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Naoko Kotaniguchi Official Blog

新しい時代

2021.10.13 14:50

そんなわけで、泣いても笑っても、定期のリハーサルが始まっています。


指揮の沖澤のどかさん、初めて来てくださるので、どんなかなぁ、と思っていたら、なんとまぁ、本当に素晴らしいです。

女性の指揮者でも、あんなに肩肘張らずに余計な力が全部抜けて振れる人、いるんだ、と、まずびっくり。

音楽そのものじゃなくて指揮科の先生とうまくやることを覚えたり先輩指揮者の言うことや言い方ばかりを覚えて安物の営業マンみたいな気の毒な人がとても多いように思える中で(個人の感想です)、余計なことを言わず、私たちを無駄に褒めたりせず笑、ちゃんと音楽を分かっていて、ちゃんと音楽のやりとりが安心してできるちゃんとした若手指揮者が珍しくて、またびっくり。

そして、妊婦さん。…新しい時代が来たなぁ、と、うまく言葉に出来ない驚きと感銘をおぼえています。

私たちの時代では、とても考えられなかった。いろんなことがです。本当に素晴らしいと心から思います。


女性の社会進出、と言いながら、気づけば男みたいな女の人や、女から見てもどうなんだろうと思ってしまうような女の人しかあのおじいさん談合に歓迎されていないように見える日本の政治家の世界や(個人の感想です)、男性に劣る体力や体格を力一杯振ることや目力や顔芸で補おうとしてるのかと思えてしまうことが多かったこれまでの指揮者業界(個人の感想です)などなどとは確かに一線を画すように見える、マエストラ沖澤さん。新しい時代です。

ダフニスとクロエを、あぁ、女の人の棒で音にする良さって確かにあるな、これは全く新しい、と、心から感動しています。あの柔らかさと繊細な指先は、男性には無いもの。他方、最小限の力で、巧みにオーケストラからパワーを引き出す…明日ホールに行ってみて、一体どんな音になるか本当に楽しみです。あと1日リハーサルして、本番。彼女の描く音楽を音にできるよう、精一杯つとめたいと思います。



***

ラヴェルやドビュッシーの楽譜は、1番・2番奏者の譜面が2段で書かれて1冊になっていることが多くてですね、隣と一緒に吹くところや、交互に掛け合いで吹いたりするところがとても分かりやすくなっていて、(そのぶん譜めくりは多くなるんだけど)とても好きです。そうじゃなくても相棒であることには変わりないんですが、目に見えるだけに、バディ感が強くて、楽しい(落ちたり間違えたりしたらすぐバレちゃうけど笑、すぐ助けてももらえる笑)


今回のバディは、先月に続いて、筒井さん。全曲、筒井さんと1番2番で通しで乗ります。


あーでもないこーでもないと喋りながらリハーサルや休憩が進んでいくんですが、面白かったのが、「ジジイ指」。

前回のブログで、「替え指」がないか苦し紛れに探してみたりする、という話に少し触れました。「替え指」というのは、

[前後の音の並びの関係で正規の指使い(運指)だと指がこんがらがって速いテンポだととても困難だ]

などという場合に、もう少し少ない指運びや楽な運動で代替できる魔法の指使いを見つけられたらそれを採用することなどを表すのですが(特に高音域は運指がたいへん複雑で、なおかつ替え指のバリエーションもそこそこあるので、たくさん知っていればいるほど、身を助けることが多いです。テンポが速くて困っている時に限らず、例えば音程に困っている時やpppで確実に鳴らしたい時、発音を美しくキメたい時など多岐にわたります)、

筒井さんは実はたいへんな[替え指]名人で笑、時々とても頼りにしています。

で、今回も、リハーサル初日に出勤するやいなや、ここの指はどうしてる?あそこはどうでしょうねぇと、わいわいしていたのですが、筒井さんが[替え指]のことを


[ジジイ指]


と呼んでいて笑笑笑…。

若い時のようには何でもガムシャラに吹かないし吹けないし根性が足りなくなる代わりに経験と悪知恵(工夫!)だけは身について、あの指、この指と省エネな指使いで何とか乗り切るようになること。=ジジイ指。

じゃ、私はババア指だ〜!

わはははは。


「さ、帰って練習しよう。」

…となった、リハ2日目でした。


京響・今月の定期演奏会は久しぶりに金曜日の夜、一夜限りです。

どうぞお聴き逃しなく!!

【10/15(金)19時開演、京都コンサートホール】




(あれ、今日はちょっと危険な発言があったでしょうか、くれぐれも、このブログは個人でひっそりお楽しみください、どこかにシェアしたり、リンクを貼ったりはご勘弁くださいね。)