弱さの、その先に
「自分の弱さを知った。」
大学サッカーどうだった?と聞かれたら、私はきっとこう答えるだろう。
体が弱いとか気持ちが弱いとか、そういった類の弱さではない。
私が気づいたのは「自分のことしか考えない」という弱さだ。
他人に認められたい、すごいと言われたい、自分の存在を肯定してほしい。
いわゆる承認欲求というものに私は突き動かされて生きてきた。
その感情から生まれる行動は常に、「自分だけの成功・利益」が目的になっていた。
この感情を否定したいわけではない。
承認欲求は常に人を成長させる大きな原動力となっている。
しかし、承認欲求を、自分だけが成功する・満足するための行動に結びつけていた私は、愚かであったとしか言いようがない。
自分の人生を振り返って、私に会いたいと思っている人は少ないように感じる。
それは、自分が成功することしか考えていなかったから。
周りのことなんて一切考えていなかったから。
そんな人間のことを好きになる人なんているはずもないし、誰からも必要とされない。
自分の価値を認めてもらいたい。そのためには、「愛を持って他人と接する」こと。
この人はどんなことを考えているのだろう。どんなことがしたいのだろう。
集団に貢献するために私ができることは何か。
そういう思考を常に持っている人が、他人から求められる存在となる。
「身近にいる人を幸せにする。」どこかで聞いた素敵な言葉。
自分のことだけを考えているうちは、まだまだ弱い人間だ。
想像力を持って他人と関わり、周りに対して自分が与えられるものは何かを考え続ける。
その思考を自分の行動に落とし込む。
この繰り返しで、自分が社会的存在であることを自覚する。
そして、自然と浮かび上がってくる自分らしさに出会うことができる。
私がかっこいいと思った人間。
それは、一緒にいるだけで、気づかないうちに心地よさを提供してくれる人。
自分の向上心を掻き立ててくれる人。
その背中を追いたいと思わせてくれる人。
そんな人間と「北大サッカー部」で出会うことができた。
本当に衝撃だった。
あまりにも魅力的な人間が、先輩にも後輩にも同期にも、たくさんいた。
そんな集団に私もいられて幸せだった。
自分をしなやかにオープンに保つこと。素直で謙虚であること。
プライドや凝り固まったこだわりは捨てて、多くのことを経験したい。
北大サッカー部で出会ったたくさんの「憧れる存在」に、私も近づきたい。
自分の弱さに気づかせてくれた。
そして、自分のあり方を考えるときの新たな価値観を与えてくれた。
愛情で満ち溢れた世界へと私を導いてくれた。
それが、私がいた「北大サッカー部」だ。
最後に、自分を支えてくれた人たちに向けて。
文字だけで感謝の気持ちを伝えることは、私にはできない。
顔を合わせて、手を強く握りしめて、一言、
「ありがとう」と伝えたい。
及川宙汰朗