4月の誕生石、ダイヤモンドのこぼれ話
ダイヤモンドが文献などに登場するのは、ローマ時代になってから。
プリニウスの『博物誌』第37巻に記されているそうです。
そこには、ダイヤモンドの名前の由来と言われる「アダマス=adamas(ギリシャ語、征服されざる、無敵の)」は、鉄鋼を含めた硬い物質のことで、ダイヤモンドもその一種としてまとめられているそうです。
その中でも、特にインド産の透明な平面が六つの角を作った結晶=いわゆる正八面体の結晶(上画像はイメージです)もつ鉱物と記されているとか。
まさに文献に残る最古のダイヤモンドとなります。
カットが難しいため、アンティークジュエリーには、ローズカットなどがカット面の少ないダイヤモンドが多く使用されています。
現在のラウンドブリリアントカットは、17世紀ごろにテーブル面より下のパビリオン部分に細やかなカットを入れる、いわゆるブリリアントカットの原形が作られていたそう。
それを反射・屈折率といった光学的特性を数学的に考慮して最も美しく輝く型を理論的に見いだし、各ファセット面の形状や角度を算出したのが、マルセル・トルコフスキー。
このラウンドブリリアントカットのダイヤモンドはアイデアルカット(理想的なカット)と言われ、この名は商標も取られています。
このラウンドブリリアントカットが誕生してから、ダイヤモンドが「宝石の王」なりました。
それまでは宝石の王は、ルビー。今は女王と言われますね。
ルネッサンス期の著名な金細工師も当時のダイヤモンドの価格は、ルビーやエメラルド以下で価格もルビーの8分の1以下と決めていたそうです。
未加工の状態では美しさも少ないダイヤモンド。
ですが一部では大切な石として考えられた時もあったそう。
それは正八面体という結晶の形、鉱物としては珍しいため神秘性をみ、また何物より硬いということも呪術的な伝説なども希少性とともに取り上げられたようです。
ラウンドブリリアントが誕生してから、世界に広がるようになったのですが、広がる要因は産出量が多いからです。美しくても量が取れなければ、貴族のみの嗜好品。(ロシアのでマントイドガーネットなどはロマノフ王朝の王侯貴族のものでした)
ダイヤモンドの産出国は、20カ国以上。古く発見されたのはインド。
現在の取引額からいうと、ボツワナ、ロシア、南アフリカ、カナダ、オーストラリア、ブラジル、中国等だそう(工業用除く)。
カラーストーンは地層やその地質によって生まれるところは限定されますが、
ダイヤモンドができる環境は、マントル(地球の内部にある核の外側の部分)に高い圧力がかかることで作られます。マントル部分で生成されるからこそいろんな国で取れるということですね。ただ地表に出てくる過程によって性質が異なり、結晶の形や色など変化していきます。
ダイヤモンドも天然石。色も内包物も全て個性といえますね。
カラーストーンと同様に、肌に乗せた時、また身につけた時のバランスなど見て、自分自分にあったダイヤモンドがあると言えるのかもしれません。
マントル内の深さが120キロメートル、温度が1000度付近で、それより高温になると石墨になり、低温になるとダイヤモンドの結晶ができるそう。日本列島のマントルは高温部分に入るため産出は難しい。出ても宝石質は無理。