十三夜

久しぶりの青空です。気温が下がって今秋一番の冷え込みです。

今夜は十三夜。この分で行くとお月見ができそうです。中秋の名月を観る十五夜が、中国伝来の行事なのに対して、十三夜は日本独自の風習だそうです。秋の収穫を祝う行事とも重なったのでしょう。

十五夜を愛でて、十三夜を観ないことを「片見月」と言って縁起が悪いとする風習があります。どうやら、遊里の習わしが庶民の間に喧伝されたらしく、十五夜を共に眺めた客に十三夜にも再び訪ねてもらいたいと言う商魂があったようです。とはいえ、十三夜の語感にはえもいわれない情緒が漂い、古くから小説の中で男女の心模様を描く背景になりました。樋口一葉の「十三夜」、伊藤左千夫の「野菊の墓」などなど。

　日本の都に住みし十三夜　　　　　正岡　子規

　外に出て手足の冷えや十三夜　　　森　　澄雄