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Baby教室シオ

絵本『ぱくぱくはんぶん』

2021.11.14 00:00

昨日の『等分してみよう』記事からインスピレーションを得て選んだのがこの絵本。

記事にも記したように学習に直結する等分という経験は、幼児期の頃の生活で確りと取組んで行くことが大切です。しかしその学習やものの扱いとしての学びより重要なのは、人とものを分かち合うという優しさや心遣いと思いやりです。乳児向けの半分こを主題とした絵本はたくさんあるので、今回は幼児向けの作品を選んでみました。

その絵本は年中児向けの福音館書店の月刊絵本『ぱくぱくはんぶん』です。

この絵本はイラストレーター南信坊さんの味わいのある絵と、渡辺鉄太氏の幼児が物語を理解しやすい反復表現とのコントラストで思わずくすっと笑ってしまい、自らの行動が人を怒らせてしまう事となりその失敗を反省し行動を起こす内容の作品です。

甘い香りが漂ってきそうなできたてのカステラを連想をしてしまう大きなケーキを焼いたおばあさん、食いしん坊のおじいさんに全部食べずに半分残しておくように伝え、そして後で自分自身も食べる旨を伝えます。

おじいさんは美味しそうに、満足そうにケーキを半分食べました。

そこへ犬のジョンがやってきます。しかし現れたのはジョンばかりではなく次から次へとケーキを食べたがるものたちが・・・するとみるみるケーキは小さくなっていきます。

幼児になると半分の半分がさらに小さくなり、終いにはどうなるのかということを発見し楽しむことができるようになります。また図形分割を学んでいる子供達は自らの経験をこの作品に投影し読み解くこともしているでしょう。

2分の1、4分の1、8分の1・・・どんどん、どんどんと小さくなるケーキ。そこへ外から帰ってきたおばあさん・・・目が驚きで落っこちそうに。そのイラストに「目からうろこだね」と話していた生徒さんもおりました。視覚的な部分と言語が結びつく瞬間を垣間見た瞬間や「みんな一緒に食べたらよかったのに」と発言する子もいて絵本を通して自分の考えを言葉にできる思考力の成長も感じた作品でもあります。

おばあさんが驚く場面からこの絵本の第2幕の幕開けです。ネタばらしになってしまうのでここから先は絵本をお読みください。

ここから少し余談です。私が子供の頃はバタークリームのケーキが主流でした。誕生日になるといつものケーキ屋さんで、いつものホールケーキを母と兄弟でウキウキしながら買いに行ったものです。「一度でいいからホールごと一人で食べたい」という願望を母に話した記憶があります。小学校卒業時にその願いが叶えられました。意気揚々ケーキを食べ始めたのですが、バターケーキは胃に重く夢は夢のままであったほうが良かったと途中断念しました。

自分自身の経験からもそしてこの絵本『ぱくぱくはんぶん』からも一人で何か食すよりもやはり誰かと分かち合った方がお腹も心も満たされるものだと思い懐かしく感じました。

ユニークで優しさを感じることができるこの絵本を子供達には一度読んでほしいものです。


作家渡辺鉄太氏は懐かしい作品『しょうぼうじどうしゃじぷた』の作者渡辺茂男氏のご長男だそうです。絵本作家のお子さんとして成長された鉄太氏の作品を読み進めて新たな発見ができればと考えています。