ネロ浴場 Terme di Nerone
ネロ浴場(Le Terme di Nerone または Alessandrine )は、紀元64年に、ネロ帝がローマのカンプス・マルティウスに建設したローマ浴場。
パンテオンに隣接して建てられた古代ローマで最初の公衆浴場であったアグリッパ浴場(Terme di Agrippa)に次いで、2番目に造られた公衆浴場。アレクサンデル・セウェルス帝(Alessandro Severo)が227か229年に改築した。
上の写真は、サンテウスタッキオ通り(Via di Sant'Eustachio)に残る227年改築時の2本の円柱(Colonne delle Terme Alessandrine)
ネロ浴場はパンテオンとドミティアヌス競技場(現在のナヴォーナ広場)の間にあった。
現在のパンテオン前のロトンダ広場(piazza della Rotonda)と、ポッツォ・デッレ・コルナッキエ通り(via del Pozzo delle Cornacchie)、ドガーナ・ヴェッキア通り(via della Dogana Vecchia)を含む、約190x120 mの広さであった。
紀元5世紀も利用されていたことが確認されている。
詩人のマルティアリス (Marco Valerio Marziale)は「ネロ帝悪いものはいるか?ネロ帝の浴場より良いものはあるか?」と残している。
現在、ネロ浴場の遺構はほとんど残っていないが、貴族の家やサンピエトロ大聖堂などの教会の建設時に遺構を再利用している。
パンテオン神殿
1666年にパンテオンの改修時に、建物の赤色御影石の円柱のうち2本を用いた。下の写真左端の全面と側面の色の違う2本がネロ浴場のもの。
ヴァチカン美術館の中庭(Cortile della Pigna)
松の実の台に使われているカピテッロ。
↑写真はトリップアドヴァイザーより
マダマ宮殿
ネロ浴場跡に建つマダマ宮殿(イタリア上院議事堂)内の工事中、1980年代後半に、浴場の壁の一部とエジプトから運ばれた可能性のあるカルダリウム(高温浴室)のハイポコースト(古代ローマのセントラルヒーティングシステム)が発見された。16世紀頃までは浴場の南側部分のカルダリウムの基礎が地上に見えていた。
上院議事堂の噴水 La fontana del Senato
上院議員のローマ市民 Giovanni Spadolini により修復された風呂釜がローマに寄贈されたものが、 piazza della Costituenteにvia degli Staderari と via della Dogana vecchiaの間 と piazza Sant'Eustachioに移設された。
↑写真はウィキペディアから(確認次第更新)
ヴィルゴ水道
ネロ浴場の水は、ヴィルゴ水道(Acquedotto Vergine)から分岐したアレクサンドリナ水道(Acquedotto Alessandrino)により供給されていた。