全身電熱装備を買った話
筆者は冬があまり好きでは無い
理由は単純に寒いから
思えば16歳になりたての冬場、免許を取得してから毎年冬は地獄の思いをしながらバイクに乗っていた
大人になり、去年の冬の終わりの頃、
通勤用にHONDAのPCX 125を購入した
血迷ったのか、ディーラーオプションモリモリの新車で、もちろんグリップヒーターを装備していた
これが人生で初めての電熱装備との出会いとなった
納車されてしばらく経ったある日、
原付に関心がなかった故にグリップヒーターの存在すら忘れていた筆者、
まあまあ寒かったこともあり、何気なくヒーターのスイッチを入れてみた
それはスイッチを入れてから10秒後であった
「なんだこの快適な装備は」
「まるで人権の塊ではないか」
さて、日本の最高法規によると「全ての国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」らしい
これまで地獄のような寒さに耐えながらバイクに乗っていることは少なくとも健康で文化的では無いのでは?と思うようになった(曲解)
電熱装備は金銭的な面や、半年もすればすぐに暖かくなり、冬の厳しさを忘れてしまうハッピーな頭脳をもった筆者は導入を敬遠してきたが、
「憲法で定められてるならば仕方がないなぁ、来年こそは電熱装備を買ってやるか」と意気込んだのである
ちなみに筆者はバイクのインカムも法律によりB+COMで揃える決まりを作ればいいのに、と思っている過激派である
または、全てのメーカーのインカムが共通したプロトコルによりペアリングできるようになれば良い
あとは教習所で二輪免許を取得した全てのライダーにB+COMを配布する法律を作ればいい
これぞ真のベーシックインカム(大嘘)
さて茶番はこんなもんにして、
寒さに負けて全身電熱装備を買った話である
予備知識編
ご存知の通り、バイクはモーターによって発電しながら動いているが、
走行に関係するECUやヘッドライト、ポジションライトやナンバー灯、バッテリー充電
アクセサリー系のETCやUSB充電器、
などなど、バイクには常時電源を消費する装備が多数存在する
もし、消費電力が発電量を上回ってしまうとバッテリーを徐々に消耗し、最終的にバッテリーがあがってしまう
基本的には、そんな事が起こらないように設計されているが、オーナーが何も考えずに電気容量を消耗する様々な装備を後付けしていると大変なことになる
発電容量-消費電力容量=余剰電力容量
となる
発電量や消費電力は車種によって異なる
正確に言うと少し違うが、とりあえずバイクから取れる電源には上限があるよ、とだけ覚えておけばOK
さて、自分のバイクの発電量はどのくらいなのだろうか
Husqvarna Vitpilen 401のジェネレータ出力はマニュアルによると230Wだと判明した
ただこの数字はアイドリング時なのか5000rpm時なのかレッドゾーン付近での数字なのかは不明
さらに、走行時の消費電力はどれだけ調べても出てこなかった
ディーラーの人に聞いたら
「全身電熱装備ぐらいなら問題無いよ」
との回答を得られた
なので今回、電熱装備の導入に踏み切った
電圧の解説等をしておきながら結局分からず終いかよ、と思った読者諸君、すまんかった
それでも少し心配なので電圧計を取り付けて逐一バッテリーはチェックしていこうと思う
電熱装備は基本的にバッテリーに直付する
気になるのはバッテリー上がりの危険性だが、
そもそもバイクに乗車していない時はケーブルを抜くので待機電力すら消費しない
ACCもキーをオフにすれば通電しなくなるが、
キーをオフにする=バイクを降りる時
なのでバッ直でも問題ない(と思う)
購入商品検討
さて肝心の製品検討だが、
電熱装備で有名なコミネで全て揃えると約42000円であった
ジャケットはインナータイプをチョイス、
パンツはバイクに乗って一番寒いのは手足と首なので、足先まで加熱できるタイプをチョイスした
気になる消費電力は3製品合わせて6.0なので72W
しかしながら4万円越えはやや割高感がある
そしてグローブが特に気に食わない、なんというか、電熱装備感を全面に押し出したデザイン
個人的にはダサいなと思ってしまう
そこで他の製品はどうだろうかと検討
色々調べた結果「MIDIAN」という大陸製の製品を見つけた
廉価版セットとして構成を考えてみた
こちらは合計で約35000円となった
何より「KOMINE」のロゴがデカデカと無いのが良い
ジャケットは首の裏側に電熱線が通っている
また、グローブは電熱では唯一無二となるシープスキン製で質感も良い
パンツは足先まで暖かいコミネ製にアドバンテージがあったので廉価セットでも続投させた
気になる消費電力は商品説明欄に記載がなかった
さて、筆者は廉価セットを購入することにした
商品開封
大陸製なので到着までやや時間がかかった
まずはジャケット
MIDIAN製のジャケットである
電源はバイク本体からとる
裾付近に接続用のケーブルと温度切り替えスイッチが付いている
また、グローブ用に袖部分からパワーサプライが伸びている
全体的に「価格なり」といった質だと思う
良くも悪くも普通
ただ、フロントのジッパーが風を通すタイプの物なので、このジャケットの上には風を通さない革ジャン等を着る日強うがありそう、
KOMINEの製品はジャケット単体で風を通さない構造になっている
お次はグローブ
こちらも同じくMIDIAN製
前述の通り、シープスキン製で、柔らかく手によく馴染む
電熱装備でレザーを用いる製品はおそらくこれだけではないだろうか
そしてタイツ
こちらはコミネ製
足先まで加熱できるタイプ
この足先まで暖かいタイツが非常に優秀
他の製品だと通常のパンツタイプなので足先は冷たいままである
足先までカバーできるのは本当に良い
上下合わせるとこんな感じ
気になるのはジャケットが中華製、タイツはKOMINE製なのでY字の分岐ケーブルに互換性があるかどうか
結論から言うと互換性はあった
が、中華製とKOMINEのケーブルは刺さってもちょっと強く引っ張ると抜けてしまう
気になるようならカプラーを自分で付け替えてしまおうかと考えている
電源関係
Vitpilenのバッテリーはシート下からアクセスできる
バッテリーのネジを外して電源取り出しケーブルを割り込ませるだけの簡単な作業
作業時間5分
感想
いつだったこんな画像を作ったことがある
バイクに乗らない人間からすると意味不明だが、冬の厳しさを知るライダーなら共感できる人も多いはず
そう、電熱装備はコタツなのである
また、下半身のタイツのみの使用時はまるで半身浴を行なっているのでは?と錯覚するほどに
電熱装備は支離滅裂な思考・発言を現実のものにする神アイテムであると声を大にして言いたい
まずジャケットやタイツ、グローブは電源を入れなくても並の真冬用装備に匹敵する
そこに科学の力で熱を加える訳だから、暖かい決まっているだろう
イマイチなポイントは
まず電源ケーブルを分岐させて使用しなければならない、分かってはいたがやや面倒臭い
何より面倒臭いのは電源スイッチがタイツ、ジャケット、グローブ左右についていること
電源を入れるとデフォルトで暖かさが3段階中、「強」になる
もしも全てのスイッチを「弱」で使用したい場合、長押しで電源を入れて「強」→「中」→「弱」と3回押さなければならない
それもタイツとジャケットとグローブ左右全てだ
合計で押すボタンの回数は12回
発進するたびに12回もボタンを押さなきゃならないのは一般人が乗れる乗り物の中で最多ではないだろうか
一部、ヒートマスター製の製品は全てのスイッチが1つに集約され、ワイヤレスの外付けスイッチにより操作できる仕組みとなっていいる(らしい)
これは非常に便利だろうが、ツーリング先でワイヤレススイッチが混線したら面白いことになりそう
そして走行中に温度調節がしにくい
グローブであれば問題なくボタンに触れるものの、タイツはスイッチが服に埋もれていて触ることすらままならない
一般異道であれば信号待ち等で調整をかけるが、高速道路ではそうもいかない
やはり全てのスイッチが連動する仕組みが欲しい
そして降車時、
車体とつながったケーブルを抜き忘れ、バイクを離れようとした結果、リードで繋がれた犬の如き残念な醜態を晒すことになる
意識過剰かもしれないが、結構恥ずかしい
そして、グローブとジャケットは中華製になる、耐久性や耐水性に関しては未知数なのでやや不安が残る
でも壊れたら絶対に買い直す自信がある
デメリットを書き出すとキリがないが、
それらのウィークポイントは真冬において快適な走行という圧倒的な恩恵を前にすれば赤子も同然
まとめ
マジでみんな買った方がいい