しゃべれどもしゃべれども
試写会のチケットを頂いて見た。
ストーリーは、まだ二つ目の落語家のもとに、話し方で人間関係がうまくいかず、悩んでいる関西弁の小学生と無愛想な女性、強面の元野球選手が、それぞれの悩みを「なんとかしたい」とひょんなことから集まってくるところから始まる。落語をきっかけに始まる彼らの関係に、なんとなくあったかいものが通い、そこからそれぞれが新しい道を見つけるというもの。
二つ目の落語家を演じるのが国分太一。師匠である伊東四朗からダメ出しを食らってばかりで行き詰まった彼が、ある日突然師匠も驚く程化ける(化けるとは話が突然上手くなること)。上手くないときと化けたときの話し方の違いは表面的には微妙ではあるものの、伝わってくるものの違いは歴然。師匠と同じ「火焔太鼓」を話しても、彼だけの「火焔太鼓」となる瞬間である。国分太一が驚く程うまい。ちょっとした真打だ。ちょうど話のクライマックスとなるこのシーンは、先日行った門前仲町の「深川江戸資料館小劇場」だった。
桂三枝がこれを見て、苦悩する若い日の自分と重なって泣けたという。映画の中でも言っているが、寄席の数は残り少ないのに対し、噺家の数は意外に多い。その噺家たちが高座に上がる機会を得て、認められ、世間に名前を知られるようになるのは大変なことなのだと思う。
他には、香里奈、松重豊、八千草薫など素敵な俳優さんばかりで、味があって良い。関西弁の子役、森永君は初めて見たけどとてものびのびしている。桂枝雀「まんじゅうこわい」を真似する、いたずらな表情と早口はとてもかわいい。そして、伊東四朗はまるで噺家そのものみたい。なんだかどっしりして間が良くてとても上手い。
たまたま後ろに座っていた子どもが本当に面白そうにケラケラ笑っていたのがとても印象的だった。和むし笑えるし年齢問わず楽しめるとっても楽しい映画だと思う。