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鳥取天文協会 Tottori Society of Astronomy

2021年7月のIAU(国際天文学連合)リストの流星群活動チェック

2021.10.07 13:03

河越彰彦

梅雨明け早いが天気安定せず
 流星群活動が活発になる時期だが、晴天は長続きせず観測量は少なかった(表1参照)。従って対象となる流星群も総数で32個と少ない。

 その中にあって、№7ペルセウス群、№26みずがめδ群は活発で、№1やぎα群も弱いながら活動が認められた。実は、みずがめδ群は南北二系統に分かれて活動する流星群であるが。放射点仰角の関係で南系統は観測実績が大変少ない。

 その他、第2級の流星群は表2に示すように8割が未確認であった。この割合は毎月ほぼ同じで眼視観測の限界だと思われる。今回はそれに関して考察を試みたい。

カメラ観測と眼視観測の本質的な違いの考察
 7月末から8月始めにかけて、はくちょう座流星群がカメラに複数捕らえられ、同時観測での軌道決定も数個あったという報告があった。このはくちょう群は8月中旬に見られる群であるが、なぜか今年の活動は早く、別表の№184 GDR(7月γりゅう群)も活動したようだなどと報告もあった。しかし筆者などの観測では確認できなかった。

 今までもこのような事例は珍しくないので、カメラと眼視の違いを考えてみた。いま、撮影時間(T)のカメラがN台である群のM個の同時流星を捕らえたとする。同時流星は異なる複数の地点のカメラで同時撮影して軌道が得られたことを意味している。カメラ一台あたり一時間あたりのある群の出現数HRpは

HRp=M/(T・N)

 具体的にT=5、N=30、M=6とすれば(分母は控えめな数値だが)

HRp=6/(5×30)=0.04

 0.04は眼視観測ではほぼゼロの世界である。つまり機械システムの自動カメラは人間とちがい疲れも感情もなく長時間撮影を各地で何台も動いている。そんな全国的撮影システムが捕らえた流星数は膨大に及ぶが、対象となっている流星群の流星数ははるかに少ないので、そのパフォーマンスを眼視観測と比較すること自体ナンセンスではなかろうか。小さな群をTVカメラで捉えたのは事実ではあっても、人間主体の眼視観測から見ると活動評価できないほどの微弱なレベルである。

 この事情を理解しないと、TVカメラで捕らえたから眼視でも観測できると錯覚してしまう。この意味でカメラと眼視は見ている領域が違う。これが本質的な違いである。以上

(付録)流星観測中のいろいろな出来事
 人気のない深夜には想像もできないことが起こる。天文現象ではない恐怖の出来事もあるが、すべて記録されている。何かの役に立つかもしれないし、知らなかった方が幸せな事例もある。差し障りもあるので詳細は記さない。捜査機関に提出した事例もある。

 【恐怖レベルの低い事例】野生動物、外来種動物の出没。泥酔者の失態、不法投棄。

 【恐怖レベルの高い事例】深夜俳諧する不審人物。白昼にも出没する同一人物。
             列車妨害。盗撮者と車両。

 町内は防犯意識が高くカメラ設置(撮影明示)も少なくない。各家庭で多分記録されている。嫌がらせ、郵便ポスト荒らし、近所の不審火もあった。みな画像記録されている。しかし宇宙人や幽霊はまだ見ていない。出没するのは現世の生物である。