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地域づくりファシリテーション研究所

第21話 枠組みを示す その3

2021.10.17 22:00

枠組みを示すことをファシリテーションの視点で考えてきました。

少しだけ補足したいと思います。


これまで述べてきたのは、主にコーチングの視点からの話でした。

つまり、枠組みがあることによる促し。

主体となる人たちがそれぞれ考え、自分の言葉で整理し発信する。

その設えの支援です。


そのようなファシリテーション。

実は意外に周りに溢れているのかもしれません。

意識しているかいないかに拘わらず。

僕自身も、思えば無意識的に枠組みを示すコーチングをしてきたようです。

また、同じように、他の人からコーチングを受けてきたことでしょう。

共通するのは、これらが、どちらかというと個人レベルだということです。


でも、枠組みを示すことは、個人レベルを超えた規模でも起こります。

組織とか、社会全体とか。


前に例示した研究の整理の話。

これは、もっと大きな規模でのファシリテーションでもあるのかもしれません。

限られた資源(この場合は予算(カネ))をどう分配するか?

それを決める手順や方法を見える化し、不公平を小さくする。

そう促すのが「枠組み」ではないでしょうか。


前々回のHさんの例も個人レベルを超えています。

それは、地域づくりのビジョンを標語にする話でした。

一見すると予算のことは出てきません。


でも、その裏に重要なことがあります。

地域の未来のために特に重要な施策は何か?

その優先度を決めるのがここでの議論の本質。

標語というのは成果物であり、そこに魂を入れるのが優先すべき施策群です。

なので、有限の資源の分配のしかたの議論でもあるのです。


Hさんに「降ってきた」枠組み。

それを使って参加者が議論を収斂する。

これはまさに資源配分の可視化と、不公平感の低減。

少なくともこうした議論に対して意識を向けている市民たち。

これらの人たちにとって、「知らぬ間に決まっていた」という事態を防ぐ。

そんな効果もありそうです。


個人と組織。

「組織」のところは「地域」や広く「社会」に変わるかもしれません。

両方に生きるファシリテーションとしての枠組み。

僕もミクロとマクロの両方の視点で考えてみたいと思います。


この文章を書きながら、僕の考えも段階的に整理できました。

考えてみれば、このブログという発信のしかたもひとつの枠組みです。

この枠組みのおかげで、期せずして自分の整理と発信を設えてもらいました。