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改めて、こどもタウンと準備の3ヶ月を振り返って

2017.04.14 13:04

今日、『こどもタウン2017』の様子をテレビで放送していただいた。これで、『こどもタウン2017』に関しては一段落。改めて、企画・運営を行ったYOUNG CONEXIONのメンバーとボランティアスタッフに感謝をしたい。


ところで、今回のこどもタウンは本当に中高生から学んだことが多かった。おそらく中高生はそれ以上にこども達から学んだことが多かったんじゃないかと思う。


そう僕が思うのは、こどもタウン当日に見られたこども達の笑顔と同時に、当日までに僕が課した「公民の授業のリアル版」に一生懸命取り組んでくれた姿があったからだ。ここではその様子について少し触れてみたいと思う。



実社会に触れる経験をするのは「小学生」だけではない

こどもタウンについては「小学生が社会に関心を持つきっかけ作りをしてる」という評価をよくいただく。確かにそういう一面があることは否定しないが、同時にこの企画は「中高生のために考えたプログラム」という側面もある。


そもそも、僕がこの活動を始めたきっかけは、学校の社会科教育に対する疑問からだ。よく講演で話をすることが多いが、今の学校教育は社会で生きるという「実技」が非常に不足している。そうすることで、本来社会で生きていくときに必要な「感覚」が養われていないというのが課題の1つだと考えている。


例えば、運転免許センターでは、道路交通法について学ぶ「学科」と、実際に車に乗って感覚を養う「実技」が伴って、初めて免許証が交付される。その形に習えば、今の学校教育は「学科」だけで免許がもらえる仕組みとなっている。


しかし、だからといって学校に「もっと充実した教育を」と主張するのは2つの理由で間違っている。1つ目は、学校には「もっと充実した教育を」したくてもできない事情がある点だ。担任だけでなく、部活動の指導(しかも、自分が専門としている部に当たるとは限らない!)、進路指導や校務分掌…すでに雁字搦めの状況に、さらに縄をかけるのは、あまりにも忍びない。


2つ目は、この「実践感覚」を学校の中だけで養うことには限界があるということだ。先ほどの運転免許センターの例で説明するなら、運転のあらゆる状況に対応するようになるためには「校外に出なければいけない」。学校の常識が世間では非常識だったり、世間の常識が学校では非常識だったりすることもある。自分達で考え、どういう選択を行うかを行うトレーニングは、学校内だけではなく実社会に触れる中で行わなければできないのである。



小学生は「社会へ関心を持つきっかけを」、中高生は「学校の授業のより深い理解を」

今回、こどもタウンをYOUNG CONEXIONに任せるにあたって、1つの条件をつけた。それは、「リアリティ」の追求だ。実社会をリアルに再現する。これが、今回高校生に強く求めたことであり、「公民の授業のリアル版」と僕が言う理由だ。


授業の難しさは、ミーティングの度に見て取ることができた。中学3年生の公民・高校1年生の現代社会の授業の中で、社会の仕組みについては理解できているはずなのに、そのピースをつなげようとするとなぜかうまくいかない。


例えば、金融や流通については何となくは分かるが、それを再現しようとなるとどう手をつけていいか分からない。裁判や議会の流れは何となく分かるが、それを運営するのは初めての経験だ。


そこで、みんなで試行錯誤をする。あれこれする中で、教科書からうまく伝わっていなかったことを初めて理解することができる。この経験こそが、こどもタウンをする中でもっとも大切なことの1つだと、僕は考えている。「社会の利害調整」という政治を体験する中で、社会の仕組みや政治について考える。こどもタウンは、この経験ができることに大きな意義があると感じている。


また、自分達が学んだ社会の仕組みをこどもに伝えるためには、より正確に情報を把握し、理解し、噛み砕かなければいけない。その作業を通して、社会に対する理解をより深めることができるのである。


この「公民の授業のリアル版」授業は、イベント後に行った当日スタッフへのアンケートから、その成果が見て取ることができた。『よのなか(社会)や政治に対する印象は変わりましたか?』という質問に対し、9割以上のスタッフが「変わった」と答え、『これからのよのなか(社会)を考える上で、役に立つ内容であったと思いますか?』という質問に対しては、全員が「とても思った」と回答した。



「何かを学ぶのに、自分自身で経験する以上に良い方法はない」

当日の様子については、こちらを見ていただけたらと思う。

(こどもタウン公式ホームページ:こどもタウン2017にご参加いただき、ありがとうございました!

「中高生が準備をした下書きに、参加者が色を塗って街が完成する」

そんなイメージがぴたりと合う時間だった。

しかし、それで満足をしていないところがスタッフのすごいところだ。こどもタウンの仕組みや運営について(これはリアリティを求めた企画なので、実社会に対する疑問や課題も含めたものになるが)、長時間の反省会を行うところからもわかる。


そして、「早く次をやりたい」と次の企画に向けてすでに動き出している。プロデュースをする側からすると、こんなに楽しいことはない。次はどんな街を創るのか、個人的にもすごく楽しみだ。「公民の授業のリアル版」、次は中高生がどんな社会課題に取り組むかも見所である。


これまで、NEXT CONEXIONでは様々な企画を行ってきたが、これほどまで、参加者も企画する側も「社会への理解を深めることができた」企画はない。「中高生だから」と質に妥協を許すこともなかった中、本当にみんなよく頑張ったと思う。


個人的に、主権者教育は実社会に触れ、自分の考えを持ち、様々な価値観がある中で議論をすることで育まれる意識が大事だと思う。アインシュタインは「何かを学ぶのに、自分自身で経験する以上に良い方法はない」という名言を残しているが、これからも実社会とつながるたくさんの経験を伝えていけたらと思う。