中国では1500万人以上の人が「家里蹲」
【質問】
監視・密告社会の中国にあって、日本のような「引きこもり」問題は起きていないのですか?
【回答】
「引きこもり」は中国語で言うと、「家里蹲」、家に蹲る。こもることです。「蟄居族」「蹲族」とも言います。「引きこもり」問題は起きています。監視・密告社会なので、「引きこもり」子供がいる家庭の親は日本以上にプレシャーを受けているわけです。しかも、親のほうが、精神的な負担だけではなく経済的にも負担がかなり大きいです。
中国では、多くの人が他人の家庭事情などプライベートなことを勝手に話題にする傾向があります。 ネット上、「家里蹲」に関する物語が多数あります。進学と就職に失敗してから、「家里蹲」になってしまった例が多いです。 例えば、「近所に45歳の人がいて、1日も仕事に行かず、若い頃、大学入試の失敗で、家の中にいて外に出られず、毎回両親が彼に聞くと、家で受験すると答える。大学入試を受けていたのが、年々失敗。このことは、彼に大きな刺激を与え、その後、大学入試をあきらめたが、どんな道へ行くことをも拒否し、単に引きこもり。一家は工場の宿舎に住み、隣人はすべて親の同僚で、周りの人が彼を嘲笑う者もいた。彼の両親は頭が上がらず、精神的ストレスが大きかった」。
不完全な統計によると、中国では1500万人以上の人が「家里蹲」にしているそうです。そうすると、平均して100人に1人が「家里蹲」ということになります。 もう1つは、ポジティブな状態の「家里蹲」は、破天荒な人、芸術的な成果を上げた人だ。85年生まれの北京女性殷越さんは、卒業後、仕事に行かず、11年間家にいました。
最初の3年間は、ほとんど収入がなく、普通の若者と同じように、混乱と不安の中にいました。 そんな彼女を支えていたのは、大好きな手作工芸でした。家で羊毛フェルトを作り、想像上の様々な人形を一針一針突き刺す日々を送っている。小さなキノコ人間、小さなサル、ゾウ、シカなど作品を完成した後、充実感が溢れます。 彼女が自分の作品をオンラインで公開したところ、このおとぎ話のようなスタイルは瞬く間に多くの人の目に留まりました。
生きることの中、悲しさ、楽しさ、悲しさ、繊細さ、暖かさなど、自分の感情を羊毛フェルトに溶かし込んだ。徐々に彼女の作品を評価する人が増え、中国で次々と展覧会を開催し、後には日本でも人気を得て売れました。彼女のような「蹲族」は立派です。
「蹲族」の出現は、単に若者自身に起因するものではなく、内面化された社会環境、学校や家庭での教育など、さまざまな要因が重なった結果であると考えられます。ある「蹲族」の言葉を借りれば、「家里蹲」とは、「流れに身を任せるのではなく、立ち止まって努力の意味を考えるためのバッファを与えること」なのです。
都市の「蹲族」が「立ち上がる」ことができるようにするためには、若者が自分の関心事を見つけ、確固たる目標と方向性を見出すことが必要であるだけでなく、さらに重要なことは、社会改革によって若者の精神的負担を効果的に軽減することで、若者が活躍するためのより健全な環境を作り出すことです。若者の心の中にある不安やモヤモヤが解消されてこそ、社会全体の発展がよりダイナミックでエネルギッシュなものになるのです。立ち直れる「蹲族」は立派です。
(メルマガ黄文葦の日中楽話第43話より)