【声】にまつわるお話

2017.04.17 03:00

20歳の誕生日。



高速道路パーキングエリアに立寄った時のこと。



何処からか


「んぎゃぁーんぎゃぁー」という鳴き声。



辺りを見渡しても何もいない。



空耳?



また…



「んぎゃぁーんぎゃぁー」という鳴き声。



足元をみると、目も開いていない、



産まれて間もない猫の赤ちゃん。



抱き上げようとすると逃げる。



立ち去ろうとすると寄ってくる。



ここまま、ここに置いていったら、



カラスにイジメられるかもしれない。



食べ物もなく死んでしまうかもしれない。



その瞬間「んぎゃぁーんぎゃぁー」と鳴く仔猫をしっかりと抱き上げ胸に抱えた。



手のひらに、すっぽりとおさまってしまうほどの小さな小さな仔猫。



また同じ時に産まれ出会いたいと感じた私は輪廻の「輪」の一字を使い、



仔猫に「輪(りん)」と名付けた。



それから輪と20年間いっしょだった。



「んぎゃぁーんぎゃぁー」は、



輪が生きるための声。



最後の最後まで決して生きることを諦めない、りっぱな猫でした。



もう姿は見れなくなったけれど、



心が弱くなったとき、



頑張んなきゃいけないとき、



「んぎゃぁーんぎゃぁー」と、



あの時の「輪の声」が、



いまでも聞こえる。



よしだしずか


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