『ラストレースへの想い』川野柊
【ラストレースへの想い】
10月28日(木)〜31日(日)にインカレ・全日本が開催されます。コロナウイルス感染拡大防止のため、無観客試合での開催となりますが、熱い応援を宜しくお願い致します。
そこで、レースへの想いを4年生に書いていただきました。
今回の担当は、川野柊(法4・早大学院=東京)です。是非、ご一読ください。
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「契約満了間近につき」
名作映画『ショーシャンクの空に』にはブルックスというお爺さんが登場する。
彼は50年という歳月を刑務所の中で暮らし、その生活に慣れてしまったが故に、シャバに出ることに怯えている。
私は、4年契約の4年目を迎えた。予定通りであれば、今月に契約が切れる。早稲田を背負うエイトのコックスとして。優勝しようが、失格になろうが、コロナで中止になろうが、その契約を打ち切られる。
正直、引退するのが怖い。家族同然に過ごしてきた部員と引き剥がされ、4年間かけて築き上げてきた「早稲田大学漕艇部コックス川野柊」はゴールラインを超えた瞬間に消失する。
引退した諸先輩方の顔を見てこう思ってきた。「先輩、引退してから優しそうな目になりましたね」
私が大切に育て上げてきた『早稲田大学漕艇部コックス川野柊』とはなんだったのか?
ブルックスは、自ら命を断つ前に『ここにあり』と柱に刻んだ。
10年お世話になった葡萄茶の校旗に名を刻むために。
勝たなければならない。勝つしかない。
皆さん待っててください、もう少しですから。
P.S.
1人の大学生として、カレッジスポーツに身を捧げ、カレッジスポーツを愛した4年間だったと思います。
故に、将来の私は誇らしげに言うでしょう。
「パパだって、学生時代は格好良かったんだよ」