分水嶺と水争い
2017.03.16 04:14
『分水嶺』は正式には『分水界』といい、
水の分かれる境界のことです。
降った雨が左右のどちらに流れるか。
河内(大阪府)と大和(奈良県)の国境に
そびえる金剛山。その金剛山を水源とする
水越川は、河内と大和の両地域を流れて
います。ただし、同一の河川ではない
らしいです。水源が同じというだけで、
全く別方向に流れて行く川です。
この川を巡って、江戸時代には度々
水争いが起きてます。金剛山地は、
両国の分水嶺をなしています。
川の流れを自然に任せていたらなら、
水越川の水はすべて、河内側に流れて
いたはずでした。
ところが、人工的な導水路をつくり、
分水嶺を越えて大和側に引き落としたので、こちらも水越川と呼ばれてます。
大和は古くから開けた地であり、水の需要
も高かった。なので、地勢上では河内の
ほうへ行くはずの水が、人工的に大和側に
行くようにしたのです。しかし、河内の開拓が進むにつれて、遂に、元禄時代になって
河内側が強硬手段に出て、大和への導水路を破壊したそうです。
この事件は、奉行所の裁定を仰ぐことに
なり、結局、大和側に先取特権がある
として、大和側の勝利で決着したそうです。
現在の地図を見ると、金剛山の山頂は
奈良県側にあり、水争いに勝った大和側の
引いた境界線だそうです。