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はたともこメルマガ-1.日本と世界の最新動向 第17号

2017.04.12 04:44

はたともこメルマガ-1.日本と世界の最新動向第17号

エマニュエル・トッド氏の予言-日本のパートナーは米露

 

今回は、メルマガ13号で紹介したフランスの歴史学者・人口学者・家族人類学者であるエマニュエル・トッド氏の「予言」を取り上げたいと思います。

 

トッド氏は、かつて乳児死亡率の上昇から、ソ連の崩壊を予言しました。また、グローバリズムの危機によって、英国のEU離脱(「問題は英国ではない、EUなのだ」)を予言、アメリカのトランプ大統領の誕生を予見しました。

 

今回は、文春新書「問題は英国ではない、EUなのだ/21世紀の新・国家論」の中から、トッド氏の講演「人口学から見た2030年の世界-安定化する米・露と不安定化する欧・中」(2016年1月26日 東京・帝国ホテル)を取り上げます。

 

トッド氏は、迫ってきている新たな世界的経済危機に対して、アメリカ、ロシア、中国、ヨーロッパの四つの極の「危機に対する抵抗力」を高等教育の普及、家族形態、出生率などを見て分析します。

 

アメリカは高等教育も早くから普及し、出生率は約2.0で、「安定化」に向かっていると、トッド氏は判断します。

 

ロシアは、ソ連崩壊後の危機に耐え、いまや均衡状態、安定状態に戻った。それは高等教育進学率に現れている。特に女子の伸び率が高い。ロシアの伝統的な家族構造は父権的な共同体家族だが、同じ構造の中国やアラブ圏と比べて女性の地位が高い。先進国の中で、唯一、劇的に出生率を1.8に回復させ、自分たちの未来を信頼しているロシアは、安定の極と言える、とトッド氏は分析します。

 

そして、ロシアは、かつてのソ連のような強大な帝国になるわけではない、人口が1億4千万人で日本と同規模である以上、大帝国化など不可能で、「ロシアは、中級のパワー、安定的で保守的なパワーとして再擡頭しているのであって、西側諸国のロシア脅威論は幻想です」と、トッド氏は言っています。

 

中国については、「中国は世界の超大国になる」と言われ始めた当初から、そうした見方に強い疑念を呈し、「中国の将来には悲観的にならざるを得ない」と常に指摘してきた、とトッド氏は言います。

 

その理由は、5%未満の極端に低い高等教育進学率と出生率の急激な低下(1.7/出生が女子100人に対して男子117人と異常)と経済(GDPに占める総固定資本形成〈公的および民間の設備投資〉が40~50%と突出→バブル崩壊)です。

 

「特に急速な少子高齢化は深刻で、10億人の人口ピラミッドの逆三角形構造は移民導入によっても絶対に解決できません。これだけを見ても、中国は不安定な極と言わざるを得ないのです」。

 

ヨーロッパについては、そもそも、現在「ヨーロッパ」というものが存在しているのかどうか、ヨーロッパがヨーロッパとして同質的に存在しているのかどうかを疑う必要があります、とトッド氏は言います。

 

イギリス、スウェーデン、フランスでは高等教育進学率は上昇し、出生率は2もしくは2に近い値であるのに対し、EUの最重要国であるドイツは、高等教育進学率は低下し、出生率は1.4と、ドイツだけが不安定だと、トッド氏は言います。「『ドイツ帝国』が世界を破滅させる」という著書があるように、トッド氏のドイツ批判は痛烈です。

 

出生率が低いドイツは、いわば戦略的に、南欧に対しても、東欧に対しても、安価で良質な労働力を求め、人口減少によるパワーの減退を移民で補う安易な政策を採ることによって、自ら危険を引き寄せている、とトッド氏は指摘し、そういう不安定なドイツに率いられるヨーロッパは非常に不安定な状況にあり、「今後の20年は、EUが瓦解していく時代となる」と、トッド氏は予言しています。

 

最後にトッド氏は、日本への提言として、日本のパートナーにふさわしいのは、安定に向かう国、アメリカとロシアだと言っています。「ロシアとの関係構築は、中国の存在を考えれば、地政学的に理に適っています。ただそれをアメリカの尊厳を傷つけない仕方で進める必要があります」とし、「日本は自主的な防衛力を整えつつ、アメリカを助けるために、これまで以上に軍事的、技術的に貢献すべきです」と提言しています。

 

私は、軍事的貢献には賛同できませんが、アメリカへの経済的協力は推進すべきだと思いますし、米露がパートナーというトッド氏の提言は、予見的で、参考になると思います。

 

そして、トッド氏は、最後の最後に、日本の唯一の問題は人口問題である、として、日本社会の存続のために、移民の受け入れを提言します。この提言にも、私は賛同できませんが、日本の最重要課題、最優先政策が、人口減少・少子化対策であることは、その通りだと思います。

 

私は、日本の人口減少の歯止めとなる所得充実政策・地方創生政策に、全力で取り組んでいきたいと思います。

 

エマニュエル・トッド氏 文春新書 四部作

●「グローバリズムが世界を滅ぼす」(2014年6月)

http://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784166609741

 

●「ドイツ帝国」が世界を破滅させる(2015年5月20日)

http://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784166610242

 

●「シャルリとは誰か?人種差別と没落する西欧」(2016年1月20日)

http://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784166610549

 

●「問題は英国ではない、EUなのだ/21世紀の新・国家論」(2016年9月)

http://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784166610938