中国の海軍力増強の狙いは何か②
<中国主導による秩序作りと海軍力の海外展開>
さらに遼寧省大連の造船所で建造されている中国初の国産空母「山東」が、中国海軍の創設日にあたる4月23日に進水する予定だと、香港紙が報道している。空母「山東」は2年間の試験航海を経て、19年に実戦配備される予定で、配備先は、南シナ海を管轄する海南島三亜の南海艦隊基地になる見込みだという。
(「中国初の国産空母「山東」、4月に進水か」朝鮮日報日本語版3/29)
増強される「海兵隊」=海軍陸戦隊は、原油の輸入ルートなど海上のライフラインを守り、海外で拡大する中国の権益の安全確保が狙いだとされ、増強された要員のうち1万人は「アフリカの角」ジブチに配置するという。そのジブチには中国が海軍基地を建設している。米軍と仏軍もジブチに軍事拠点を置き、米国は4000人の兵員を配置しているが、中国が陸戦隊1万人を配備するとなると、米軍の2.5倍の規模を持つことになる。何のためにそれほどの大部隊の駐留が必要なのか?
中国国防省は、世界でもっとも通航量に多い水路で、中国海軍の基地施設は、海賊対策、人道支援・平和維持活動の物資供給、ロジ支援が目的だという。軍事専門家は、陸戦隊は中国の「一帯一路」構想に沿って、その軍事プレゼンスを示す役まわりがあると見る。東南アジアから東欧まで「一帯一路」のエリアで、貿易・投資の新しい枠組みの安全保障を担保する役割が中国の「海兵隊」というわけだ。
中国は自ら主導して世界の新しい経済秩序を作り、ルールを作ろうとしている。それがAIIBや一帯一路だ。しかし、そうした中国によって作られた秩序やルールを守るために、中国が自らの軍事力を使うとしたら、われわれは安心できるだろうか。南シナ海の「九段線」をはじめ、彼らの主張は独断、一方的であり、自分たちに不利なハーグの仲裁裁判所の裁定は、受け入れを拒否するなど、国際法を無視して憚らず、自らはルールの破壊者になっている。そんな国の軍隊に自分たちの安全をほんとうに委ねてもいいのだろうか。ルールの破壊者に誰が秩序の維持を任せようと思うだろうか?
中国はTHAADの韓国配備に反対し、韓国に対しては弱いものイジメや嫌がらせにも等しいさまざまな経済制裁、妨害行為を行っているが、THAADの韓国配備で中国のミサイルがすべて筒抜けになるという中国の言い分は、単なる口実に過ぎず、朝鮮半島を含めて東北アジアのこの地域で、アメリカの軍事的優位性が高まり、アメリカの影響力が拡大することを中国が嫌っていることを示すに過ぎない。世界の覇権国を目指す中国は、自身が主体になってこの地域の秩序を確立したいと考えているが、その中国ののど元で、アメリカが軍事的プレゼンスをあからさまに示し、あたかもこの地域の支配者ルーラーの如く振る舞うことには我慢ならないのだ。
THAADの韓国配備は、北朝鮮のミサイル発射に備えた防衛対処であり、THAADの存在を中国に気にするということは、中国が韓国や在日米軍基地を狙ってミサイルを発射する意図があるということだが、中国の軍関係者は「THAADが韓国に配備されても、電磁気を使った妨害装置でTHAADを無力化できる」としていて中国の軍関係者がTHAADにそれほど脅威を感じていないことは明らかだ。
(「ミサイル防衛を無力化」中国が“電磁気”装置を配備 元軍幹部が言及産経3/19)
(続く)