ものがたり『バガヴァッド・ギーター』第7話
2017.04.10 23:00
あわれみと悲しみに胸がいっぱいになり、
目に涙を浮かべたアルジュナを見て、 アルジュナの友人であり、
至上主でもあるクリシュナは、
次のように語りかけました。
「アルジュナよ、
こんな大事な時に、
なぜそんな気弱なことを言うのか。
人生の意味を知るアーリア人の言葉ではない。
そんなことでは、
汚名を着るばかりか、天界にもいけず報われない。
男らしくないぞ。
君にはまったく不似合いだ。
敵をこらしめ罰する君よ、
弱気になるな、さあ立ち上がれ!」
アルジュナ言う。
「祖父のビーシュマや師と崇めるドローナ師に、
どうして弓を向けられましょうか?
私はむしろ崇拝したいくらいです。
その様な立派な方々を殺すくらいなら、
私は物ごいになって暮らすほうがいい。
たとえ欲に目がくらんだとしても、
彼らは目上の人。
殺せばその勝利もその血で呪われましょう。
ああ、私はどうすればよいのか。
敵に勝つべきか、負けるべきか?
殺せば私も生きたいとは望まない。
ドリタラーシュトラ側についた
親しき彼らと対陣するとは。
心の弱さゆえに戦う気力を失い、
どれが正義の道かわかりません。
どうか、最善の道を教えてください。
私はあなたの弟子となり、
絶対に教えにしたがいます。
たとえ、
天界の神々を支配する力で
地上に無敵の王国を勝ち取った
としても、
身も心も枯れ果てるこの悲しみを
追い払うことはできません。」
敵をほろぼす英雄とたたえられてきたアルジュナは、
このようにクリシュナに話した後、
「クリシュナよ...私は戦いません。」と、黙り込んでしまいました。
…続きはまた明日。
(今日は2章1-9節まででした)