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Classic Music Diary

Bach on the Rauwolf Lute

2021.11.07 04:23

Jakob Lindberg,Rute      (BIS) FLAC 96KHz/24bit

フェルメールの『リュートを調弦する女』でも有名な中世からバロック時期に流行したこのリュートという楽器は、調弦が難しいという理由もありその後廃れていくがその緻密さと優しい音色の故に今でも人気がある。かく言う私も寝入る時にかなりの頻度で聴いているのがヤコブ・リンドベリの前作『Various: a Lute By Sixtus Rauwolf』。今回リリースはバッハの名曲集。バッハもリュートの為の曲を作曲しているが、リンドベリは随分前にそれらを全曲録音しており、このアルバムでは本人の編曲による作品を中心に収録している。

このアルバムでも使用されているのは歴史的銘器。タイトルに付いているラウヴォルフさんが1590年頃に製作したのがオリジナルで、その時は7コースまたは8コースのルネサンス・リュートだった。弦は13本から15本。その後時代がくだりバロック時期になると、17世紀末から18世紀初頭のドイツのリュート音楽を演奏するためにネックを付け替え11コースのバロック・リュートへと改修された。また、リュートの響板は最大で2ミリほどしかない薄いものでそれがこの楽器の優雅な音を生み出す鍵にもなっているのだが、この楽器ではなんと1418年から1560年頃の松が使用されており、演奏可能な状態のリュートとしては最古のものだそうだ。リュート以外の楽器でもそこまで古い材料で演奏できるものはほとんどないと思う。

緻密な楽器ゆえに演奏よりも調弦に時間がかかると言われるリュートから奏でられるその落ち着いた優しい音色、中世に生まれバロック時代を通し現在まで使用され続けてきたこの楽器によるバッハの名曲の数々を往時に想いを馳せながら聴いていると催眠効果もまた抜群ですぐに眠りにつけそうだ。

2021-904