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#017 二人の時間の過ごし方について

2021.10.24 02:54

by Motandhel

 日記をつけるのを怠ってしまっていた。というのも、あちこちでひっきりなしに祭りが開かれていて、しかもどれもがそれなりに興味深いものだったので、かなり忙しくしていたのだ。実際今も魔女祭りというものが開催されており、少し休憩するつもりでこれを書いている。タムリエルはなんて忙しい場所なのだろう。クロックワーク・シティの歯車の動きのように規則正しく変化のない毎日が少しだけ恋しい。

 僕はもともと祭りに関心が薄いので、恐らく他の人よりは熱を入れていない方だろう。祭りに参加するときは必ずアズルと一緒で、彼に祭りの作法を教えてもらったり、足を運んだことのない地域に連れて行ってもらったり――アズルと一緒でなかったら、僕はいつもと変わらない日常を過ごしていたに違いない。

 アズルと一緒にいると、普段一人でいるときには気づかずに見過ごしてしまうような些細なことによく気づく。この家具が素敵だとか、こんな場所にこんなものが置いてあるとか、この人がこんなことを教えてくれたとか。アズルが教えてくれる時もあれば、僕が気付いてアズルに伝えることもある。他の人からしたらどうでもいいことかもしれないそうした小さな発見を口に出来るのは、きっとアズルも同じように喜びを感じてくれるだろうという安心感があるからだ(とても嬉しいことに、彼も同じように考えてくれているようだ)。

 彼と一緒に過ごす時間の中で僕が特に好きなのは、ただ何気なく通りがかった街で宿屋や雑貨屋に入り、部屋の様子を眺めたり、そこにいる人たちの話を聞いたりする時間だ。激しい戦闘に身を投じることはもちろん刺激的で楽しく、その達成感は何にも代えがたいものがあるが、今の僕にはこうした何気ない穏やかな時間の過ごし方の方が向いているようだ。

 そして改めて、タムリエルは本当に美しい場所だ。そのことをアズルと一緒に色々な場所に足を運ぶことで再認識できるのがとても嬉しい。僕たちはときどき、並んで座って景色を眺めながら、この景色を一緒に眺めることが出来てよかったと話し合う。僕よりもずっとタムリエルのことに詳しいアズルが同じように思ってくれることが、僕にとってはこの上なく光栄で、そして幸せなことだ。

 アズルと出かけるときは、行き先を決めていても決めていなくても、思い付きでも行き当たりばったりでも何の問題もない。彼と一緒にいるだけで、そこにはいつも新しい景色が待っている。