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Pink Rebooorn Story

第4章 その8:「ひとときの夏」

2017.04.11 07:05




 世間はちょうどお盆前。

 最後のAC投与までの短い回復期に、大阪へ行くことにした。夫の実家への帰省と、お墓参り、そして、私を元気づけようと、夫が少しの遊びを計画してくれていた。

 岡山から大阪までは車で約三時間。いつもなら車で行くところを、今回は新幹線で行ってみようということになった。私の体に負担がかからないように...という夫の言葉が嬉しかった。




完全フル装備で、朝イチで岡山を出発!




 お義母さんは私の病気をとても心配してくれて、相変わらず温かく歓迎してくださった。

 そして乳がんと闘っていることをお義父さんのお墓に報告した。ACの後にはまた別の薬(パクリタキセル)の投与期間が三カ月あり、その先には手術が待っている。何をというわけではないけれど、私は墓前でとにかく一生懸命お祈りした。「病気」「生死」、あまりそんなことを考えずに今までのほほんと生きてきた私が、今ふんばっています、どうか見守ってください、そんな気持ちですごく真剣に祈った。




 実家を後にした私たちは、久しぶりの大阪を楽しんだ。

 なんと夫が手配してくれていたのは、よしもとお笑いライブ。




ど真ん中の席で当時大流行のラッスンゴレライを観覧^^




 舞台に立つプロの人たちってすごい!ちょうど、回復期に少しずつピース又吉の『火花』を読み進めていたこともあって、芸人さんの「人を幸せにしたい」というパワーに圧倒されてしまった。

 それにしても、スキマ時間があればすぐにヨドバシカメラへ行く夫に、改めてマニアックな面を再確認(笑)。







 とはいえ私も、せっかくなのでこの大阪滞在中にどうしても行きたかった、「レトロ印刷JAM」のお店兼ワークスペースへ!

(すみません、ここからは完全に私の仕事と趣味のことになるのですが…)

 なんとここにはシルクスクリーンの版をつくる小型機械があるというのです!

 大学時代にシルクスクリーンに魅せられ、制作に没頭した私。抗がん剤治療が終わったら、すぐにでも再開するつもりの仕事リストに、ちょうどシルク版を提案したい案件があった。




 このレトロ印刷JAMさんで、久しぶりに良い刺激を受けた。印刷に関する道具や作品の販売物を見ているだけでワクワク。奥ではシルクスクリーンのワークショップを開催していて、時間が許す限り、ずっと眺めていたいくらいだった。

 過去に建築設計に携わっていた夫もデザイン関係には興味津々で、ふたりとも存分に楽しんだ。夫婦で一緒の趣味があるって、ありがたいことだなあ。




 さて、次は、いよいよラストのAC投与だ。