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ファンクショナルトレーニングラボ クエスト

護身についてのあくまでも私見

2021.11.02 08:06

昨日から何人かの方からお問合せのメールやDMをいただいています。


「世の中物騒だから護身のために格闘技を学びたい」

「子供に護身術を教えてほしい」


ここから書く事はあくまでも私見です。

一般的な格闘技の技術は護身には役に立ちません。

また護身を謳っている武術なども習ったからと言って、実際の護身の場で用いるのは危険です。


私は実際に「私人逮捕」と言われる一般人が行う事を許される範疇での現行犯逮捕をした経験を持っています。

また路上で暴れる者を制圧した事もあります。

しかしそれには武術や格闘技の技術や知識とは別のスキルが求められますし、またそれ以上に胆力と言うか精神的な強さが必要です。


スキルに関して言えば、不用意に相手に近付いたり組み付くのは危険です。

一般的な対刃物の護身術は相手が刃物を振りかざしてくる事が前提ですが、実際にはそうとは限りません。

刃物を隠し持っているケースは最近の都市部の繁華街ではよくある事だからです。

かと言って間合いが遠ければ、いつまでも暴れる相手を抑える事はできません。

だとしたらどうやって相手を見抜き、どう近付き、どう組んで相手の動きを止めるのか?

それは格闘技にはないケースです。


そして何よりも失敗は許されない。

だとしたら少ないチャンスで確実に相手を制圧しなければなりません。


しかしそれら全ては相手が明らかな犯罪者の場合です。

これから犯罪を犯すかもしれないと予測して、機先を制するつもりでも、のちのち相手が「そんな事をするつもりはなかった」と証言すれば、こちらが暴行罪や不当な逮捕監禁罪に問われる事になります。


また犯罪者は犯罪を犯す前提なので平気で武器を携行しますが、我々民間人が武器になるものを持つ事は銃刀法や軽犯罪法で罰則の対象になります。


例えばキャンプで持って行くような小型の万能ナイフ、スイスアーミーナイフのように刃渡数センチで銃刀法には抵触しない刃の他に缶切りや栓抜きがついているような物でも、釣りやキャンプに行くと言う明確な目的とそのための装備をしていない時に持っていて職質された場合、東京では軽犯罪法違反で連行されて、すぐには帰宅できないでしょう。


つまり一般人が犯罪者に対して身を守る術はないと思ってほしいのです。


そんな中で唯一できる事は「人がいるところでは常にアンテナを張って、周りに怪しい人がいないか気を配る」という事。


どんなに護身の知識と技術があっても、ノイキャンのイヤホンをしてスマホの画面に夢中になっていたら、身を守る事なんてできません。


私が街や電車、駅などで「危ないな」と思うのはまずその事です。

そんな風に「人や周りの環境に鈍感な人」には護身術は決して使えないのです。


もちろん犯罪者は決して許される存在ではありません。

ただ突発的に起こるのが犯罪です。

身を守るためには、小手先の技ではなく、人や社会に対する意識を変える事だと私は思います。


末筆になりましたが、今回の犯罪で身体や心に傷を負った方々の1日も早い回復を心から願っております。