建物滅失登記は、自分でやる
1建物滅失登記とは、建物を解体した時に、行う登記の事です。
・不動産登記法第57条には、次の如く書いてあります。
(建物の滅失の登記の申請)
第五十七条 建物が滅失したときは、表題部所有者又は所有権の登記名義人(共用部分である旨の登記又は団地共用部分である旨の登記がある建物の場合にあっては、所有者)は、その滅失の日から一月以内に、当該建物の滅失の登記を申請しなければならない。
そして罰則規定が有ります。
(過料)
第百六十四条 第三十六条、第三十七条第一項若しくは第二項、第四十二条、第四十七条第一項(第四十九条第二項において準用する場合を含む。)、第四十九条第一項、第三項若しくは第四項、第五十一条第一項から第四項まで、第五十七条又は第五十八条第六項若しくは第七項の規定による申請をすべき義務がある者がその申請を怠ったときは、十万円以下の過料に処する。
※赤線は弊所記載
●建物物滅失登記申請(法務局) ➡ 市町村に連絡がいく。課税台帳から外す
故に、登記をしないと、固定資産税課税台帳に残ったままとなり、壊す前の建物の状態での課税がそのまま請求され続けることになります。
2建物滅失登記は、自分でやる
・ここでは、一番多い、自宅の家屋を主体に全壊の時のお話します。
(大規模な解体ではなく、又、一部取り壊しの時は別な書類も必要で、めんどうになります。その時は、専門家に頼みます。
その時は、「建物滅失登記」ではなく、「床面積の変更登記」となります。)
・これは専門家に頼まなくても出来る、簡単登記なので自分でやるべきです。
専門家に頼むときは、建物が、自分の所有物であり、他に何も所有権などが無い時は、土地家屋調査士になります。
その他の士業は出来ません。
建物に、所有権が、他の人であったりするときは、司法書士が関係してきます。
つまり、どちらも、登記の専門家ですが、
・土地家屋調査士は、建物の構造に関する登記(=表示登記・土地分筆や変更登記)
・司法書士は,建物・土地の権利の登記(=所有権関係・保存登記・移転登記など)
です。
しかし、権利関係が複雑でもない限り、超簡単なのです。
専門家(土地家屋調査士)に頼めば,4~5万円はかかるといいます。司法書士も関わればさらに高くなると言います。
他の士業ではできません。
・建物所有者(名義人)が滅失登記しますが、相続人も出来ます。その時は、相続人の証明として、市役所で、戸籍謄本を貰ってきます。
・名義が、共有である時は、1人でも登記は出来ます。
3建物物滅失登記のやり方
【登記の流れA~E】
A 申請書を入手
(建物が登記されている法務局で申請書をもらう。又は、法務省HPよりダウンロードする。)
※分からない時は、法務局へ行けば親切に教えてもらえます。
【必要書類】A4サイズ、左角をホッチキス留め(クリップ留めでもよい)
1登記申請書
2建物取り壊し証明書(解体業者から貰う)
3解体業者の印鑑証明書(解体業者から貰う)
4解体業者の資格証明書又は会社謄本(解体業者から貰う)※1
5住宅地図(解体物件が載っている住宅地図。googleマップでコピー)
※1 印鑑証明書に法人番号が書いてれば省略できる。又、個人業者では、会社謄本の登記簿謄本は無いので、省略できる。
【提出方法】・・・持参、郵送(管轄法務局へ)
※最後の登記完了書を郵送してもらう時は、切手を貼り宛先を書いた封筒を同封します。
【提出先】・・・住所管轄の法務局
【提出期限】・・・解体後1カ月以内。(57条)上記。
B 登記申請後、調査員の調査
・申請後、実際に調査員が現場を見に行く
・登記に不備があれば、連絡が来ます。
C コンピューター入力
・法務局でコンピューター登録される
D.法務局へ連絡する
・完了書受け付け日以降に「完了したかどうか」を電話連絡します。
E.登記完了
・登記が完了すると、「登記完了書」が発行される。(申請後20日間位)
・当日は、受領証(申請時に受け取った受取番号が書かれた用紙)、認印(申請書に押印した印鑑と同じ物)、身分証明書を持参。
4 登記申請書の書き方
・法務局で申請書をもらう時に「書き方」冊子も貰えます。
・間違えが無いように、鉛筆で下書きをするか、もう一枚コピーしたものに書きましょう。
・管轄法務局の名称を書く(提出先と同じ)
・申請先の住所と現住所が違う時ℋ、住所の移動がわかるまでの住民票の写しや附票が必要。(市役所に聞けばいいです)
・印鑑押印に際しては、実印ではなく認印でOKですが、実印が必要な時は、印鑑登録証明書も必要です。
・「登記原因及びその日付け」欄は、登記簿謄本(登記事項証明書)を見ながら書きます。※2。「その日付け」は取り壊し日です。※3
※2 「登記事項証明書」=法務局へ行って申請書を貰う時に同時に貰えばいいです、手数料は600円。身分証明書や印鑑は不要です。
※3 取り壊し日と申請日が1ヶ月以内である事が要注意です。
5 滅失登記をしないと・・・
・固定資産税を従来のまま継続して支払わねばならない
・土地の売買、抵当権設定が出来ない
・金融機関からの借り入れが出来ない。
・1ヶ月以内にしないと、罰金を支払う事になる(上記)
まとめ
・一番肝心なのは、解体業者が発行する書類3枚を解体後早くくれる事です。
そうでないと、申請が遅れるばかりです。
・解体業者からの書類は、工事完了後に工事代金を支払い、その入金確認がなされたら、送付して来ます。
提出時が、5月のGWやお盆休み・正月休み等にはさまれると、全体に遅れやすくなります。
要は、解体業者が真面目で、親切である事が信頼の要点です。
往々にして、小さな解体業者の場合、営業と事務員が各1名であったりすると、今時の労働法規により、厳格に週休二日や社員の休日・有給等を取っていたりします
すると、1日、2日と遅くなったりもします。又、営業や工事は、土曜日も業務をしていても、事務員は土曜日休みであったりもします。其れゆえ、社内連絡のミスも有ります。
・また、新築故の旧家屋解体となると、新築会社が、この書類自体を自社でやったりします。すると、直に士業に依頼するよりも値段が高くなりやすいことも有ります。
親切な建築業者ならその点を説明するかもしれませんが、あえてこちらから問いただすことも考えておきましょう。
・申請はオンライン申請も有りますが、設定申請に準備が掛かりますので、持参・郵送が分かりやすく、簡単便利です。
・その他、悪徳業者で解体証明書をくれない(=解体物不法廃棄の時は、その時の証明が取れない=「マニュフエスト」と言う)とか、過去に解体済みの時や抵当権がついているなど、問題要素がある時は、まず、法務局へ相談する事です。