ものがたり『バガヴァッド・ギーター』第12話
友人であり至上主でもある
クリシュナは、
親族が敵味方になり
苦悩し悲しむアルジュナに対して、
生命体の義務やヴェーダについて
さらに語り続けます。
「アルジュナよ。
君が戦死しても
天国へ行きしあわせになり、
君が勝っても、
王族として華やかな生活を楽しむのだ。
だから、
立ち上がって戦う決心をしなさい。
どちらがしあわせか、
損か得か、勝ち負けなどは
一切考えずに、
ただ義務として戦うならば、
君は決して罪を負うことはない。
これまでサーンキャ・ヨーガという
分析的な知恵を君に教えた。
さらにバクティ・ヨーガ
の話を聞きなさい。
結果を期待せずに、
働くことで、
君はこの世の束縛から解放される。
この努力には
無駄も欠点もまったくない。
このヨーガをほんの少しするだけでも、
輪廻転生を繰り返すという
生命にとって
本当の最大の危険から救われるのだ。
アルジュナよ。
このバクティ・ヨーガをする者の
知性は明確で、
まっすぐ一つの目的に向かっている。
だが、そうではない者の知性は、
あちらこちらに目移りする。
物欲に目がくらんでいる
おろか者たちは、
叡智であるヴェーダの本当の意味
もわからず、
天界の喜びなどを書いた
ヴェーダの表面的な美しさだけを
気に入り、
これにまさる真理はないと言い切ってしまう。
欲望にかられて、
天界の惑星(天国)にいくために、
よい家庭にうまれ、
贅沢な生活ができるようにと
たくさんのヴェーダでいわれている
儀式を行う。
美味しいものを食べたり、
美しいものを見るような
感覚が喜ぶようなこと、
富(お金)こそが
人生の目的だと言う。
感覚の喜びとお金を貯めることにとらわれ、
ヴェーダの表面的な華麗な言葉に
ひきつけられている人の心には、
至上主をひたすら愛してそれに仕え、
瞑想し究極のさとりに入ろうという固い決意は起こらない。」
…続きはまた明日。
(今日は2章37-44節まででした)