超人ザオタル(37)戸惑いの瞑想
2021.10.12 00:51
すでに部屋は深い静寂に包まれていた。
私たち三人はそれぞれに瞑想に入っていった。
私はいつもより強い力で自分の意識の奥へと沈んでいった。
だが、意識だけはぼやけることなく太陽の光のように鮮明だった。
あの場所で私は静止した。
そこは私がいるだけの世界だ。
認識だけが冴え冴えとして、何かを待っているようだった。
果たしてここに意味があるのだろうか。
この認識は私自身だった。
それは何度確かめてもそうだった。
だが、それがどうしたというのだろうか。
いつもここで行き詰まる。
私とは誰なのか。
ここにいる私とは誰なのか。
それはザオタル自身のことだ。
いや、そうではない。
これはザオタルではない。
この認識にはザオタルであるところの何も備えてはいない。
ただの純粋な認識であり、存在しているだけだ。
そこにはザオタルの知識も能力も、性格さえない。
過去の体験の記憶、歓びや苦悩さえない。
私独自の思考もなく、感情もない。
この思考は認識の外側にあるのだ。
この認識自体に思考はない。
そうだ、これはザオタルという個人を超えているのだ。
私はザオタルではなかった。
だが、瞑想していたのは確かに私ザオタルだったはず。
ザオタルはどこに行ってしまったのか。
ザオタルは完全に消失していた。
そこには私という認識だけしかない。
これは私という自分についての概念を覆すことだ。
そうだ、最終地点とはこうして今までの概念を変えていくことなのだ。
アムシャの声が聞こえた。
「ザオタルを捨てられるか」
私はそれに即答できなかった。
それはあまりにも唐突すぎたのだ。
自分を捨てることが自分を知ることになる。
最終地点では、さなぎが脱皮するような概念の転換が起こる。
だが、それを受け入れることができるか。
私はそこで戸惑った。