづらい動きなど。


このように、胸や腰といった『体の一部に触れる動き』はなかなかに厄介だったりします。
MMDでは上半身・下半身・腕・肘・手首など、関節の角度を一つ一つ手打ちで操作しなければならないため、手が常にどこかに触れているという状態を作るためにはそれら全ての角度を破綻なく制御しなければなりません。
下手すれば1フレーム(30分の1秒)単位で調整が必要になります。これが非常に辛い。


表現の幅を狭めることになるので一概には言えませんが、『手を組む』という動きもMMDモデルは苦手です。
手の構造が人間と異なる上に、手を組みながら動くとなると上で述べた関節の角度調整を非常に細かいレベルで行わなければならなくなります。これもまた辛い調整作業です。

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私のこの動画でやっているような『固定された物を持ちながら動く』というのはMMDモデルが特に苦手とする動きです。
トレース元が少ないのを考慮しても、こういった動きをしているMMDモーションは殆どありません。
ボーン改造などを行わない、通常のMMDモデルでは不可能と言って良いと思います。

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駆け足になりましたが、人間に比べてMMDモデルが出来ることはかなり制限されます(逆もまた然りですが)
他にもこういった動きはヤメテ!というのがあればコメントなど頂ければ嬉しく思います。

トレース元を作られる方がこの記事を読んでいただければ幸い(無理だろうなあ…)