ナポレオン19-ナポレオン法典発布
2021.10.19 08:51
1804年3月21日、フランス民法典いわゆる「ナポレオン法典」が発布された。この法典は、フランス革命の成果である、万民の法的平等、所有権の保護、信教の自由などの原則を具体的に法律化したものである。しかし革命政府のように過激に走らずに、旧制度にも配慮した法典となっている。
歴史ヲタのナポレオンは、ユスティニアヌス大帝の「ローマ法大全」を知っているどころか、いくつかはそらんじられたらしく、自分もそういう偉大なレガシーを残したいと思っていたのだろう。シャルルマーニュことカール大帝も、帝国法を編纂している。自身の成果として後世に残るのはこの法典だと言っている。
確かに、フランスの属国にはこの民法典が強制されたことで、国民の権利が普及することになった。しかしナポレオンの治世で、どこまで使われたかは疑問である。法の前の平等といいながら、妻の権利はまるでない。これはフランス革命の限界と後退であり、それが固定されることになった。
そして、この後ナポレオンの一族は皇族になる。法の前の平等といいながら、皇帝ナポレオンや息子王達は実は、その国民の地位を免れているのである。ナポレオン法典も、自分から国民への下賜だと思っていたのだろうか。ナポレオンのこの矛盾はますます大きくなっていく。