Vino del páis (地ワイン)
また地ワインの季節がやって来た。
これを飲むともう春だ。
昨年ぶどう畑(viñedo)で収穫したブドウで作ったワインをボデガ(bodega)に集まって飲んで騒ぐのだ。
小規模なボデガなので外に出回ることはなく、まさしく地産地消。
地元でしか、しかも、この季節にしか飲めないワインなのだ。
大抵のボデガはワインと場所を提供するだけ。
ワインのおつまみは自分たちで持ち寄り、その場でカットし使い捨て皿に盛り付ける。
室内で行う桜のない花見のようなものだ。
おつまみはガリシア州の定番ばかり。
野菜、肉、海産物などをパイ生地で包みオーブンで焼いたエンパナーダ(Empanada)。今回は50cm四方はありそうな巨大なエンパナーダだ。
ベタンソス風オムレツ(Tortilla de Betanzos)。
チョリソ(Chorizo)
オイルサーディン(Sardinas en lata)
デザートは、チーズとメンブリージョ(Queso con membrillo)。
メンブリージョはマルメロ(西洋かりん)の砂糖煮(ゼリー)のこと。
これがガリシアの味も食感もソフトはチーズにぴったり。
用意ができたら、乾杯だ。
ワイングラスなんていうおしゃれなものはなく、どんなに揺らしても倒れる心配のない背の低い寸胴のグラス。
ワインもボトルになんか入っていない。樽から直接ピッチャーに注ぐだけ。
乾杯の合図は、"Arriba, abajo, al centro y adentro" 。
アリバで手に持ったグラスを上に、アバホで下へ、アルセントロで前に突き出し、アデントロで口の中に流し込む。
デザートまで食べると、最後は歌だ。
必ず一人か二人ギターの弾ける人がおり、演奏に合わせ歌い始める。
何曲かは聞いたことのあるメロディーだが、それ以外はガリシアの民謡だ。
全くわからないが、みんな嬉しそうな顔をして歌っているのでこっちまで嬉しくなる。
今年の春はあと何回地ワインが飲めるかな?