今週の営業予定+今週の1冊
【今週の営業予定】
11/8(月)12時〜20時営業 古本喫茶「止まり木」実施
11/9(火)12時〜20時営業 古本喫茶「止まり木」実施
11/10(水)12時〜20時(臨時)営業 古本喫茶「止まり木」実施
11/11(木)定休日
11/12(金)12時〜18時営業
11/13(土)12時〜18時営業
11/14(日)12時〜18時営業
【今週の1冊】
・『新装版 七回死んだ男』西澤保彦(講談社)※11/9(火)新刊本で在庫あり。
ループもののミステリー小説。
少し突飛な設定で1日を9回繰り返す特殊体質がある少年が主人公だ。
「能力」ではなく「体質」と(小説内でも)書いてあるのは、自分でコントロールできるわけではなくそれは不定期に突如やってくるからだ。1ヶ月のうちに何度も起こる時もあれば、数ヶ月起こらない時もある。
主人公はそれを「反復落とし穴」と呼んでいて、1周目〜8周目はいわばシミュレーションで、9周目がその日起こったこととして確定されて(本当の)次の日へと移行する現象になっている。
物語は正月に資産家の祖父の家に親族一同が集まるところから始まり、その日から「反復落とし穴」現象が起こる。1周目には起こらなかったのに2周目に祖父が何者かに殺害されてしまう。
1周目にはなかった殺人がなぜ起こるのか?
普通のミステリー小説ならその原因を推理する話の展開になると思うが、この小説では犯行がおこなわれた時点で犯人が判明しているケースが多く、9周目までに祖父が殺されない状況をどのように作るか?を目的に主人公が行動する話の展開となる。
推理らしい推理はこの小説ではほぼ登場しない。
推理描写のない小説をミステリーと呼んでいいのか?という疑問は少しあるが、奇抜な設定の中にも論理的な思考と行動を積み重ねていくプロセスが描かれていて、そこにミステリーらしさを見て取れて面白い。
終盤にまた新たな謎が浮上し、それを綺麗に回収する物語進行がまた鮮やかであり、エンタメ的な爽快さと読み心地の良さにもなっている。
私見だが、これは穴から抜け出す物語でもあり、新しい穴にはまる物語でもあるとも言えるかもしれないなと思う。
それはどちらも人のささやかな行為によって起こる。
そのささやかさが「愛」につながるという物語の締め方にはロマンチストめいた印象がありつつも私は結構好きなのでおすすめしたい。
それと同作者の『人格転移の殺人』も面白いのでおすすめしたい。※11/9(火)新刊本で在庫あり。
こちらも変わった設定で国家が秘密裏に行っている人格転移の実験にある一同が巻き込まれてしまうというミステリー小説。
しかもその人格転移というのは一度きりではなく不定期に何度もやってくる。
その繰り返される人格転移の中で殺人が起こってしまう。
殺されたのはどの人格で、殺人を行なっているのはどの人格なのか?
頻発する人格転移と殺人でハラハラドキドキの中で繰り広げられる推理に引き込まれる。
人格転移が行われる意味とは何なのか?がSF的な視点から物語内で推察されていて、ここにも『七回死んだ男』と同様にロマンと愛がある。好きな小説だ。