Ameba Ownd

アプリで簡単、無料ホームページ作成

YusukeKusuyama 49 🚹 👨 = 楠山祐輔 → HP - OFFICIAL !!!!!

#Wedge #岸田文雄 - #岸田4本柱 #分配 の課題

2021.10.24 13:18

「WEDGE Infinity」様より

シェア、掲載。


ありがとうございます。

感謝です。


Wedge REPORT

2021年10月18日


手腕問われる岸田新政権 内外に抱える「分配」の課題

滝田洋一 

(日本経済新聞社編集委員・

テレビ東京『ワールドビジネスサテライト』解説キャスター)


第100代の首相に選出された岸田文雄氏は、敵を作らない政治家である。そんな政局論にもまして、重要なのは政策だ。「令和の所得倍増」を訴えるとともに、分厚い中間層の復活を目指す。看板とする「成長と分配の好循環」を実現するには、有言実行の行動力が試される。


 国民にどんな覚悟を求めますか? 自民党総裁選に再度の立候補を表明した岸田氏に、そう問いかけると返ってきた答えは、「長引くコロナ禍で国民はすでに疲れています。強引に押し切るのではなく、まずは説得です」だった。岸田氏が率いる派閥「宏池会」の創始者、池田勇人元首相の「寛容と忍耐」を想起させる言い回しだった。


 岸田氏が折に触れて唱える「聞く力」。調整型の政治を唱えたことが、突破型が売り物の河野太郎氏を破った勝因といえよう。国民の間で人気の高い、というのが河野氏に対する既成メディアの枕詞だった。同じく人気者のはずの小泉進次郎氏と石破茂氏が加わることで、河野氏に風が吹くはずだった。


 だが3人の頭文字をとった「小石河」には、追い風どころか逆風が強まった。1回目投票で岸田氏に河野氏が1票差で後れをとったことに、今回の総裁選の空気が象徴される。


 河野氏は原発ゼロを目標とするエネルギー政策や、消費税を財源とする最低保障年金などの政策について、説得力を持つように練り直す必要がある。メディアがはやす人気にもたれかかっていると、万年総裁候補と言われ続けることになりかねまい。


 岸田氏は党人事や組閣に当たって、無難な船出を目指したようにみえる。支援を仰いだ安倍晋三氏、麻生太郎氏、甘利明氏の「3A」への配慮に彩られた分、閣僚人事は面白みに欠ける。典型的なのは財務相人事だろう。麻生氏が財務相を退き、自民党副総裁という半分名誉職に祭り上げられる一方、麻生氏の義弟の鈴木俊一氏が後任財務相に。


 2%インフレの達成までプライマリーバランス目標の凍結を掲げる高市早苗氏が財務相に就任していたら、財務省内にちゃぶ台返しの激震が走ったろう。積極財政による成長戦略として、株式市場にはアピールしただろうが、財政健全化の目標は遠のくからだ。それだけに財務省内は、何事によらず麻生前財務相を頼りにする鈴木氏の起用に、胸をなで下ろしたはずだ。


チーム甘利と二人三脚


 では鈴木氏の経済についての所見は? さっぱりイメージが浮かばない。そこで鈴木氏のホームページをみると、岸田氏を推す理由をこう記している。


・地方には急進的ではなく地に足のついた漸進的改革が必要。

・新自由主義がもたらす市場原理に基づく優勝劣敗は、体力の少ない地方に厳しい。

・岸田候補は新自由主義的な政策の転換も公約に掲げる。


 善かれ悪しかれ、安定志向が浮かび上がる。新自由主義的な政策というのは、小泉純一郎氏のブレーンとなったエコノミストの竹中平蔵氏が唱える、市場重視の規制改革路線をいうのだろう。ただ岸田氏は令和版の所得倍増を看板公約に掲げており、安定を重視するばかりでは肝心の経済成長が実現できず、分配の元手となる所得も増えない。


 この点で岸田氏は、官邸と党を使い分ける構えだ。経済閣僚は安定重視とする一方で、自民党の方は幹事長に甘利氏、政調会長に高市氏を配し、成長路線を前面に打ち出す。キーパーソンは総裁選で岸田陣営を支えた甘利氏。岸田政権で新設した経済安全保障相の初代となるのは、当選3回の小林鷹之衆院議員。岸田氏が本部長、甘利氏が座長となった自民党の「新国際秩序創造戦略本部」の事務局長を務めた。


 エネルギーや情報通信などの基盤産業について、サプライチェーンなどの脆弱性を克服する「戦略的自立性」と、日本なくしては始まらない「戦略的不可欠性」を確立する。前者が経済安全保障の守りとすれば、後者は攻め。小林氏は担当大臣としてその実行を担う。


 経済再生担当相となった山際大志郎衆院議員も、経済産業副大臣の経験がある政策通で、チーム甘利に属する。コロナ対応に追われた前任の西村康稔経済再生担当相と異なり、コロナ第5波の収束を受けて、経済政策の立案、実行に力を注ぐことが期待されている。


 一方、党の側での新味に欠けるとの指摘もあるが、違う。


 高市氏の政調会長就任は2度目。前回は、第2次安倍政権発足直後の2012~14年。安倍首相(当時)自身が「アベノミクス」という大枠を掲げたなかでの政調会長だった。今回は、①小型モジュール炉(SMR)、核融合炉などを見据えたエネルギー政策、②半導体、産業用ロボット、素材、量子工学などの成長分野、そして③サイバーセキュリティーや経済安全保障といった、高市氏自身の政策を具体化する場となる。


カギは成長と分配の4本柱


 肝心の岸田氏が目指すのは成長と分配の好循環を実現する経済運営だ。昨年9月の自民党総裁選で敗れて以来、政策を練り上げてきただけに、重点項目は比較的ハッキリしている。成長と分配の両分野での「岸田4本柱」だ。


 成長のための岸田4本柱からみていこう。①科学技術立国、②経済安全保障、③デジタル田園都市国家、④人生100年時代の不安解消──この4つである。


 まず①科学技術立国では、10兆円の大学ファンドを年内に創設する。これは菅義偉前政権からの継続案件。研究開発や人材育成などへの税制支援をうたうが、課題は支援の具体策である。グリーン・エネルギー政策のなかでは原発再稼働をうたい、再生可能エネルギー1本に頼ることはしない。この辺に現実重視が際立つ。


 次に②経済安全保障については、先に述べた担当大臣の新設。ここが目玉である。③デジタル田園都市国家は、5G、テレワーク、自動運転など、あまり目新しさがない。「デジタル推進委員」を全国に展開するというが、デジタル庁に屋上屋を架すようではいけない。


 さらに④人生100年時代の不安解消として、働く人は誰でも加入できる「勤労者皆社会保険」を掲げる。正規・非正規にかかわらず企業で働く全ての人が社会保険に入る仕組みで、岸田氏が政調会長時代に提言した。「給付抑制(第一の道)や負担拡大(第二の道)に加えて社会保障改革の第三の道(社会保障の支え手の拡大)」を目指す点が岸田氏らしいといえる。


 分配のための岸田4本柱は、①三方良し経済の実現、②子育て世帯支援の拡充、③公的価格の抜本的見直し、④財政の単年度主義の弊害是正──である。


 最初の①は、買い手良し、売り手良し、世間良しの近江商人を思わせる。企業の株主だけではなく、従業員や取引先も恩恵を受けられる「ステークホルダー・キャピタリズム」を鮮明にしたもので、いわゆる新自由主義からの決別である。四半期開示の見直しや非財務情報の公開拡充で長期経営を求める。下請けいじめゼロは世論にアピールするとみられる。


 次の②子育て世帯支援については、分配機能を重視して所得の引き上げを狙う、令和版の所得倍増の実現手段と位置付けている。居住者や教育費への支援を強化するが、安倍政権や菅政権の施策の延長という面も強いだろう。


 そして③の公的価格見直しは、医療(看護師)、介護(介護士)、育児(保育士)など、仕事に比べて割安な報酬の引き上げが狙いだ。「公的価格評価検討委員会」を新設し、賃金の引き上げを促す。


 さらに④は企業に長期経営を求めるのと同じ発想で、国の予算にも長期的な運営を求めるものだ。


 成長と分配の岸田4本柱はそれぞれ密接に絡み合っている。興味深いことに、岸田氏と高市氏の政策の方向性は重なり合っている。「分厚い中間層」という表現は、両氏とも目標に掲げている。


 政治の世界で割を食わされるのは、立憲民主党など野党の側だろう。自民党の総裁選は政策論争の舞台となり、与野党が替わったかのような「疑似政権交代」を演出した。野党側は新自由主義やアベノミクスへの批判を掲げて、衆院選を戦おうとしていたのに、岸田政権はそのお株を奪ってしまった。


 野党側としては、おっととっととつんのめる感じなのだろう。岸田新首相は国民的な人気を博するようなタイプではないが、敵を作らない政治家である。池田首相のスタイルを踏襲した「低姿勢」の路線は、政権への風当たりを弱め、党内運営でも選挙でも「柳に風」のレジリエンス(しなやかな強靱さ)を発揮しよう。


 政権基盤を固める条件はハッキリしている。分配という公約を着実に実現することだ。


 分配のなかでも最も重要なのは、働く人の給与を増やすことだ。日本企業が直面する円高、法人税の高さ、自由貿易協定の遅れなど「6重苦」の解消に取り組み、それなりの成果を上げたアベノミクスへの国民の評価はいまひとつ。企業が収益を回復しても、働く人への分配が進まなかったという感じが拭えなかったからだ。


コロナ世界的収束に一肌を


 人件費や投資の抑制によって収益を確保しても、企業経営は評価されない。コロナ禍でも人手不足が深刻になるなかで、企業は人への投資や未来に向けた投資で「稼ぐ力」を高める課題に直面している。コスト上昇を適切に価格に転嫁して、その果実を雇用拡大や賃上げに振り向ける。そんな「成長と分配の好循環」が日本経済のカギを握っている。


 分配をめぐる議論では、あえて1点付け加えよう。新興国へのコロナワクチンや治療薬の提供だ。トヨタ自動車が本年度の生産目標を引き下げるなど、自動車メーカーには減産の動きが広がっている。東南アジアでデルタ株が猛威を振るい、部品供給に急ブレーキがかかったからだ。


 日本ではワクチン接種率が米国やドイツを上回るまでに進んだが、東南アジアを中心に接種の遅れが指摘される地域は少なくない。コロナの世界的な収束を目指さないことには、サプライチェーンの途絶を通じて負の影響は日本にも及んでくる。地球上に感染拡大地域が残ると、コロナの変異株がいつ広がらないとも限らない。


 中国がワクチン外交で提供したワクチンの有効性は低い。米国や欧州と手を携えたワクチン供給が重要性を増していることを、外相の経験者でもある岸田氏はよく自覚していよう。外なる分配も喫緊の課題なのである。


続いて「YOUTUBE」です。


【岸田文雄から国民の皆さまへ】なぜ衆議院を解散したのか、そして日本の未来をどう切り拓いていくのか

10,986 回視聴2021/10/14

岸田文雄

チャンネル登録者数 1.05万人

10月14日、衆議院を解散いたしました。

今なぜ、衆議院を解散したのか。そして、日本の未来をどう切り拓いていくのか。

説明

10月14日、衆議院を解散いたしました。

今なぜ、衆議院を解散したのか。そして、日本の未来をどう切り拓いていくのか。

私の考えを、直接、国民の皆さまにお伝えしたいと思います。

【見出し】

◯解散総選挙を10月19日公示・31日投開票とした3つの理由

https://youtu.be/JrW95233uuI?t=5

◯総選挙に臨むにあたっての3つの重点政策

https://youtu.be/JrW95233uuI?t=142

◯国民の皆さまと ともに

https://youtu.be/JrW95233uuI?t=337


Wedge REPORT

2021年10月18日

手腕問われる岸田新政権 内外に抱える「分配」の課題

滝田洋一 (日本経済新聞社編集委員・テレビ東京『ワールドビジネスサテライト』解説キャスター)