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WSTC 2021を振り返って

2021.11.11 13:15

Junです。今年は大会に対して例年とは全く違う取り組み方をしました。その結果が今回の4位という順位と80点超えのスコアに繋がっているのではないかと思っていますが、一年分しかサンプルが取れていないのでまだ確証には至っていません。演技構成そのものについては別記事で紹介しているのでそちらを。


ここでは主に練習方法や取り組み方、大会への作戦についてです。


練習メニューの作成

僕はコマに対して幾つかの側面があると考えています。「遊び」「スポーツ」「カルチャー」などなど。世界大会においては、大会があること、他国の選手と競うこと、技術を磨いていくことなどから「スポーツ」に分類するのが1番近いと考えています。ただ、現在のコマが他のスポーツと違うところは、基礎メニューやコアトレ、アップなどの概念がないことだと考えました。

自戒も込めてますが、日本のトッププレイヤーの中で、全日本大会に向けて練習しても、いかにシステマティックに練習するかを考えている人は少ないと思います。そこで、大きく分けて

・基礎メニューの作成

・アップメニューの作成

・構成の練習方法

の3つをとことん考えながら今年は練習しました。


まず基礎メニューですが、コマにおける「基礎」とはなんなのでしょうか。紐が綺麗に巻けること、つばめがえし、水車といった基本的な投げ出し、リジェネといった、技の初動となる部分が基礎になるのだと僕は思っています。特に投げ出しについては、構成の中で使う形、すなわち紐を巻いて台にあらかじめ置いてあるコマを投げること、これが世界大会における基礎になると思います。

普段は紐を巻いてすぐに投げ出しますが、これを一度台の上に置くだけで感覚はかなり変わってきます。自分では気づかないレベルの持ち方の違い、紐のテンションなどが投げ出しに影響してくることを実感しています。これに15分、調子が合わなければ30分費やします。


アップメニューについてです。これはその日の自分の「テンポ」を作ることだと考えました。僕にとっては、技のテンポと音楽のテンポを合わせることが世界大会において最も重要なことです。しかし、音楽のテンポは、いつも自分が無音で練習しているテンポとは異なります。体に染み付いてる、技を行う速さを、大車輪の回す速さを、意識的に変える必要があります。構成に使う音楽のループ音源を作成し、アップ中はずっと流しながら、テンポを体に刻み込む作業を行いました。これも30分行います。僕は構成の中で使うコマが固定軸ツルとベアリングと二種類あったのでそれぞれでテンポを合わせています。


構成の練習方法は、学生時代の吹奏楽部の経験を活かして、分割して練習を行なっていました。まず初めに3分間通して数回行う。その後に成功率の悪かったパートだけを抜き出して練習をします。そのために音源を分割して、30秒程度でループする音源を作成しました。

また、構成の中で意外とミスが多かったのがコマを持ち換える時です。次のコマを使うことに意識を持ってかれてキャッチミスが起こり、投げ出しのタイミングを合わせるために急いでコマを持ったために投げ出しをミスすることがありました。そのため、分割して練習する際は、次のパートで使うコマを投げ出すところまでをループに組み込みました。


練習場所の確保

実は世界大会に向けてコマの練習ができるところってかなり少ないです。選手なら頷いてくれると思います。床材、天井の高さ、照明、広さ、窓の大きさなど、快適に練習できるかどうかだけでなく、周りのものを壊す心配が無いかどうかも重要になってきます。また、こちら側の条件をクリアしても、床に傷がついてしまう等の心配から、施設側からNGが出ることもあります。かといって、公園などは土などがついて紐が使えなくなってしまったり色々と不都合です。

今年の僕の場合は、中京いきいき市民活動センターの会議室が大きな鏡もあり好都合でした。床もカーペットでコマに傷が入る心配もなく、また大きな鏡もあるのでフォームチェックにも困りませんでした。この点に関しては京都に引っ越したことで得られた大きなラッキーです。しかも1時間100円という破格。コロナが落ち着いたら練習会もやるので来てください。


練習時間の確保

今度は場所じゃなく時間の確保です。これは学内サークルに1つも所属しないことで解決しました。大学に友達がいない気もしますがまぁ気のせいでしょう。インカレサークルに1つ所属していますが、めちゃくちゃ融通をきかせていただきました。ありがとうございました・・・

また、市民活動センターでの練習は週2でしたが、それ以外の日も基礎メニューだけは欠かさずやっていました。音楽の世界では、「1日練習しないと3日分衰える」という言葉があります。音楽ほど顕著ではないかもしれませんが、結局は継続が1番強いのだと思います。


新しい刺激を受け続ける

これが今年の演技構成に最も影響を与えたと思います。技のラインナップ以外での身のこなしかたです。僕は比較的コマ歴が他のプレイヤーより長いですが(15年やそこら)、ここ数年はコマだけの技術で勝負しているわけでは無いです。今年影響を受けに交流しに行ったのは

・フリースタイルフットボール

・なわとび

・ファイアートーチ

・フリースタイルスペース(ディアボロ、ダンス、バスケ、けん玉などなど)

この辺りです。

実際2020と2021の動画を見比べてもらうと一目瞭然ですが、2021は音楽をしっかり聞いて演技ができています。これはフリースタイルバトルの練習の成果が出ているものです、バトルではすごいことをただやるだけでは勝てなくて、いかにビートアプローチができているか、すなわち音楽に合わせられているかが重要になってきます。各カルチャーはコマの何歩先もビートアプローチが進んでいて、かつそれぞれの方法でそれを行なっているので、コマに適したビートアプローチを見つける良い勉強になりました。


ちなみにファイアートーチはこういうものです。(高校の同級生が代表やってます。めちゃくちゃかっこいいので見てくれ)


日本のコマでしかできない動き

世界大会ではもちろん色々な国から選手が参加してきます。そしてコマの形も国によって違います。海外で一般的な形はこれ。スピントップと呼ばれます。


このコマと日本のコマでは、今年のエントリー動画を見るとわかりますが、全然技が違います。そんな中で勝負をしていくので、技の選択にはかなり悩みました。結局は、スピントップの一般的な技を、コマで再現した後、コマでしかできない動きを大量に詰め込みました。狙いは2つあります。

1つはコマの技を世界に知らしめること。

1つはジャッジを困らせることです。

別に僕の性格が悪いからジャッジを困らせたい訳ではなく、スピントップにない技であればジャッジが高得点をつけてくれる可能性があるからです。もちろん低くなる可能性もありますが。今年のジャッジでは4位につけているので、難易度は正当に評価されているような気がします。これは来年からの構成に入れる技を選ぶ指標になります。


ひとまずここまでにしたいと思います。

色々な選手の動画をもとに、どんな技が高いジャッジを受けるのかもまた分析していこうと思っています。