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M-Cross International Corporation Column

タフペイント【株式会社カズキ高分子】

2017.04.20 10:18

【強芯×超撥水】この相容れない課題を解決したペイントマーカーは、アメリカ市場にとってどのような存在になるか?

アメリカ市場へ進出を決めた株式会社カズキ高分子のタフペイント


■耐摩耗性(強芯)

 このペンは、アスファルトに書いても、コンクリートに書いてもペン先が崩れない。

 

 様々なお客様の要望である『荒い面に書いても摩耗しないよう、ペン先を強くしてほしい』を高い技術で答え続けた結果、ペンの芯を強くする事に成功した。


 一見簡単そうに見えるが、そんな簡単なものではない。

 もしそんなに簡単なら、世界中のメーカーは強い芯を選択していることだろう。


 なぜ簡単には出来ないのか?


■強いというのは様々である

 強いとはどういうことだろうか?


 鉄も木も樹脂も同じであるが、その素材の強さとは様々である。

 ・圧縮に強い

 ・引張に強い

 ・曲げに強い


 このペンが挑んだテーマは耐摩耗である。


 引っ掻きや、削れなどに強くするには何を強くしなければいけないのかおわかりでしょうか?


 摩耗に対して強くするためには、硬くすることが必要です。

 硬度を高めなければ、摩耗に対して強くなりません。


 ではペン先を硬くすると何が問題なのか?


■インクとペン先素材との闘い

 ペン先の素材を硬くするという事は、ペン先が密実になるということである。

  

 ペン先の素材自体を検討するのは勿論であるが、ペン先の組織構造を密実にしなければならない。

 密実なペン先はインクが通過しずらいという課題が発生する。


 つまり、強い芯を求めればインクが出ないということである。


 インクが出ないペンは、もうペンとは呼べない。


 そのため、世界の各社は強芯をあきらめ、ペンとしての機能を優先させている。

 一本のペンに替え芯を2本付けている大手メーカーもある。


 しかし、このメーカーの開発思想は違った。

 

 インクの流動性とペン先の組織構造との相性を極限まで極め、様々なパターンを何度も試し、この難しい課題に挑戦して開発できたのが、このタフペイントである。

 

 インクの色の元になる素材の粒子径・粒度分布、インク溶剤の流動性・分散性、ペン先の組織構造、ペン先素材など様々なパラメータがある中、それぞれを独自で様々な種類を開発して、更に最適な相性を求める作業は、私も同じ技術者なので、気の遠くなる開発作業と想像できる。

 そのような『諦めない!』というこのメーカーの思想が、唯一無二のペイントマーカーを生み出した。


■開発はまだまだ終わらない

 このペンは、強芯が特徴だけのペンではない。

 それだけでも世界唯一の技術であろう。

 しかし、ここで一般的に言われているペイントマーカーの最大の弱点が残っていた。


 雨の日に書けない・・・


 ペイントマーカーのインクは水に濡れると書けなくなる。


 この最大の課題にも、このメーカーはチャレンジした。


 超撥水性インクの開発である。


 この超撥水性のインクという課題が、先ほどのパラメーターに更に加わることで、開発は更に難しいものとなる。


 この難課題を克服したペイントマーカーは、水滴を通過しても書き続けられる。

 単に一度濡れても、再度書けるというペンではない。

 水滴の中も書き続けられるようなインクを開発している。

 

 上の水滴の写真は、水滴の屈折により水滴から通り抜けると、濡れてもすぐに書けるように見えるが、これは上から見ると良く解る。

 この超撥水性インクは水の中でも、しっかりと書くことができる。

 

 超撥水性インクとはこういうことである。

 

 普通の撥水インクとは比べ物にならない、一般的なペイントマーカーのレンジを超えた技術である。


 これでも十分世界トップ技術であるが、このペンの高度な技術はこれだけではない。


 このインクの溶剤に、人体に影響のあるトルエン・キシレン類を使っていないことも特徴である。

 油性でトルエン・キシレン類を使わないようにするには、一般的に水溶性のものを使うか、溶剤を使わないかの選択となる。


 水溶性の溶剤でも大多数の製品にVOC(揮発性有機化合物)が使われている中、油性でこの課題を乗り越えた。


 そのため、あの特有の嫌な臭いはこのペンからは一切してこない。

 

 これは相当な技術であり、当然、特許技術である。


■世界最大の市場へ挑む

 このペイントマーカーがついに世界最大の市場に挑む。


 ライバルはアメリカの巨大メーカーである。


 戦いの場所は、ホームデポなどの全米展開のホームセンターである。

 ホームデポは全米2274店舗ある。

 日本のイオンが625店舗という数字を考えると、あまりに巨大である。


 このようなアメリカのホームセンターに7色のペンを、1店舗10本づつオーダーが入ったとしよう。

 そうするとホームデポの1回のオーダーは、2274店舗×7色×10本=15万9180本である。

 一店舗につきたった10本の積算でこの数量となる。

 それが、アメリカという市場である。


 そのような巨大市場を米国大手メーカーが簡単に手放すはずがない。


 さらに米国大手メーカーは防御側という有利な状況だ。


 こちらは攻撃側という、防御側より3倍不利とされている状況で如何に戦って行くか。


 市場としては不利な状況であるが、技術としては圧倒的に優勢である。

 更に、大手の牙城を崩す事の戦略に長けた、米国人がこの技術を気に入り、プロジェクトに参戦してくれることに決まった。

 

 日本人と米国人が手を組み、連合チームで米国巨大市場へ挑むプロジェクト。


 それが、2017年5月から始まる。