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超人ザオタル(41)理解を深める

2021.11.08 23:27

私は自分が個人ではないという理解を熟成させる必要があった。

瞑想で何度もそれを確かめ続けた。

そのことは徐々に私の中で真実としての場所を築いていった。

それは確かめずとも、当たり前のことにする必要があるのだ。


アルマティとタロマティも私の部屋で毎晩のように瞑想をした。

ふたりとも瞑想に新たな道を見出したようだった。

それはとても楽しい習慣のようで、一緒の瞑想時間を待ちわびてもいるようだった。

それはとてもいいことなのだが、私は疑問に思うことがあった。


瞑想の心地いい時間が道の最終地点なのではない。

そのことをふたりが理解しているのだろうかという疑問だ。

深い瞑想の満足感がふたりを足止めしている可能性もある。

そのことを何度か確認しようとしたが、私は自分のことでも手一杯だった。


ザオタル個人を捨てるということに時間がかかっていた。

それはそうして時間をかけなければ乗り越えられない問題だったのだ。

時間をかけて慎重にするべきことだ。

それを中途半端に後回しにしたなら、その先で私はさらに混乱しただろう。


その夜も三人で一緒に瞑想をしていた。

私はいつもの場所に留まり、そこで自分が個人ではないことを確かめていた。

ふと久しぶりに意識の切り替わる感覚が起こり、あの岩山へと連れて行かれた。

そこにはアムシャが待っていた。


「ようやく個人の壁を超えられそうだな、ザオタル。

自分がその存在だということを受け入れられてきたようだ」

アムシャは私の隣りに並んで座り草原を見ていた。

「ええ、なんとかそれを受け入れられてきました、アムシャ」


「確認なのだが」

そう前置きしてアムシャが話し始めた。

「ザオタルの身体と心は自分ではないということでいいのか。

瞑想から覚めてしまえば、身体と心の現実感が無視できないぞ。


その現実感を前に、これは自分ではないといえるのか、ザオタル」

私はその問題を抱えていた。

アムシャが言う通り、瞑想から覚めた世界では身体と心の現実感を無視できない。

いくら瞑想で身体と心は自分ではないと確かめても、その事実は如何ともし難い。


その点をアムシャは鋭く突いてきた。

「それは正直まだなんとも言えません、アムシャ。

世界に戻れば、私はザオタルなのです。

そこで私はザオタルではないと宣言することは妙なことに思えます。


自分が個人ではないと知っても、この現実感を無視することには無理があります。

私は瞑想での存在としての自分と、この世界での身体と心の自分、

このふたりが両方とも自分なのではないかと思えてきます。

そういうことであれば、納得できる気がするのです」