『レ・ミゼラブル』2021年 終演によせて。
ミュージカル『レ・ミゼラブル』
松本公演の千秋楽、10月4日をもって、大千秋楽を迎えました。
この時勢にもかかわらず、これまでご来場、ご声援くださった皆さま、本当にありがとうございました。
インスタライブをやっても、質問にあまり明確に答えないことの多い僕ですが
珍しく、自分からしゃべります。(笑)
自分のホームページだし。そういう場であってもいいのかもしれない、と思っての、この記事です。
閉幕から時間が経ってしまい申し訳ありません。
ここに来るまで、いくつもの試練があったレミカンパニー。博多座の公演が途中で中止、大阪は全公演中止となりました。
たくさんの方の、さまざまな想いがあったことと思います。罹患された方も居りました。
そんな中、多くの方のご声援、ご尽力のもと、上演に漕ぎつけたことを忘れません。
こんな時代に舞台なんて、と思われる方もいらっしゃると思います。
コロナのパンデミックが始まろうとしていた2020年2〜3月、僕は舞台に立っていました。
その当時の僕は、終演後のまとめとして、こう書き残していました。
「この状況下でも、これを生業として生きている、生きようとしている人間がいる事を示したい。」
その気持ちは今でも変わっていません。
演劇そのものは、社会と繋がるのに、社会は演劇とは結びつきづらい、のかなとか、思ったりします。
それは、演劇がどうあるものなのか、広くは社会的に認識される必要があるという事だとも思っています。
「職業」は俳優です、と胸を張って言えること。
そうなるためには、どうすればいいのか。
自分はどうするべきなのか。どうなりたいのか。なるためにはどうすればいいのか。
尽きません。答えも出ません。
ある先輩が昔(ガブローシュやってた頃)「生きることとは問い続けることだ」と仰ってました。
自分にも、少しはその意味が分かるようになったのかもしれません。
千秋楽の挨拶で、石飛さん(工場長役)も言っておりましたが、舞台に立てることのありがたさを、これほどまで感じたことはなかったかもしれません。
カーテンコール、千秋楽を迎えることなく終わってしまったキャストのみなさんの顔が浮かんできました。
恥じない舞台をつとめられたと思います。
ほんとうに、ありがとうございました。
またいつか、みなさんとご一緒できることを願っています。
商業ミュージカルとしてはロングランのこの作品。
帝劇に入ったのが5ヶ月前、最初の稽古が8ヶ月くらい前でしょうか...一年の多くの時間を、この作品と過ごしました。
2年前と同じ役、同じ枠で、同じ作品に参加するということは、初めての経験でした。
ジョリとして、今の自分が出来うることは、やれたのかな...と終わってみて感じております。また時間が経ったら、色々と浮かんでくるのかもしれませんが。なんだってそうですけど。「完成」することはないと思うので。
今年の写真たちを紹介します。
インスタ不精なもので、投稿しきれていない写真も含めて。
帝国劇場。初めて立ったのは実はレミゼより前。その経験がきっかけで今の僕が居るのかもしれません。
組み合わせの多かったおふたり。フイイ役 岩橋大さん、コンブフェール役 鈴木たけゆきさん。たけさんとは、なんと全公演一緒でした!!
ほんとに今年は組み合わせが極端でした。
2019よりお世話になっている、ぼりさんこと、レーグル役 深堀景介さん。
色々話しました。これからも色々話すんだろうな。
こちらも2019年から一緒の、エポニーヌ役 唯月ふうかちゃん。
姉さん、ほんとにお疲れさまでした!
扮装写真(ムラタブログさんより)
ABCの友。過ぎた日に乾杯、です。
博多座。2007年にはじめて立った時から大好きな劇場です。
三浦宏規くん。2019年、今年と一緒でした。前回と、全然違うと思ったのは僕だけでしょうか。すごいよ。
来年も、よろしくです。ハクさま。
2007年ガブローシュ 同期の横田剛基。
2019年よりも、頼りまくりでした。どうもありがとう。またやりましょう。
まつもと市民芸術館。
色々考えさせられる大きな劇場でした。
元事務所の先輩、土倉有貴さん。
ペアルックすぎて撮った写真。
松本城と新井海人。
一幕中盤、ジョリとして登場してから、砦まで一緒の、若い娼婦役の笠行眞綺ちゃん。
同い年、東京〜松本までの全公演で一緒でした。
今年の新井ジョリは、笠行若い娼婦(当然一緒にいるシーンでは娼婦ではないです、別の人物です)無しでは、存在できなかったです。ありがとう!
2019年からご一緒させて頂いている、マリウス役 内藤大希さん、アンジョルラス役 相葉裕樹さん。大好きな先輩お二人と戦えたこと、忘れません。
今回、チケットの郵送等の都合もあり、私書箱を開設させて頂きました。
有難いことに、私書箱宛に、お手紙なども頂きました。確かに、お受け取りしました。
この場を借りて、本当にありがとうございます。
表現の方法は違えど、オリジナル版から数えて三度。
レミゼの世界を生きることができて幸せでした。
エピローグのシーン、バルジャンを迎えて2コーラス目に入る時。あの瞬間はひとりの役者、ひとりの人間、新井海人として、お客様へ問いかける場面でした。
僕は、劇場にいらして頂き、お客様お一人お一人が持って帰って頂いたモノ、それが総てだと思っています。
光夫さんの言葉を借りれば「記憶」なのでしょうか。
時勢もあり、今回はご覧いただけなかった方もいらっしゃったことと思います。
いつか、また劇場でお逢いできますように。心から願っております。
いらっしゃる事ができなかった方へも、届くように、歌詞で締めくくらせて頂きます。
「列に入れよ 我らの味方に
砦の向こうに 憧れの世界
みな聞こえるか ドラムの響きが
彼ら夢みた 明日が来るよ
明日は」
2021年 ジョリ役 新井海人