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超人ザオタル(38)それぞれの道

2021.10.19 00:09

ザオタルを捨ててどうなる。

いままで道を歩んできたのはザオタル本人だったのだ。

道での苦悩も歓びもすべてザオタルに必要な体験だった。

それをいまここで捨てるのか。


道での体験がザオタルをつくりあげ、精神を成熟させたのだ。

この道の成果ともいうべきものを捨てるのか。

いや、もっと違う答えがあるはずだ。

これは間違いかもしれない。


自分はザオタルであり、ザオタルが道を極めるのだ。

私はそこで壁に道を阻まれてしまった。

何の動きも取れない。

消化できない理解のために気分が悪くなってきた。


私はもがきながら意識の中を浮上していった。

まるで溺れた人のように世界の空気を求めた。

徐々に身体の感覚がもどり、私は部屋の清廉な気を感じた。

ゆっくりと目を開けると、ふたりはまだ瞑想していた。


私は確かめるように自分の身体に触れてみた。

それは確かにザオタルだった。

ザオタルである確かさがここにある。

これを捨てることなどできるのだろうか。


ほどなくして、ふたりの身体が小さく動いて呼吸を始めた。

瞑想から覚めてきたようだ。

身体をほぐすように動かしてから、ふたりは同時に目を開けた。

ふたりとも星空のような美しい瞳をしていた。


私はその瞳を見つめて微笑んだ。

「さて、瞑想はどうだったかな」

私は自分の動揺をかくすように穏やかな口調でそう尋ねた。

アルマティが答えた。


「ええ、とても素晴らしいものでした、ザオタル。

いま何と言っていいかわかりません…。

何と言っていいか。

心の中にも道があって、そこをゆっくりと降りていきました。


そしてとても静かな場所に着きました。

とても心地よくて、ずっとそこにいたいと思える。

まるで生まれ故郷のような懐かしさもありました。

私はそこを知っているとも思いました。


はじめての場所ではないような。

もちろん、それは瞑想してはじめての感覚なのですが。

だから、とても不思議な感じがします。

いまはとても心が軽くなって、何か新鮮な気持ちがします」


タロマティが言った。

「私の瞑想も同じように静寂でした。

何の思考も浮かばず、数多くの心配事さえどこかに隠れているようで。

これが道なのかどうかは分かりません。


でも、確かに私はそこで何かを見つけなければならないと感じます。

いえ、いまだからそう言えるのかも。

そこにいるときは、それだけで満たされていました。

それ以上の何かなど必要ないと。


ああ、まだよく整理できません。

でも、瞑想は新しい扉を開いてくれる気がします。

私にはこれが必要でした、きっと。

ありがとう、ザオタル」