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Classic Music Diary

TELEMANN; Fantasias for Viola da gamba solo

2021.10.19 10:16

John Dornenburg (Centaur) FLAC 96Khz/24bit


後期バロックのゲオルグ・フィリップ・テレマンが作曲した作品は4000曲に及ぶといわれる。同時代に生きたヨハン・セバスチャン・バッハとはもちろん親交があり、テレマンはバッハの息子のカール・フィリップ・エマニュエル・バッハの名付け親でもある。当時はJ.C.バッハよりもはるかに人気があり、バッハはむしろオルガニストとして有名だった。 

 現在では作曲家としてのバッハの名前を知らない人はまずいないだろうが、テレマンの名前は残念ながらクラシック好きでもバロックを聴かない人だったら知らない人がまだ多いのではないだろうか。300年たつとどうしてこう評価が変わってしまうのか不思議なものだ。 

 4000曲は全ての器楽、音楽スタイルに跨っているのでその作風を一概にいうことはできないだろう。バッハ以上に悲痛な曲だってあるに違いないが、このアルバムでのテレマンの作風は明らかにバッハとは違う。バッハは数学に支配された音楽というものを宇宙の調べとして捉えており、また自らが並ぶ者のないオルガニストだったために高度な演奏を要求して演奏でアッと言わせるものもある。

一方で、市民のための音楽を心掛けていたテレマンは、アマチュアでも楽しめるように演奏が容易な曲も多いと言われている。もちろん演奏容易だからと言って音楽的に優れていないわけでもない。この、『ヴィオラダガンバのための12のファンタジア』にしても12曲でひとつになる緻密な世界を形つくっており、また楽器の多彩なテクニックも要求している。ただ、やはり美しく明快なメロディが魅力であって、そのヴィオラダガンバの音色が何とも心地よい。テレマンの音楽はもっとポピュラーになってもいいと感じる。

2021-836