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朝倉彫塑館

2007.01.25 14:09

彫塑家“朝倉文夫”のアトリエ、教室、兼自宅を改築した谷中にある美術館に行った。朝倉氏の彫塑と自身が設計した建物自体を鑑賞できる。

アサクラ+テクニックを組み合わせたと言われる“アサクリック”という自らの造語は朝倉氏自身の建物への考え方だそうだが、この美術館全体がそのアサクリックそのものだと言われている。

これは「五典の水庭」という中庭。朝倉氏が自己反省の場として設計したそうで、儒教の五常「仁・義・礼・智・心」を象徴した5つの巨石が配置されている。一人になりたい時にこの庭を見てボーッとしたいかも。静かに湧き水が注ぐ池には立派な鯉が悠々と泳いでいた。

中庭を囲むように設計されているので、どの部屋からもこの庭を眺めることができ、穏やかな気持ちになる。2、3階からは見下ろせばこの庭が、遠くを見渡せば谷中や上野の街が見え、眺望が大変良い。キツツキが庭の木にとまって、軽やかに木をつついていた。

これは“朝陽の間”3階にありこの彫塑館を代表する部屋。著名人の応接に使われたという。15帖ほどもある和室二間を廊下とテラスで囲み、大変開放的で明るく、部屋全体が「まるみ」を持つようにデザインされていて、単なる日本の和室というのとは違う。

上がることは出来ないがこの部屋の上にはさらに、屋上庭園があるらしい。その庭園に腰掛けて、彫塑館の玄関を見守っている彫塑が1枚目の写真。

アトリエ部分の鉄筋の洋風、住居部分の数寄屋造り、という和洋折衷。朝倉氏自身の好きな建築方法や素材、デザインを上手く組み合わせ、新しいものにしたアサクリック満載のこの美術館、彫塑や自身のコレクションもすばらしいが、建物自体が立派で独特で、落ち着く風情ある作品で面白かった。