革なめし工場見学報告(その1)
先日お休みを頂戴して行ってまいりました革なめし工場の「山口産業株式会社」さん。
そもそものきっかけは木こりの前田さんに譲って頂いた鹿皮でした。
まだ鞣しの途中ですが、まぁ「鞣す」という作業の大変なこと。
にわかに気になる今まで意識してこなかった革のアレコレ。天竜の害獣駆除の現状。
そして、皮をなめし始めたら山口産業さんのマタギプロジェクトにたどり着いたというわけです。
そして考えました、服屋としてできること出来ないこと。
まだ全く答えは出ませんが、何はともあれ工場見学でしょう!
と、行って来たわけです。
Spiralのお客様にも身近な革の話し。
数回に分けてご紹介していきますのでご興味有りましたらご一読くださいね!
山口産業の山口社長のご説明より抜粋~~
国内には今、200ヶ所の牛とか豚の食肉加工所があり、200ヶ所で月に処理される豚のお肉は130万頭分。ということは130万枚、皮が出てくると言うことになります。
一方、牛は大体10万頭位ですかね、ご存知かもしれませんが、生後六ヶ月の仔牛のお肉は非常に高価なお料理に使われますが、お肉になった後の皮はカーフスキンと言って、非常に繊維の細かい肌のきれいな牛の皮と言うことで珍重されています。 そういったものも含めて牛は大体8万頭から、多いときで10万頭くらいが毎月お肉になっています。
日本には皮を食べる習慣があまりないので、肉を取った後の皮は日本の食肉文化の副産物「産業廃棄物」となってしまいます。
それはもったいないということで、戦後、その皮を皮革にしましょうという流れになりました。
戦中、戦前からもちろんあったんですが、 戦中、戦後は牛革を軍靴に利用していまして、需要が増えたため、牛だけでは 間に合わなくて、豚の皮も使うようになり、更に皮革産業は栄えていきます。
当社では、お肉を取ったあとの皮を加工所さんから供給を受け、仕事が始まります。
加工所から直に分けてもらわないので、食肉加工所でダストシュートに集められた皮を集めて買って、持ってきてくれるのが原料問屋さん。
その原料問屋さんから原皮を購入して加工が始まるわけです。
半数が埼玉県の大宮市で、残りは色んな所から一級の原料を原料問屋さんから購入しています。
以前は、今、墨田区で全国の約9割、豚の皮を鞣してますといい続けてきましたが、
姫路の廃業された牛革のタンナーさんの跡地を中国の方が競売で買って、豚の皮を鞣し始め、墨田区のタンナー全社合わせての生産量と同じくらいの革を作り始めてしまったので、今や、墨田区は全国の半分を作っていますという状況です。
半分と言っても墨田区で鞣している豚皮は130万頭のうちの3万枚、姫路でも3万枚、100件あったタンナーは5、6社でになっている斜陽産業となっています。
鞣しの工程の一番最初は脱毛です。
祖母の時代は着物の袖をたくし上げ、刃物で反って荒川の土手で豚の毛を乾かして売ったこともあります。豚の毛はかたいので、当時は歯ブラシに利用していました。
全く知らなかった皮の流れ。
食肉加工所→原料問屋→鞣し工場と、すでに多くの人の手が関わっているんですね~
そして、日本もっと頑張らないと~~~って思った次第デス。。。
こちらが荒川土手から眺めた山口産業さん。
この荒川の土手で豚の毛を乾かしていたんですね~~~
着物で豚の毛を剃る。。。って昔の人は、つくづくスゴイなぁ。
本日はこの辺で。次回に続く!