絵本『天使のクリスマス』

子供が手にする絵本には様々な仕掛けがあります。視覚的働きかけをするもの、美しい文章で綴られているもの、擬音や擬態語で溢れているもの、触覚で楽しむもの、想像力を駆使しながら読み進めるもの・・・。

この絵本は文字は一切なく美しく繊細な絵で表現されている作品であり、全てを美しく包み込んでしまう真に不思議な作品です。

雪に包まれる生活を経験された方はお分かりだと思いますが、雪が降る夜は全ての音が真っ白な銀世界に吸い込まれてしまうかのような静けさがあり、その無音の世界が神秘な世界をを創り出します。その静けさを想像しながらこの絵本の世界を堪能してください。

この絵本は煙突のない家の子供達に向けて書かれた作品です。子供が小さい頃、「我が家には煙突が無いけれどサンタクロースはどこから家に入ってくるの」と子供が心配そうに話をしたことがありました。あの時にこの絵本が出版されていたなら安心して眠りに付けたのではないかと考えてしまいます。

我が子と同じ心配をしている子供達に安心感を与え、また素敵なクリスマス一晩の物語として心に息づくことができる作品です。是非一度この静かな美しい絵本の世界の扉をクリスマスの前日に開けてほしいものです。

シャンシャンシャン・・・シャンシャンシャン・・・