「気持ち悪い」と言われても人生は続く
2019年9月。ある人との、ある会話の途中。
僕「!!!」
ドーン
ゴォォォ。。...
人生巡廻船 「ブレイン」号
船長「まずい!なんか爆発したぞ!認知班、現状報告を頼む!!」
認知班「はい!!」
ざわつく船内。けたたましいアラート音。
乗組員1「凄い音だったな!ただ事ではなさそうだ」
乗組員2「ああ、久しぶりだよこんなの。前回の補修部分が無事ならいいが...」
ピーッガラガラ
重厚なマシンから1枚の長い紙切れが印刷される。
聴覚「今、耳から速報値が入りました!読み上げます...
『ッテイウカ.. カオ キモチ ワル ッ』
以上です!」
総員「『っていうか、顔気持ち悪っ!』だと!?!?」
「っていうか、顔気持ち悪っ!」だと!?!?
っていうか、
顔気持ち悪っ!
だと!?!?
っていうか???
一様に大きくなるサイレン音
船長「大変だ!外見をディスられた!!
コード33!!!緊急事態!!!
認知歪曲班、応急処置は出来るか!?!?」
認知歪曲「駄目です!あまりにも直接的過ぎて、他の解釈が不可能です!!
このまま言葉を受け入れるしかありません!!!歪曲率0で通過します!!!」
船長「なんと。。危険察知班、受け身は取れていたのか!?」
危険察知「会話の流れからして、全く悪口を想定していませんでした!
外見の話などしていないのに。。とにかく悪口受入モードはOFF!!エアーバッグ作動せず!!
よって、受け身は取れていません!!ダメージ軽減は0です!!!」
船長「いかん!大変な損害になるぞ!!!」
船長「はっ!そうだ!我々は「『気持ち悪い』保険」に入っていたはずだ!!
ああ大丈夫だ!!保険が降りるはずだ!!!」
世の中にはあらゆる保険がある。
被保険者が、不意の事故や病気で死亡してしまった場合に保証する「死亡保険」
被保険者が、まぐれでホールインワンを決めてしまった際のお祝い金を保証する「ホールインワン保険」
被保険者が、宇宙人に拐われたり、酷い実験の土台にされたりした場合を保証する「宇宙人誘拐保険」
「もしも」に備えて人間はリスク分散の為に、計画的に、時には直感的に保険に加入するのだ。
僕が加入していたのは「『気持ち悪い』保険」と呼ばれるもので、日本悪口保証協会が大々的に掲げる保険。
被保険者が、他人に「気持ち悪い」と言われた場合にそれなりの保証金が出るというシンプルな保険だ。
「あなたのその顔、本当に大丈夫ですか?」
電車のつり革広告に載った、挑発的な謳い文句に僕は見入ってしまった。
気になって対面面談をしてもらった結果「リスク高」とのことで、通常よりも掛け金が高くなってしまったのが遺憾だったが、将来の事を考えると絶対に必要な保険であると判断し、16歳の夏に加入した。
それでも不安であった僕は、16歳の冬に保険をアップデート。
「シンプル『気持ち悪い』プラン」から「スーパー『気持ち悪い』プラス」に変更。
シンプルプランでは「気持ち悪い」という言葉のみにしか保証が効かないが、このスーパープラスでは「気持ち悪い」に準じる言葉であっても保証が効く。
掛け金がシンプルプランの1.5倍であったが、僕は腹をくくった。
結果的にこの保険には何度もお世話になり、自己破産を逃れてきたのだった。
シンプルプランでは自己負担になっていた分も、かなり拾ってもらった。ナイス決断だったのだ。
僕「やはり、将来を見通して計画的でなければね!!」
船長「流石!よく自分の事を分かってる!!!
ど〜んと構えておこう!!助かったー!!危なかった〜!!」
ほっと胸を撫で下ろす船長。
経理「失礼します。。。大変申し上げにくいのですが。。」
船長「経理!どうしたよ〜?保険が効くから大丈夫!そんな心配なさんなって!!」
経理「実は、その保険。。。。去年、解約しておりまして。。。」
船長「!!」
経理「2018年度上半期脳内討論会にて、本保険に対し「もう20歳も過ぎたし、周りにそんなことを言う人もいないだろう。このお金はラーメンのトッピング代に回そう。」という結論になったのを覚えていますでしょうか?結果的にこの案は過半数の賛同を獲得し、すぐに保険は破棄されたのです。。」
船長「そうだった。。17年は外見の悪口を言われる機会が無かったから、高を括ってしまったんだ!。。なんて間違いを!!確かに私も賛成に手を上げた。。。短絡的だった。。
恐ろしいことになった。。!!船が傾くぞ!!!!!」
グゴォォォっ
大きく傾くブレイン号
船長「いかん!!あぶない角度で飛んで行ってしまう!!
あの男、!あの男を呼ぶのだ!!!」
船長が慌ただしく機器のボタンを叩く。
船長「頼む!!早く来てくれぇっ!!」
乗組員1「まさか!船長はあの人を呼ぶのか!!」
乗組員2「どうやらそのようだ。。しかし、あいつはもう。。。」
ふふふ...
船内に立ち込める煙から、小柄な人影が姿を現した。
??「よぉ。... ゴホッ!ゴホッ!!。。。久しぶりじゃねえか」
船長「すまないっ。。よく来てくれた!!」
船長「ありがとう。。自虐マン!」
自虐マン「任せろってんだ!!」
説明しよう。
自虐マンとはローエンドマンの物心が付く頃に生まれた、あらゆる逆境を笑い飛ばすヒーローなのだ!
自虐マン「それが僕の人生なのさ!HAHAHA!!」
教師の理不尽なネチネチ説教、
しれっと流れるような通りすがりのディス、
数年に1度のドデカいビッグバン悪口、その全てを受け止め自虐という笑いへ、
合気道の受け流しのような技術で、あらゆる悲劇を喜劇に変えてきた。
ローエンドマンの人生には欠かせない男!自虐マン!!
よく来てくれた自虐マン!
またよろしく頼む自虐マン!!
料金はつけといてくれ自虐マン!!!
HERE COMES THE HERO!!
自虐マン「現場はどういう状況だ?」
船長「聴覚からの情報によると、何者からか外見をディスられた模様です。」
自虐マン「またか。。これはかなり力を使うのだ。。お前もまた大変だな!HAHAHA!!」
船長「(あんたもその一部だけどな!)」
自虐マン「HAHAHAHAHA!!」
自虐マンは不安だった。
自分にはまだ笑い飛ばす力が残っているのだろうか?
10代の中頃からフル出勤していたから、体にはガタがきている。
左半身がずっとビリビリしている。
ハデな仕事をしすぎた。登板過多なのだ。
一体いつまで、働かなければいけないのだろうか。
他に頼りはないのか?どうなんだ?
そしてこの外見系の自虐には力を使う。。
特にこの顔なんて、後は老け込むくらいしか変わりようがないのだ。
しかし自分が働かなければ。。このブレイン号は。。。。
自虐マン「俺に任せてくれ!」
戦闘服へ着替える自虐マン、お手製の転換スーツは彼が考案した「相対性自虐論」を基に作られた。
中1の時の数学教師「マイナスにマイナスをかけると、プラスになっちまうんだぜぇ!」
中1僕「なんと。。天才だ!!」
この衝撃の事実からインスパイアを受け、2分ほど考えて作られたのが「相対性自虐論」の根本を支えるDD算出法(DD = DisられのDamage)である。
このDD算出法は簡易な計算式にて成り立つ。
Impact(悪口の言語的衝撃) × Speaker(話手) ± Mood(心的状態) × Special(何か特別な要因) = Dis Damage
自虐マンはこのSpecialの値をちょろまかして、その場を切り抜ける専門家であった。
実質的には容量詐称のようなラベリングをしているだけで、本質的には何も解決していない。
しかしローエンドマンの脳はしょぼいため、大体これで誤魔化せてしまうのだ!!
自虐マン「そういえば、誰がこんなこと言ったのだ?船長?」
「誰が言った」という情報はこの計算式において、かなり重要な情報になる。
自虐マンにしても、今回の自虐回避プランやアプローチを立てるために、この情報をすぐにでも手に入れたいのだった。
船長「まだ視覚からの情報は入っていません。いつもは真っ先に飛び込んでくる感覚なのですが。。」
船長「こらっ視覚!そろそろ情報をよこさんか!!」
視覚「あ〜、いやっ、、何すかね〜、、ノイズが乗ってるっていうかブレてるっていうか、、、お見せできない状態っていうかね〜。。」
まばたきの多い視覚。こんな視覚を見るのは久しぶりで、かなり動揺しているのが分かる。
船長「この男が生まれた時に、全ての見たものを共有すると決めたではないか!視覚よ!!」
視覚「見せる程のは写ってないし〜、やっぱりノイズがねぇ〜。。
あっ、そういえば僕、家のガス栓閉めたか怪しいな!ちょっとすいませんね !早上りになっちゃいますけど、僕はお先に上がらせてもらいますね!!
ファイト・クラブよろしく部屋が吹き飛んでしまっては大変だ!!じゃあ、じゃあっ!」
小走りで視場を離れる視覚。
不可思議な前傾姿勢で、服の裏に何かを隠してるのが見える。
船長「おい!何言ってんだあいつ!!ここにガスなんて通ってないぞ!!警備!!あいつを取り押さえろ!!!」
タッタッタ... ガッッ!!
視覚「やめろ〜!!令状はあるのか〜!?!?
違法だ〜!!皆さ〜ん!これが国家による統制ですよ〜!!」
ポロッ。視覚の服の裾から小さな箱が落ちる。
船長「なんだ箱にまで入れて!ちょっと大げさじゃないか?」
視覚「開けちゃだめだ!!絶対開けるな!!」
船長「キレイな前フリをありがとう!さてと、箱の中身は何だろな?」
ギコギコ
船長「どれどれ?」
What's In The Box !?!?
船長「ぎゃああああ!!!!!」
パタッ!
船長がそのまま仰向けに倒れる。
乗組員1「船長!!大丈夫ですか!!!!大変だ!泡吹いてるぞ!!!」
自虐マン「メディック!!早く来い!!!一体何を見たんだ!???」
船長「....ミンナ........... ニゲロ.....................」
バキバキ!!
小箱が破裂し、真っ黒な煙がモクモクと湧き上がる!!
何か見える!!
そして、そこにある人の顔が浮かびあがった!!
僕「あっ、なんだぁ!僕の好きな子じゃないか!!」
好きな子「っていうか、顔気持ち悪っ!!」
ツルッ
ブレイン号「あらっ」
あらっ
水を打ったように静まり返る船内。誰も何も言わない。
朧な目で天井を見つめる船長。
船長「自虐マン。。助けてくれ。。。。」
自虐マン「haha.... ゴホッ!!ゴホッ!!!!」
吐血し、力なく倒れ込む自虐マン
自虐マン「............もう駄目だ。。。。これはない。。もぅマヂ無理。。」
総員「....」
あの優しかった彼女に....
僕が生まれて始めて恋愛相談なんかして、はじめてちゃんと告白しようとしていたあの子に.....
気持ち悪いって言われちゃった。。。
ぴえん
??「初めて会った時から、ずっと4年間「気持ち悪い」って思われていたんだろうね」
船員「ぐはっ!!!」
??「ういぃぃぃっ」
ネガティブ・クリープ 降臨
神話『ローエンド物語』に登場する、あらゆる物事を冷たくブルーに染め上げる魔物。
ドボン・ネガティブ界から舞い降りた謎の生命体。心療内科学会最大の敵。
どこからともなく生まれるこいつは、どの心にも住み着いて密かに成長しているのだという。
ネガティブ「ずっと言いたかったことが、今日はずみで出てしまったんだろうね。」
自虐マン「ひぃぃ〜っ!!止めてくれ〜!!!」
船長「彼が具現化してしまった。。まさか本当に実在するとは。。。」
ネガティブ「ほら、きっと他の皆もそう思っているんだよ。口に出さないだけで思ってるのさ。いつかは、口から溢れ出て、またお前の耳に届くことになるだろうよ。」
船長「うぇ〜ん!!」
自虐マン「HAHAHAHAHA!!(号泣)」
21年生きて、情けなく泣きじゃくる船員たち。
涙腺「うるうるうる!!!!」
反射的に動き出す涙腺。
船内で生じた悲しみのウェーブは、どこかでストップをかけないと表に現れてしまうのである。
船長「いかん。。このままでは実際に涙が溢れてしまう!!
顔をディスられて21歳が泣くなんて、あまりにも情けないぞ!!」
乗組員1「流石にそれは許容できない!」
船長「皆!歯を食いしばるんだ!!耐えろ!!!」
ぐぅぅぅん!!悔しいです!!!
乗組員1「うぉぉぉ〜ん!!」
乗組員2「むぁぁああああ!!!」
自虐マン「AHHHHHHHH!!!!」
MJ「ポウッ!!!ポウッ!!!!!ポォォォゥッ!!!!!」
はぁ。。はぁ。。。はぁ。。。。。。
涙腺「う......る...............う....................................」
ピタッ...
猛烈な食いしばりにより、根性で涙腺の外部爆発を阻止
理性「なんとか制御出来ました!!涙を止めろ作戦成功です!!」
船員「危なかった。。これで泣いていたらより悲惨な事になっていたぞ。。」
パチパチパチ!!!
ネガティブ「涙が堪えられただけで、何故そんな喜んでいるんだ?
お前はこれから、この言葉と共に生きていくんだぞ。
自分の性格は分かっているだろう、このキャッチーなフレーズはお前の頭から離れない!」
船長「ギクッ!!」
ネガティブ「高校の頃に幼稚園実習に行ったとき、思ったことをダイレクトに言う幼稚園生に「気持ち悪い!」とか言われるんじゃないかと不安になっていただろ!
無邪気な幼稚園生が言うことなどに何故そんなに怯えていたのだ??
お前は人生のどこかのタイミングからずっと、そういう事を言われる恐怖を抱えていて、それが現実になる度にただオロオロしていたんだ!!保険なんかただの気休めだ!!
どうだ!?お前はついに、それを好きな子に、それも思わず溢れ出たって感じで言われたんだぞ!!
あいにく、俺にとってこれほど嬉しいことはない!お前の悲哀がたまらなく美味しいんだ!!
俺はこの途方もなく大きなエサを前にして興奮している!!!
ブクブク太って、最後にはお前を食べてやるからな!」
船長「うわっ、思ったよりヤベぇヤツじゃん。。ダルっ。。。どうしよ。。。。」
自虐マン「ダルっ!(失笑)」
乗組員1「何なんだその喋り方は?(苦笑)」
理性「あっ!内省中の皆さん!!お取り込み中の所ごめんなさい!!」
何もない空間から突然現れたのは理性。 ビシッとした出で立ち。
ネガティブ「うるせぇ!このローエンド野郎!!」
理性「お前一回黙れ!!!」
( 理性ハンマー(1000t) )
ポコッ!!
ネガティブ「バタッ............」
船長「すごい!!理性ハンマー!!!
一時的だとはいえネガティブ・クリープを黙らせた。。理性よどうした!!」
理性「ブレイン号で大変なことが起きていることは承知しています。
ただ、外の現実世界もヤバい雰囲気になっています!」
船長「なんだ?涙はこらえたから、そんなにヤバい雰囲気ではないだろう?」
理性「いえ、会話が止まっています!
気持ち悪いと言われてから、現実時間で沈黙が3秒ほど続いています!!
1対1の会話だからこれは大きな違和感です!何か返事をしなければなりません!!」
船長「返事も何も、言えることは何もないよ!!
無理に返す必要はない!現場(脳)の復興が第一だ!!」
理性「いや、空気もどんどん重くなってゆきます!!
私理性は、このような沈黙には耐えられません!!
沈黙ボーダーラインの5秒も近い!!爆発してしまいます!!
私こと理性が吹っ飛んだら、あなたは完全にアレな人になってしまいますよ!!」
船長「しかし。。一体何を返せば。。。
確かに理性が爆発したらアレがアレになって、アレな人になってしまう。。」
理性「さぁ早く!何でもいいから返すのです!!!
コミュニケーションを続けてください!!!」
船長「え〜。。。。えっと〜ぉぉおおお!!!」
とりあえず口動け!!
うぉぉぉおおおおおおおおおおお!!!!
僕「ちょっ、ちょっとぉ〜〜!笑
そういうのぉ〜、本当にぃ傷ついちゃうからぁ〜!笑笑笑
言わないでよぉぉ〜笑笑!ねぇ〜笑
ははっはははは!!笑笑笑」
僕「(ダッセェえええええええええええええ!!!!)」
うわっ。。私の発言ダサすぎ。。。
何を返せば正解なのかは分からないけど、ニヤニヤしながらそんなことを言うのはダサすぎ。。
自分の人生だから、自分の場合は僕が主人公なんだけど、いくら自分とは言え主人公ってこんな事言うの??
あれっ、何言ってるの??
えっ何?ダサっ。。。
気絶から目覚めたネガティブ・クリープ「ちょっwwおまっwwwお前ダサすぎwwwwwwwwwww」
船長「反射的に出てきた言葉がこれか。。ダサすぎるっ。。。」
乗務員1「船長。。私、情けなくなってきました。。。」
乗務員2「しかもなぜニヤニヤしながら言ってしまったんだ。。目も当てられん。。。」
自虐マン「話にならんな。。解散だ!!解散!!!」
みるみると船内の温度が下がってゆく。
気がつくと様々なゲージが急降下。ローエンド株価大荒れ。
もともとジリ貧だった自尊心は、この段階で0を記録。
船長「これからは、厳しい時代だな」
船長のこの一言は正しく、ここからローエンドマンの激下がり期がスタート。
ちなみに、この日は凄まじい日で、ショッキングな出来事は続く。。。
飲み会の後、駅前の広場で友人と話していたところ、駆け寄ってきた彼女。
タッタッタッ
僕「??」
好きな子「バーカ!」
ベシッ
僕「えっ!!!!!」
好きな子「ウザい!!」
バシッ!!
僕「!!!!」
好きな子「嫌ぁ〜い!!」
ピシッ!!
僕「ぐはっ!!!」
えっ!?
軽いビンタと共に悪口ランキングトップ3の発表をすると、彼女は駆け足で走り去ってゆきました。
薄れゆく意識。
何だ今のは。。
5秒間に悪口トップ3を言われた上にビンタされたぞ。。。
どんな脚本?
えっ?
夢?
痛い。あれっこれ夢じゃない???
どゆこと???
なんでこんなに嫌われてるんだ???
えっ?
僕何かしたのかな??
分からない!!
えっ?
どゆこと!??
どっ、ど〜いうこと〜!?!?
その後(同日)、また別の会話の途中。
好きな子「今の顔、超気持ち悪かったよ!」
ゴォォォ。。...
人生巡廻船 「ブレイン」号
以下同文
まさかの「大切なことは二度言うメソッド」が繰り出され、完全にKO。
元々泡吹いて倒れていたところにニードロップを決められた感じ。マジで救急車呼んでくれ〜!!!
ヒューッ
バキッ!!
僕「ギャァァッ!!」
ドシャーン
こうしてローエンドマンは、深い深い奈落の底へと落ちてゆきましたとさ。
めでたしめでたし。
完
いや〜、今思い出しても凄まじいですな。。げろげろ。。
最初の笑撃発言に書く気力を使いすぎてしまって、後半は気力が無く畳み掛けるように書いてしまいましたが、それぞれやっぱりキツかったなぁ〜。。とほほ。。。とほほーほ・ほーほほ。。。
この出来事があった2019年は自分の中でもかなり致命的な年でした。
僕がそれまで生きてきて、なんとなく意識的、潜在的に抱えていた様々な不安が次々に具現化して目の前に現れてしまった年で、更には自分の生き方のツケのようなものが、丁度同じタイミングで回ってきたこともあり、生まれて初めてダウナーになった年でした。
その中でも、この「好きな子に気持ち悪いと言われビンタされる」というキャッチーすぎるイベントは、僕ことローエンドマンが「ローエンド」たる所以を遺憾なく発揮するエピソードになりました。
だいぶレアイベントらしく、達成者率が0.04%くらいらしいです。
ローエンド界のエリート。これが格の違いですよ。
悲しさ、寂しさ、切なさ、やるせなさ、不甲斐なさ、ほんのり悔しさ。
あらゆる感情がミックスされたこの出来事は、脳内のフラッシュバック装置に入り込み幾度となく再上映されることに。
「今の顔、超気持ち悪かったよ!」という名台詞は特にフラッシュバック回数が多く、2019年度, 2020年度, 2021年度の脳内流行語大賞を獲得。初の3年連続の同一文言の受賞。
鏡を見たら急にボソッと脳内に流れたり、仕事中になんの脈略も無く流れたりと神出鬼没さが半端なかったですね。
臭いものをついつい嗅いでしまうみたいなマインドが潜在で働いているのかもしれません。
あのマインド不思議ですよね。脳のそういう所心配。お前そういう所あるぞ。
臭いものには蓋をするという人類栄光の知恵があるのに。何時々蓋を明けて中を覗いてるねん。
二十歳を越えて成人というブランドを貰って、多少の揺さぶりには耐えられるようになった気がしていたのですが、まさかこんなしょうもない事で落ち込むとは思っていませんでした。
単純に外見をディスられたということよりも、それを言われてしまう自分の人間性に落ち込んじゃいます。
特に3連ビンタなんかは、確実にされる側に問題がありますからね。
誠心誠意まっすぐ生きた人間は往復ビンタなんかされません。
3連以上のビンタされた人って全員有罪らしいですよ。自分が作り出した因果の応報。因果がビンタの形で返ってきただけなのです。
しかし、察しの悪さに定評がある僕はこの原因がずっと掴めないままゲロゲロループに突入。
自分を見つめる視野の狭さ。浅い人生経験から導かれる答えはろくなものではありません。
それからしばらくは、深夜に近所の川辺まで散歩して水面をボーッと見つめるというルーティンをしていました。
「どっどうしてなんだろう。。(半泣きアホ面)」
傍から見れば完全に妖怪だったと思うので、通報されなくてよかったです。
その他にも個人的に辛い出来事がそこそこ立て続けに起き、2019年の後半は完全にノックアウト状態。
後にも先にもこんなにずっと落ち込んでいた時期は無かったですね。まぁこういう落ち込み期を経験できたのは良かったのかな。最初の落ち込み期を30代で突然迎えるよりかは、ダメージも少ないかもしれない。
まぁ時の風化作用によって徐々に回復。Given time these things will changeです。
ちなみにその後、正月に久々に会った小学生のいとこが拳のコミュニケーションをしてきたので「そんな事してたら友達に嫌われちゃうゾ!」とやんわり言ったら「うるさい!この不細工が!」と強烈な一撃を返されてしまい、おもむろに虚ろな目になり言葉数が少なくなってしまいました。
外見ディス落ち込みシナプスが完全に出来上がっているらしく、そのディスを聞き終える前にうっすら涙目になってしまったので、そういうギネスがあったら頂きが取れそうですね。
その後「ごめんな。。元気出せよ。。」と肩を叩かれ慰められる始末。もうすぐ10歳のいとこに慰められる23歳の僕。人生ってやっぱり面白いんですよね。
今となってはギリギリブログに書ける程度まで落ち着いてきたので、こうして記事にしてみたという感じです。
今回は個人的悲劇色のかなり強い出来事でしたが、どうにか成仏させてみたかったので記事にしてみました。
では、