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フィンランドの働き方(作:夫)

2017.04.29 09:41


今回のブログは夫に書いてもらいました(^0^)

彼は日本人が誰もいないフィンランドの会社で働いていて、その働き方は、私が働いていた日本の会社とは違うことも多く、話を聞いていると面白いです☆

彼が感じたフィンランドの働き方を是非読んでみてください╭( ・ㅂ・)و ̑̑


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こんにちは、夫です。

フィンランドの企業で働きはじめてもうすぐ2年が経ちます。

今の時代、海外転勤などで外国に駐在している人は珍しくありませんが、日本人が1人もいない会社で働いているケースは稀かもしれません。

全く日本色がない企業ではどのように働いているのか、多くの方々から聞かれるので、ここにまとめておこうと思います。

また、日本にはもっと海外を知っている人材が必要だと強く感じており、少しでも多くの人に興味を持っていただければと思っております。

ただ、私は日本の企業には勤めたことがないので、直接的な比較はできません。加えて、長時間労働や過労が問題視されている現在の日本で、このようなトピックを持ち出すと、日本の働き方に異議を唱えているように思われるかもしれません。そのため、はじめに断っておきますが、私は日本の働き方を否定するつもりは全くありません。むしろ日本独自の働き方を守ることに肯定的です。

海外の働き方をそのまま日本に取り入れても上手く機能するはずはないですし、日本の魅力的な文化を崩すことになってしまいます。戦後の焼け野原から、数十年で一気に先進国にまで押し上げた、真面目に一生懸命働く勤勉さは、日本が大切にするべき部分であると感じます。その上で、偏った情報源からだけでなく、様々な広い視点から海外に目を向けることが、今後の日本にとって極めて重要であり、それが未来の日本独自の社会システムを創造する上で必要であると確信しています。


前置きが長くなりました。本題に入るところで、

まずは簡単に、私が働いている会社の紹介する必要があるでしょう。

フィンランドに本社を置く資源関係のグローバル企業です。世界30カ国以上に拠点を持ち、取引先は世界80カ国以上になります。しかし、日本には拠点がなく、日本人の社員も1人もいません。(これは、日本がいかに資源に乏しく、日本の市場にフィンランド企業が参入しにくいということを物語っています。)


雇用契約

働くためには、はじめに会社と雇用契約を結ばなければなりません。基本的に海外から来ている社員は、一人ひとり契約内容が違います。給料はもちろん、福利厚生のことから家族の待遇まで、一から会社と直接交渉することになります。例えば、給料はどの通貨でもらうのか、ユーロかドルか円か、レートはどうするのか。家賃や車は会社が負担するのか。休暇で帰国する際の飛行機代は会社が負担するのか。子供がいれば、子供の教育費も会社が負担するのか。通勤時間は勤務時間に入るか。在宅ワークは可能か、などなど細かい契約を設けることもできます。スポーツ選手の契約のようなものでしょうか。これによって、今後の待遇が大きく変わりますので、社員にとって非常に重要な交渉となります。

妻と話していると、日本では、社員は「会社に雇ってもらう」という感覚が強く、会社と社員は服従関係にある印象を受けました。しかし、ヨーロッパの会社では、社員は入社前に会社と雇用契約を細かく話し合うので、会社と社員は対等な関係であります。例えば、家族との時間を確保するために、在宅勤務を会社に依頼するということは私の会社では珍しくありませんが、日本では依頼すること自体に気が引けるのではないでしょうか。

日本人はその会社で働くことを、「入社する」と言いますが、ヨーロッパではその会社と「雇用契約を結んでいる」と表現すると働くという感覚の違いがわかりやすいかもしれません。


基本的な働き方

一般的にフィンランドでは、1日7.5-8時間働きます。残業という考え方は基本的にありません。なので、16時頃には多くの人が退社しており、17時にはオフィスは空っぽです。

家族との時間、プライベートの時間がとても大切にされています。退社後は、子供と遊びに出かけたり、趣味をしたりする人がほとんどで、仕事の後に楽しいイベントを用意しています。私の場合は、妻とプールやジムに行ったり、公園を散歩したりしています。

特に、家族との時間は最も尊重されます。家族との予定を削って働くことはまずありませんし、会社も決してそのように要求しません。仕事のスケジュールは、家族との時間を考慮した上で組まれます。

もちろん緊急で大切なプロジェクトがある場合には、長く働く場合もありますが、その分は他の日に休みます。例えば、2時間長く働いた場合には、次の日に2時間遅く出社したり、早く退社したりします。このようにして、多くの人が金曜日のお昼過ぎには退社します。


休暇

会社と雇用契約を結ぶ際に、最初に丁寧に説明されたことが休暇についてです。それほどフィンランドでは休暇を大切にしています。

1カ月以上続けてバカンスを取ることは珍しくありません。むしろ、会社が2週間以上連続でバカンスを取ることを強く勧めてきます。また、驚くことに、バカンス中は給料とは別で、さらにボーナスが出ます。日本の感覚からすると、長く休めば、給料が減っても増えることはないでしょう。しかし、ここでは休暇を楽しく過ごしてもらおうと、会社からホリデーボーナスが出ます。

しっかり休んで楽しまないと、良い仕事はできないし、新しいアイディアも出ない、モチベーションも上がらないという考えからです。

もちろん、この有給休暇は楽しむための休みであり、病欠とは関係ありません。病気になった場合には、別の休みを取ります。基本的に、風邪などであれば、3日間は医者の診断書なしで休むことができます。


仕事のやり方・考え方 (1番伝えたかったこと)

これはよく耳にする話かもしれませんが、仕事は絶対的に「結果重視」です。大きな目標とゴールが決められ、それをどう達成するかは、基本的に個人の裁量に任せられます。もちろんチームで大きな仕事をすることもありますが、個人の裁量で動ける部分が非常に大きいです。日本ではチームでやるような仕事をこちらでは個人でやってしまう印象があります。

私の場合は、上司と同じ国で働いていません。上司はアメリカにいますので、例えどれだけ長い時間一生懸命働いても、結果がでなければ全く評価されません。逆にいえば、ほとんど働いてなかったとしても、十分な成果がでれば、それで認められます。どのように成果を出すか、売上を伸ばすか、コストを削減するか、全て自分の判断で行動できる一方、取るべき責任も重大で、これらの結果は、給料・ボーナス・昇進・契約更新などに大きく関わってきます。

日本人と欧米人の働き方の大きな違いは、「効率性」とよく聞きます。これはその通りだと思います。短い労働時間で、多くのアウトプットをする、これが高い効率性です。しかし、なぜ日本人は教育水準も高く、優秀な人も多いのにもかかわらず、効率性が悪いと言われるのか。様々の原因が思い当たりますが、ここでは特に強く感じる2点について書いておきます。


1つ目は、日本人は丁寧で真面目すぎて、すべての仕事を完璧にこなさないといけないと思うからです。同じ単純な仕事を日本人と欧米人がやると、多くの場合は欧米人が早く終わると思います。これは、欧米人の方が優れているという意味ではありません。日本人が真面目で、欧米人が適当なのです。メールを1つ送るにしても、日本ではかしこまった挨拶から始まり、相手を敬った文面にしようと、気を遣ってメールを打たなければならず、時間がかかります。また、取引先に商品サンプルを1つ送るにしても日本人はサンプルを丁寧に包装して送るのに対し、欧米人は包装もせずに送ることもあり、そういう細かいところに費やされる時間が全く違います。

また、日本の場合、自分の不手際でお客さんを待たせているとすれば、どれだけ残業してでも、仕事をするかもしれません。締め切りが過ぎていれば尚更です。しかし、欧米では、仕事を第一には考えません。家族とお客さんが待っているなら、家族を優先させてお客さんを待たせます。もしくは、家族との時間をつくるために、仕事が100 % 終わっていない状態でも、仕事を無理に終わらせて、帰ります。

これを可能にしているのは、そのような家族・プライベート優先の文化があるからです。少し締め切りがを過ぎていようとも、理解があれば、取引先がそれを咎めることはありませんし、逆の立場でもこちらからもそのようなことはしません。

一方、日本では、真面目に仕事をする文化の中、自分が普段から過剰なサービス(仕事)をしているからこそ、相手にも同等以上のサービス(仕事)を求め、お互いがお互いの首を絞めているような状態になっているように感じます。

ただ、文化比較に正解はないため、冒頭にも書いたように、欧米のやり方をそのまま日本に取り入れることが正しいとは思いません。


2つ目は、そもそもの会社の仕組み・考え方が、欧米企業と日本企業で違うからです。

日本では、基本的に4月になると一斉に新卒の新入社員が会社に入ってきます。会社は、右も左も判らない、いわば真白な新入社員を多く採用し、自分の会社の色に染めようと教育します。つまり、同じような人間をつくりあげ、規則に則って仕事をさせる印象があります。だからこそ、良いチームワークが生まれる一方、仕事のスピード感や決断力が遅くなります。同じ考え方を持った人が集まるので、新しいアイディアがスピーディーに生まれるようなチャンスもなくなってしまいます。

一方、私が勤めている会社では、ほぼ新卒を採用したことがありません。基本的には即戦力の人しか採用されません。人が足りなくなれば、適時、そのポジションに最適な人を採用してます。世界中から社員が集まり、会社は多様性に溢れると同時に、多様性を重んじています。このような環境であれば、新しいアイディアも日々創造されていきます。

また、日本では人に仕事がつけられ、1人の人に多くの仕事が紐づけられている印象があります。多くの業務に紐づけられると仕事の終わりが見えません。一方、フィンランドでは、仕事に人が紐づけされています。私が勤める会社では、仕事内容は契約書にはっきりと明示されています。自分の仕事内容が明確に区分されているため、契約にない仕事を依頼されても、自分の仕事ではないと断る傾向にありまおす。さらに、自分の業務に関わる仕事であっても、1日8時間の就労時間内で終わらないと判断すれば、人を増員するよう会社に依頼することも珍しくありません。

このようにフィンランドと日本では、働き方は大きく違いますが、これらの違いは文化の違いから来ています。ただ、繰り返しになりますが、私は海外の文化をそのまま日本に入れることが正しいとは全く思いません。また、チームワークの良さは日本の特長であり、決して疎かにするべきではありません。その日本の優れたチームワークの中に多様性を取り入れることが、不可欠であると考えています。

すなわち文化や歴史、宗教など、考え方の違う人たちを区別せず、異なる視点を共有することに大きな意味があると思います。10年前までは英語が話せるというだけでグローバル人材とされてきましたが、今後の社会を担う人材には、多様性を受け入れそれらを結びつける力が必要です。自分の当たり前が当たり前でない人たちと共に1つのことを成し遂げる。これが今後の日本社会にとって重要であり、また必要であると考えています。


抽象的なので、もう少し具体的に書きたいことがありますが、ブログにしては文章が長すぎるので、今回はこの辺にして続きは次回のブログに書きます。


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最後まで読んで頂いてありがとうございました(*´︶`*)