ZIPANG-5 TOKIO 2020 5社がカーボンニュートラル実現に向け、燃料を「つくる」「はこぶ」「つかう」の選択肢を広げる取組みに挑戦!
-電動化への取り組みに加え、内燃機関活用のさらなる広がりへ-
川崎重工業株式会社(以下、川崎重工)、株式会社SUBARU(以下、SUBARU)、トヨタ自動車株式会社(以下、トヨタ)、マツダ株式会社(以下、マツダ)、ヤマハ発動機株式会社(以下、ヤマハ発動機)の5社は、11月13日・14日に行われる「スーパー耐久レース in 岡山」(3時間レース)において、カーボンニュートラル実現に向け、内燃機関を活用した燃料の選択肢を広げる挑戦について共同で発表しました。
川崎重工、スバル、トヨタ、マツダ、ヤマハ発動機 共同記者会見
5社の共同記者会見内容
SUBARU、トヨタ、マツダがカーボンニュートラル燃料を使用しスーパー耐久シリーズ参戦
川崎重工、ヤマハ発動機が二輪車等での水素エンジン開発の共同研究の可能性検討を開始
トヨタの水素エンジン車両が「スーパー耐久レース in 岡山」に参戦。
新たに福岡市から水素を供給
具体的には、燃料を「つくる」「はこぶ」「つかう」選択肢をさらに広げていくために、
①カーボンニュートラル燃料を活用したレースへの参戦、
②二輪車等での水素エンジン活用の検討、
③水素エンジンでのレース参戦継続、
の3つの取り組みに挑戦します。
内燃機関と組み合わせた燃料の「つくる」「はこぶ」「つかう」のさらなる連携を進めることで、今後5社は、カーボンニュートラル実現に向けて、電動化への取り組みに加え、お客様により多くの選択肢を提供することを目指し、一体となって以下の取り組みに挑戦していきます。
燃料を「つくる」「はこぶ」「つかう」選択肢を広げる3つの取り組み
①カーボンニュートラル燃料を活用したレースへの参戦
次世代バイオディーゼル燃料を使用するSKYACTIV-D1.5でレースに挑戦(マツダ)
MAZDA SPIRIT RACING Bio concept DEMIO
「マツダは、カーボンニュートラル実現に向けて、お客様に様々な選択肢を提供することが大切であると考えています。
そのために、従来のHEVモデルやディーゼルエンジンモデル、BEVモデルだけでなく、今後はPHEVモデルを投入し、パワートレインのラインアップを拡大するとともに、志を共にするパートナーとバイオ燃料に代表される再生可能燃料への取り組みを行っています。
今回は株式会社ユーグレナから供給を受ける100%バイオ由来のディーゼル燃料を使用するSKYACTIV-D 1.5(ディーゼルエンジン)を搭載した「MAZDA SPIRIT RACING Bio concept DEMIO」で「スーパー耐久レース in 岡山」のST-Qクラスに参戦します。
今後も様々な環境や条件で実証実験を行い、次世代バイオディーゼル燃料の普及拡大に貢献していきます。」
バイオマス由来の合成燃料を使用し、来年のスーパー耐久シリーズに挑戦
(SUBARU、トヨタ)
SUBARUとトヨタは、カーボンニュートラル実現を目指し、2022年年央に世界各地での発売を予定している両社共同開発によるBEV、SUBARU「SOLTERRA(ソルテラ)」とトヨタ「bZ4X(ビーズィーフォーエックス)」など、電動化を含めた対応を進めています。
今回、新たな選択肢を検討するため、2022年シーズンのスーパー耐久シリーズのST-Qクラスに、バイオマスを由来とした合成燃料を使用する新たな車両を投入し、実証実験をしていきます。
具体的には、SUBARUはSUBARU BRZをベースとした車両、トヨタはGR86をベースとした車両で参戦します。
協調するとともに、レースの場では共に競い合うことで、あらゆる選択肢について技術開発のスピードを上げ、カーボンニュートラル実現に向けて挑戦していきます。
②二輪車等での水素エンジン活用の検討
水素エンジン開発の共同研究の可能性について検討を開始
(川崎重工、ヤマハ発動機)
川崎重工、ヤマハ発動機、スズキ 共同記者会見
川崎重工は、2010年から次世代エネルギーとして水素に着目し、社会生活に必要なサプライチェーン全体(「つくる」「はこぶ」「つかう」)にわたる技術開発を進めてきました。
現在、オーストラリアの褐炭からつくった大量かつ安価な水素を日本へ「はこぶ」ための実証試験を開始し、2021年度中には川崎重工が建造した世界初の液化水素運搬船「すいそふろんてぃあ」による水素の輸送を予定しています。
また「つかう」では、2018年に世界で初めて成功した市街地での水素100%を燃料とするガスタービン発電技術で培った水素燃焼技術をベースに、航空機用、船舶用、二輪車用といった陸・海・空のモビリティ向け水素燃料エンジンの開発を進めています。
ヤマハ発動機は、二輪車やROV(四輪バギー)等、自社製品への搭載を視野に入れた水素エンジンの技術開発を行っています。そして、これらの開発を加速させるために、新規の設備導入の準備と、社内における開発体制の強化を進めています。
このたび、川崎重工とヤマハ発動機は、二輪車への搭載を視野に入れた水素エンジンの共同研究について検討を開始しました。
さらに今後は、本田技研工業株式会社、スズキ株式会社が加わり、4社で二輪車における内燃機関を活用したカーボンニュートラル実現への可能性を探っていく予定です。
協調と競争を分けるべく、協調領域と協働研究の枠組みを明確にした上で推進していきます。
③水素エンジンでのレース参戦継続
水素エンジン車両の「スーパー耐久レース in 岡山」への参戦
(トヨタ、ヤマハ発動機)
水素エンジン車両「SUZUKA S耐」での様子
トヨタは、2016年からヤマハ発動機、株式会社デンソー(以下、デンソー)ほか関係者と共に、水素エンジンの開発に取り組んできました※1。
そしてこれまで、開発中の水素エンジンを搭載した車両を「富士SUPER TEC 24時間レース」、「スーパー耐久レース in オートポリス」、「SUZUKA S耐」の3戦に投入し、水素を「つくる」「はこぶ」「つかう」の選択肢を広げる取り組みを、様々な企業・自治体と共に行ってきました。
「スーパー耐久レース in 岡山」でも、引き続き「ORC ROOKIE Racing」の参戦車両として投入し、トヨタの代表取締役である豊田章男氏が、ドライバー「モリゾウ」としてレースに参戦します。
※1 ヤマハ発動機、デンソーの水素エンジン開発の取り組み
●ヤマハ発動機は、エンジンの試作・燃焼検討・出力性能向上検討やレースでの適合・耐久試験のサポートに加え、一部エンジン部品の設計を担当
●デンソーは、直噴インジェクター・点火プラグの開発を担当
ⅰ)「つくる」の挑戦
福岡市 水素製造設備
●過去3戦で水素の供給を受けた企業・自治体に加え、新たに福岡市と連携
●水素を「つくる」新たな挑戦として、福岡市が製造する下水バイオガス由来水素を水素エンジンに供給
●福岡市は2015年から、市民の生活排水である下水から水素を作り実用化する世界初の取り組みに挑戦
●福岡市中部水処理センターで下水処理をする際に発生するバイオガスから、CO2を増やさないグリーン水素を製造
●水素製造能力は、3,300Nm3/日(MIRAI約60台分/日 1台あたり55Nm3として換算)
FCトラックやFCバイク、FC電源車にグリーン水素を供給するなど、企業と共に実証実験を実施
今回水素供給の企業・自治体と水素の種類
大林組 地熱発電由来水素
トヨタ自動車九州 太陽光発電由来水素
福岡市 下水バイオガス由来水素
福島県浪江町(FH2R) 太陽光発電由来水素
ⅱ)「はこぶ」の挑戦
●今回は、株式会社ユーグレナの次世代バイオ燃料をトヨタ輸送の大型・中型トラックに使用し、水素を運搬
●トヨタと「Commercial Japan Partnership Technologies(CJPT)」が連携し、「SUZUKA S耐」で分かったFC小型トラックでの運搬効率の課題解決に向けて、検討を開始
課題1 運搬用の金属タンクが重く、小型トラックに積める本数が限られる
課題2 金属タンクの許容圧力の関係で、1本あたりの水素充填量が限られる
●解決に向け、MIRAIで培った軽量・高圧で水素運搬可能な樹脂ライナー製CFRPタンク技術を活用
●従来の金属タンクと比べ、大幅な運送効率アップの目途が付き、今後実際に水素を運搬できるよう、開発・検討を推進
ⅲ)「つかう」の挑戦
●過去3戦を通して、モータースポーツの厳しい環境で鍛えることでスピーディな水素エンジンの開発を推進
●初参戦の「富士SUPER TEC 24時間レース」時から毎回改善を重ね、今回までの約6ヶ月間で、出力を約20%、トルクを約30%向上、「SUZUKA S耐」からの約2ヶ月では出力・トルクを5~10%向上させ、ガソリンエンジン以上の性能を実現
●一方、燃費水準は維持(仮に「富士SUPER TEC 24時間レース」時と同じ出力に揃えた場合、約20%の燃費向上が可能)
●「SUZUKA S耐」の前に開発現場で新たに導入したコネクティッドシステムを、より多くのデータを処理・解析できるように改良。テスト走行で活用することで開発スピードがさらに向上
●昇圧率を上昇させ、水素の充填時間を2分以内※2に短縮
※2 水素ステーションノズル接続から抜くまでの作業時間
カーボンニュートラル実現に向けた選択肢を広げ、雇用や暮らしを守りながらより良い社会づくりに貢献していくために、今後も5社の強みを持ち寄り、さらなる連携を深めていくとともに、業界を超えた仲間づくりを積極的に推進していきます。
今回の取り組みを通じて特に貢献可能なSDGsの目標
世界を変えるための17の持続可能な開発目標とは
「持続可能な開発目標」(Sustainable Development Goals:SDGs)を中核とする「持続可能な開発のための2030アジェンダ」は、平成27(2015)年9月25日に、ニューヨーク・国連本部で開催された国連サミットで採択されました。
持続可能な開発のための2030アジェンダの特徴
●平成28(2016)年から令和12(2030)年までの国際社会共通の目標です。
●序文、政治宣言、持続可能な開発目標(SDGs:17ゴール(下記)、169ターゲット)、実施手段、フォローアップ・レビューで構成されています。途上国の開発目標を定めた、ミレニアム開発目標(Millennium Development Goals:MDGs)とは異なり、先進国を含む全ての国に適用される普遍性が最大の特徴です。
●採択を受けて、各国・地域・地球規模でアジェンダの実施のための行動を起こす必要があり、それらの行動のフォローアップ及びレビューが必要です。
●17のゴールのうち、少なくとも13が直接的に環境に関連するものであり、残り4も間接的ではあるものの、環境に関連するものです。すなわち、全てのSDGsは大なり小なり環境に関連しています。
環境省としてもアジェンダの実施に向け、気候変動、持続可能な消費と生産(循環型社会形成の取組等)等の分野において国内外における施策を積極的に展開していきます。
持続可能な開発目標(SDGs)17ゴール
※うち、『 』は少なくとも直接的に環境に関連している13のゴール
1. 貧困の撲滅
2. 飢餓撲滅、『食料安全保障』
3. 『健康』・福祉
4. 万人への質の『高い教育』、生涯学習
5. ジェンダー平等
6. 『水・衛生』の利用可能性
7. 『エネルギー』へのアクセス
8. 包摂的で『持続可能な経済成長』、雇用
9. 『強靭なインフラ、工業化・イノベーション』
10. 国内と国家間の不平等の是正
11. 持続可能な『都市』
12. 『持続可能な消費と生産』
13. 『気候変動』への対処
14. 『海洋』と海洋資源の保全・持続可能な利用
15. 『陸域生態系、森林管理、砂漠化への対処、生物多様性』
16. 平和で包摂的な社会の促進
17. 『実施手段の強化と持続可能な開発の為のグローバル・パートナーシップの活性化』
鎹八咫烏 記
伊勢「斎宮」明和町観光大使
石川県 いしかわ観光特使
協力(敬称略)
環境省 〒100-8975 東京都千代田区霞が関1-2-2 中央合同庁舎5号館 電話: 03-3581-3351
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